お尻コンプレックス解消 「股関節ストレッチ」が有効
お尻のラインがくっきり出るパンツがはけない。そんな「お尻のコンプレックス」を解決するのが「股関節ストレッチ」。座り仕事で硬くなった股関節をしなやかにすれば、お尻の形はちゃんと変わる!
股関節の動きがお尻の形を決める
「お尻の形に悩んでいる人は、股関節の動きがお尻の形を決めるということを知ってほしい。股関節の動きをよくすることが、『美尻作り』に直結します」と言うのは、Dr.KAKUKOスポーツクリニック院長で整形外科医の中村格子さん。
骨盤回りには、大殿筋、中殿筋、小殿筋、外旋筋といった筋肉が集まっている。これらの筋肉の仕事は、体の中で最も大きい関節である「股関節」を動かすこと。具体的には6方向の動きがある。
・前後……脚を前後に動かす動き。特に、脚を後ろ側に振り上げる「伸展」の動きでは、ヒップアップに欠かせない大殿筋が大きく働く。
・左右……脚を外側に持ち上げたり、下げたりする動き。特に股関節を外側に持ち上げる「外転」のとき、大殿筋の内側にある中殿筋が働く。
・外向き・内向き……股関節を外側に開いたり内側に閉じたりする動き。お尻を引き締める外旋筋や、大殿筋、中殿筋、小殿筋が満遍なく働く。
「特に、前後の動きが苦手な人は、お尻全体が大きく、下方向にたるみがち。左右が苦手な人は、ショーツからはみ出るような典型的な垂れ尻に。外向き・内向きが苦手な人は、お尻のボリュームがなく、平らでのっぺりした扁平(へんぺい)尻になりやすいという特徴があります」(中村さん)
お尻の形が崩れる「股関節の動きの悪さ」の原因は、座り仕事にある。「働き盛りの女性は、座り姿勢の時間が長く、股関節を動かすチャンスをことごとく奪われてしまっています。股関節周囲の筋肉はほとんど使われず、かちかちの状態に。股関節が柔軟性を失うと、骨盤が前傾、後傾といったバランスの悪い角度に固定することになる。すると、腰痛や老けて見える悪い姿勢、ヒップラインの崩れといった負の連鎖が起こるのです」(中村さん)
前後の動きで、お尻を引き上げよう!
解決策となるのが、股関節ストレッチ。「お尻はある日突然たるむのではありません。日々の積み重ねによってその形を変えるのです」(中村さん)
お尻全体が大きく、たるんで垂れている人がぜひ行うべきストレッチを中村格子さんの最新作「究極のストレッチ」から紹介しよう。それが、「前後の股関節ストレッチ」。脚を後ろ側に振り上げる動きのときに、大殿筋が働き、続けるとお尻の高さが確実に上がってくる。もちろん他の2方向の動きも行うと、ベストだ。
【ヒップアップ!前後の股関節ストレッチ】
(1)右手をイスの背に置き、左手は腰に当てる。左脚を前に上げる。膝は直角になるように曲げて足の甲を伸ばす。骨盤が傾いたり、腰をひねったりしないように、背筋を伸ばす。
(2)左膝を直角に保ったまま前から後ろに振り上げる。このとき腰は反りすぎないように。お尻と太もも裏に効くのを感じて。左右10回ずつ。
ストレッチを行うのと同時に意識したいのが、普段の歩き方。「上半身を固定した状態で、平行移動するように歩き出し、蹴り出すときに爪先を少しだけ外に向けるように意識しましょう。いつもよりも自然と歩幅が広くなり、前後均等に脚を繰り出せるようになります。このとき上半身がぶれてしまう場合は、大きなケーキを持って真っすぐ歩いている、とイメージしてみて。体幹から正しい軸を作る力が高まり、股関節をしっかり使って歩くことができるようになります」(中村さん)
美尻は一日にしてならず。こつこつ続けて、きゅっと引き上がったお尻を目指そう!
整形外科医・医学博士、スポーツドクター。Dr.KAKUKOスポーツクリニック院長。横浜市立大学整形外科客員教授。横浜市立大学医学部卒業。同大学附属病院、国立スポーツ科学センター医学研究部研究員などを経て、2014年より現職。トップアスリートから一般の人まで指導・治療。「大人のラジオ体操」(講談社)はシリーズ累計82万部。著書多数。
(ライター 柳本操、写真 鈴木宏、モデル 島村まみ、スタイリング 椎野糸子、 ヘア&メイク 依田陽子)
[nikkei WOMAN Online 2017年7月20日付記事を再構成]
健康や暮らしに役立つノウハウなどをまとめています。
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