金融知識、日本は58点 英国に学ぶ資産形成の新法則

日経マネー

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[親父の悩み]子供に資産形成のためにお金を積み立てる習慣を付けさせたい。ただ、お金の話をしようとするとやっぱり難しくなってしまう。皆がやっていることなのだが、やり方を分かりやすく伝えるにはどうすればいいか。

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イラスト:ふじわらかずえ

「どうしたら将来、お金で苦労しないで済むのか」。これは親が子に対して抱える、世界共通の悩みです。政府が国民に対して抱える悩み、と言ってもいいでしょう。

金融リテラシーという言葉が最近よく使われるようになりました。このLiteracy(リテラシー)という英語を辞書で引くと、「識字」と出てきます。すなわち読み書きの能力ということです。

つまり金融リテラシーとは、金融に関する知識や情報を正しく理解し、自らが主体的に判断することのできる能力だと言えます。社会人として経済的に自立し、より良い暮らしを送っていくうえで欠かせない生活スキルなのです。

そんな生活スキルとしての日本人の金融リテラシーは高いのでしょうか。2016年に金融広報中央委員会が行った金融リテラシーについての調査では、金融知識、行動特性、考え方をそれぞれ採点したところ、日本は58点でした。経済協力開発機構(OECD)に加盟する14カ国の平均は63点で、日本はそれを大きく下回っています。ドイツ(71点)やハンガリー(69点)とは大きく水をあけられ、日本未満はノルウェー(57点)とポーランド(55点)しかありません。

注:金融広報中央委員会「金融リテラシー調査」2016年

危機感が生んだ英リポート

そんななか、今年3月に英国の専門委員会が英財務省と金融行動監督庁に提出したリポートが注目されています。タイトルは「経験則と促進策~英国消費者の金融健全度の改善」です。日本語にするといささか堅いタイトルですが、中身は、お金との向き合い方をちょっと変えるための、個人に向けた提言といったものです。

イラスト:ふじわらかずえ

英国の金融リテラシー調査の点数は、63点とほぼOECDの平均です。ただ、同国の個人の家計はかつては悲惨な状態でした。

06年の調査によると、英国では500ポンド(1ポンド=150円で換算すると7万5000円)以上貯蓄している人が全体のわずか6割にとどまっていました。6人に1人は債務超過の状態に陥っており、金融当局は日本より強い危機意識を持って個人への啓蒙活動を行いました。そうしたことが、このリポート発行の背景にあります。

過去の経験則は通用しない?

この専門委員会の研究では、1万にも及ぶ世界中の学術研究を検証しています。30人の専門家との長時間のインタビューなど多くの調査を行ったうえで、専門委員会は資産形成の経験則として使えるものは下の表に挙げた6つの原則に沿ったものである必要があるとしています。これに照らし合わせると、過去に有効だとされていた資産形成の経験則は、必ずしも通用するものではないというのが分かってきました。

例えば「50/30/20のルール」です。これは収入のうち生活に必要な分に50%を充て、嗜好品は30%に抑え、貯蓄か負債の削減に20%を使うべきだという経験則です。しかし英国のリポートは、この経験則は行いにくいと指摘しています。「分かりやすく覚えやすい経験則」という原則に当てはまらないためです。

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