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独SAP最高人事責任者のステファン・リーズ氏

独SAP最高人事責任者のステファン・リーズ氏

1980年以降生まれの若い層「ミレニアル世代」を意識した人材育成がグローバルで加速している。大手会計事務所のデロイト・トウシュ・トーマツが2016年に発表した調査によると、彼らは会社への帰属意識が低く、近い将来の離職を考える傾向が強いという。彼らを意識した育成・人事評価制度に取り組んでいるのが、欧州ソフト最大手の独SAPだ。幼いころからデジタル機器に親しんだ「ネット世代」でもあるこの層を、うまく取り込むにはどうすればいいのか。最高人事責任者のステファン・リーズ氏に手法とねらいを聞いた。

デジタル・ネーティブの育て方

――SAPは、世界から入社2年から5年目の若手を集め、米国で6週間研修するなど、若い世代に向けた人材育成、投資を強めています。なぜ、近年この世代をターゲットにしているのでしょうか。

「答えはとても簡単で、2025年に約75%のSAP社員がミレニアル世代になるという予測があります。多くの社員がミレニアル世代になるのです。当然、顧客もそうです。生まれたときからデジタル機器があり、携帯電話や人工知能(AI)があって当然、と考える世代です。私にも2人、子どもがおり、長女は21歳。ミレニアル世代です。彼らは『デジタル・ネーティブ』で、ネットワークを通じて世界中に友人がいます。それは以前の世代とは大きな違いです。我々が選ばれる会社になるためには、彼らが慣れ親しむ環境を会社としても提供しなければなりません」

――彼らが会社に求めるものはなんでしょう。

「彼らは、『自分がやることの目的や意義』を非常に重視しています。自分が関わる仕事が社会にインパクトを与えられるのか。SAPに、特に医療分野で広く使われている『HANA(ハナ)』という高速処理ソフトがあります。HANAに集まった患者のビッグデータは、病院などでがんの診断に役立っています。これが、ミレニアル世代に重要です。どの職種・業種でも共通しています。自分の作ったソフトウエアが人の役に立つなら非常に意味のある仕事だと感じるし、営業担当者も自分が販売する商品が地球のためになるとか、人の病を治すということであれば、その商品をもっと売りたい、という意欲が出ます」

6月、ロンドンで開かれた顧客向けのイベントに、パンクファッションで登壇したリーズ氏=SAP提供

6月、ロンドンで開かれた顧客向けのイベントに、パンクファッションで登壇したリーズ氏=SAP提供

「また、多様な文化を受け入れるかどうかにも非常に敏感です。先日、ロンドンで3000人の顧客を集めたイベントに出ました。参加者の多くが、ミレニアル世代です。私は、そこに『パンク・ファッション』で登壇しました。理由は、我々の会社が多様な文化を受け入れる会社だということを示したかったからです。大企業でも、必ずしもスーツでなくてもいい。パンクの服装でもいいし、宗教も人種も受け入れる多様性があるということを伝えたかった。多様性があるから会社に強さがある、SAPの象徴です」

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