映画、ドラマ、舞台などで圧倒的な演技力を発揮。2017年6月には『トットてれび』(NHK)、『カルテット』(TBS)などの演技が評価され、ギャラクシー賞(テレビ部門・個人賞)や放送文化基金賞(演技賞)を受賞して話題になった満島ひかりさん。彼女が見せてくれたのは、「常に財布にいる」というギター弾き用のピックだった。
気まずい思いのまま、いつも財布にいるピック
「ドラマ『ごめんね青春!』(14年/TBS)の撮影の後に、スタッフやキャストでごはんを食べに行ったんです。その時、共演していた錦戸亮くんが財布から出したのがこれ。『何それ?』と聞いたら、『長瀬(智也)さんにもらったヤツなんやけど、いる?』って。『小銭入れのお守りや』『ありがとう』なんて言いながらもらったんですけど、これは長瀬さんが、錦戸くんだからあげたもの。私が持っていていいのかなって、なんか気まずい思いを抱えたまま、でもどうすることもできずに小銭入れにずっといるヤツです(笑)。
私はギター弾きじゃないし、特別このピックに愛着があるわけでもない。でもずっと近くにいるから、見るたびに不思議な気持ちになりますね。でもその不思議な距離感がいいな、とも思う(笑)。
実際、お守りになっているかもしれないので、これと、その年に引いたおみくじをいつも財布に入れています。おみくじも見せた方がいいですか?」
そう言って見せてくれたのは、今年初め、『カルテット』の撮影時に神社で拾ったというおみくじ。
「軽井沢の神社で、私の足元に落ちていたんです。これを今年のおみくじにしよう、と思って、そのまま財布に。人のもの? いや、お金はちゃんと入れましたよ(笑)。それに落ちているものには福があるって、フランスでは言うらしいので。ここ日本ですが。
運勢は、大吉です。今年は何でもかんでもうまくいくって書いてある。でも最近ちょっと風邪気味だし、厄年だし、そんなにうまくいってる感じはないんですけど(笑)」
戦争って、嘘じゃなかったんだ
17年7月29日に公開される主演映画は、『死の棘』の作家・島尾敏雄と妻・ミホとの戦時中の出会いを描いた『海辺の生と死』。作家でもあるミホが書いた同名作品集や、敏雄の『島の果て』を原作とし、2人が実際に恋に落ちた鹿児島県、奄美群島・加計呂麻(かけろま)島で撮影が行われた。
「奄美は私のルーツといえる場所。原作を読んで、私の祖先はこんな土地で育ったんだ、と思いました。
私はおばあちゃん子だったので、昔の奄美の話はよく聞いてもいたんです。おばあちゃんのお兄さんが特攻隊になり、飛行機が飛んでくるたびに妹と2人で海に入って、『あにい、あにい、会いたいよー!』って、泣きながら手を振っていたとか。
故郷の仏壇に手を合わせに行くと、今でも白い軍服を着た、そのお兄さんの写真が真ん中に飾ってあります。顔つきが私の弟にも似ていて、不思議な気持ちがするんです。『ああ、戦争って、嘘じゃなかったんだ』って、見るたびに思います」