食中毒4つの盲点 刺し身より「半生ひき肉」に注意

日経Gooday

2~3日前に食べたものが原因になることも多い(C) Ridthidet Phuimoontree-123rf

「今の時期に多く見られる病原性大腸菌による食中毒は、体内で原因菌が2~3日かけて増殖してから症状が出ます」(鳥居氏)。そのため、原因の食品は2~3日前に食べたものであることが多いという。一方、寄生虫による食中毒の場合は、すぐに症状が表れる。病原体の種類によって異なるため、詳しくは表1を参照してほしい。

なお、世の中には同じものを食べていても、食中毒を起こす人とそうでない人がいる。これはなぜなのだろうか。「体に入った菌量が多ければ、たいていの人は食中毒を起こしますが、菌量がそれほど多くない場合は、体力のない子どもや高齢者、病気や睡眠不足、栄養不足などによって免疫力(抵抗力)が落ちている人の方が発症しやすくなります。これに加えて、最近の研究では、腸内細菌が関係していることがわかってきています」と鳥居氏。具体的にどんな腸内細菌がどの病原菌に特異的に働くかまではわかっていないものの、腸内細菌が食中毒の発症に関係しているというのは興味深い。

自力で水分をとれなくなったらすぐに医療機関へ

実際に食中毒と思われる症状が出たときには、まず十分な水分補給が大切だ。「下痢がまた起きるのでは……」という不安から水分を控える人もいるが、脱水症状を引き起こすため、危険だ。一回の下痢でおよそ200mLもの水分が排出されている。

なお、下痢がひどいと一時的に血圧が下がり、排便時にショック状態になることもある。そのままトイレで倒れて意識を失ってしまうことも少なくないという。「ふらつきや発熱、血便・血尿が出る、水分をとることができなくなった、などの場合にはすぐに病院を受診してください。自力で移動できなければ、救急車を呼んでもいいでしょう」(鳥居氏)

病院では、点滴などによる水分補給と同時に、問診から食中毒の原因が何か見当を付け、細菌性が疑われる場合は抗菌薬などが投与される。なお、受診の際、嘔吐したものや下痢をしたものを写真にとって持参すると、医師の診断の助けになるという。「状態や量、どんなものがその中に入っているか、出血の有無といったおおまかな情報が得られます」(鳥居氏)

食中毒にかかってしまった場合、症状が悪化する前に病院を受診しよう。

【まとめ】

・刺し身は基本的に安全だが、サバやヒラメの刺し身には注意

・中まで火が通っていないひき肉料理にも注意

・食中毒かな?と思ったら、2~3日前に食べたものにも注目する

・下痢のときは必ず十分な水分を摂取する

・水分がとれなくなったり、血便・血尿が出たり、発熱したら危険なサイン。すぐ病院へ

鳥居明さん
鳥居内科クリニック(東京都世田谷区)院長。1955年生まれ。東京慈恵会医科大学医学部卒業。同大学院博士課程終了。神奈川県立厚木病院医長、東京慈恵会医科大学附属病院診療医長、東京慈恵会医科大学助教授を経て、鳥居内科クリニックを開設。現在東京慈恵会医科大学第三病院非常勤診療医長を兼任。日本消化器病学会専門医、日本消化器内視鏡学会専門医、日本医師会認定産業医、日本医師会認定健康スポーツ医。

(ライター 加納さゆり)

[日経Gooday 2017年7月14日付記事を再構成]

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