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食中毒4つの盲点 刺し身より「半生ひき肉」に注意

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NIKKEI STYLE

日経Gooday(グッデイ) カラダにいいこと、毎日プラス

タレントの渡辺直美さんや山里亮太さん、庄司智春さんもかかったことで話題になった、アニサキスによる食中毒。また、今年6月には、東京の焼き肉店で食事をした中学生がカンピロバクターによる集団食中毒を発症したことも記憶に新しい。夏本番のこの時期、注意が必要なのはどんな食材なのだろうか。

食中毒を起こす病原体には、大きく分けて、細菌、寄生虫、ウイルスの3種類がある(表1)。アニサキスは寄生虫、カンピロバクターは細菌。それぞれ感染源となる食品や治療法が異なるが、「梅雨時から夏にかけては、湿度や気温が高く、細菌が増えやすい環境になるので、細菌性食中毒、特に病原性大腸菌に注意が必要です」と、鳥居内科クリニック(東京都世田谷区)院長の鳥居明氏は話す。

病原性大腸菌は、人や動物の腸の中に生息している大腸菌のうち、病原性を持つものの総称。重症例の多いO-157が有名だが、ほかにもたくさん種類があり、主に、牛肉や豚肉、鶏肉などを生で食べることによって、人に感染する。

「細菌が最も繁殖しやすいのは真夏ですが、実は、食中毒の発生件数は真夏よりも梅雨時の方が多くなっています。これは、この時期はまだ涼しい日と暑い日があって、食中毒に意識があまり向いておらず、生ものの調理や摂取に油断が生じがちなためです」(鳥居氏)

以下に、梅雨から真夏にかけての時期、気になる食中毒とその対策について、意外な盲点をご紹介していこう。

盲点1 実は「ひき肉料理の半生」が危険!

「外食ではお刺し身よりも、ハンバーグやメンチカツ、つくねといったひき肉を使った料理に注意しましょう」と鳥居氏は話す。

家畜は腸の中に病原性大腸菌を持っていることが多いため、病原性大腸菌は肉の表面にくっつく。

しかし、ひき肉は、肉をミンチにする段階で大腸菌が内部に入ってしまうため、中心まで十分に火が通っていないと、食中毒を起こす可能性がある。外でひき肉料理を食べる時は、中心部の色をよく確認し、自宅で調理する場合も、しっかり中まで加熱するようにしよう。

なお、ステーキなど、もとの形状が維持されている牛肉の場合、表面を十分に加熱すれば中は生でも問題ない(レバーを除く)。ただし、寄生虫が潜んでいることがある豚肉や、カンピロバクター食中毒の多い鶏肉は、中まで火を通すことが大切だ。

なお、カンピロバクターによる食中毒は、近年、報告件数が急増している。生の鶏肉によるものが多く、2016年の発生件数は339件、患者数は3272人と、細菌性食中毒の中では最多だった。「カンピロバクターによる食中毒の患者は、子どもや高齢者が多いのが特徴です。子どもや高齢者は抵抗力が弱く、重症化しやすいといわれています。いずれにせよ、加熱不十分のひき肉や生肉には注意が必要です」(鳥居氏)

盲点2 刺し身はまず安全、ただしサバ、ヒラメには注意

生の魚介類というと、真っ先に思い浮かべるのが刺し身。だが、実は「魚に大腸菌などの病原菌が付着する機会は少ないと考えられます。お刺し身を調理する人が手にけがをしていたり、手を洗わなかったりといった衛生上の問題がなければ、通常、お刺し身が細菌性食中毒の原因となることは少ないといわれています」と鳥居氏は話す。

ただし、例外として、鳥居氏が注意を促すのが、「サバ」と「ヒラメ」だ。

サバはアニサキス[注1]、ヒラメはクドア(正式名称クドア・セプテンプンクタータ)という寄生虫が寄生しやすく、最近、食中毒の報告が増えてきている。2016年の報告数は、アニサキスが124件126人、クドアが22件259人だった(クドアについては「ヒラメ刺し身で謎の食中毒 原因は『クドア』」をご覧ください)。

サバなどの内臓に寄生するアニサキスは、魚が死んですぐに切り身にされないと、内臓から身(筋肉)へと移動する。クドアはヒラメの筋肉に寄生する。いずれも、多くの場合、加工・調理の段階で発見され取り除かれるが、気が付かずに食べてしまうと、嘔吐(おうと)や腹痛を生じる。

これらの寄生虫は、十分な加熱処理や、-20度で24時間以上(クドアは4時間以上)冷凍することで死滅、または感染性を失わせることができる。生の魚介類は、以前は冷凍した状態で流通していたため、こうした寄生虫が食中毒を引き起こすことはなかったが、流通技術の発達により、低温(チルド)の状態で消費者の手元に届くようになったため、被害の報告が増えていると考えられる。なお、「サバを酢で締めてもアニサキスには効果はありません」(鳥居氏)とのこと。シメサバは冷凍処理されたものを選ぶ方が無難だろう。

なお、魚介類による食中毒の発生件数でいえば、刺し身よりも注意が必要なのは、二枚貝だ。カキ、アサリ、ハマグリなどの二枚貝を生で食べると、ノロウイルスによる食中毒を引き起こすことがある(ノロウイルスではこのほか、感染した患者の嘔吐物などを介した二次感染も多い)。

ノロウイルスは下水とともに海に運ばれた後、プランクトンと一緒に二枚貝の中に取り込まれ、蓄積されることで感染原因になる。「おいしい二枚貝は、栄養源となるプランクトンの豊富な場所で育っているため、『おいしい二枚貝ほど危険性が高い』ともいえます」(鳥居氏)というのは皮肉な話だ。ノロウイルスは、貝の中心部まで85~90度で90秒以上加熱処理すれば問題がない。夏場は生ガキを食べることはあまりないが、中が半生のカキフライや、さっと蒸しただけの貝料理などには注意したい。

盲点3 卵は殻の取り扱いに注意!

卵による食中毒の原因菌として有名な、サルモネラ菌。実は、サルモネラ菌に汚染されることがあるのは、卵の「中身」ではなく「殻の外側」の部分だ。サルモネラ菌はもともと家畜の腸管内に生息しているため、産卵時に卵の殻に付着して出てくる。卵の中まで入り込むことはない。

このため、卵を使う料理のとき、卵の殻を触った手を洗わずにそのまま調理をすると、触った場所からサルモネラ菌が増殖する恐れがある。割ったらすぐに加熱し、火が十分に通っていれば問題ないが、生卵の場合は、殻の外側を触った手や調理器具が中身に接触しないよう、注意が必要だ。例えば、すき焼きに使う生卵を殻ごと皿に入れて食卓に出し、そのまま同じ皿に割り入れて食べるといった習慣は危険大。テーブルに出す際の容器と、割り入れる容器は必ず分けよう。

盲点4 原因は直前に食べたものとは限らない!

腹痛や吐き気、下痢など、食中毒が疑われる症状が出たとき、誰しもその日や前日に食べたものを思い起こすだろう。だが、細菌性の食中毒の場合、直近で食べたものに原因があることは少ない。

[注1] アニサキスが寄生する魚はほかにもアジ、イワシ、イカなどがあるが、なかでもサバは最も重要な感染源と考えられている。

「今の時期に多く見られる病原性大腸菌による食中毒は、体内で原因菌が2~3日かけて増殖してから症状が出ます」(鳥居氏)。そのため、原因の食品は2~3日前に食べたものであることが多いという。一方、寄生虫による食中毒の場合は、すぐに症状が表れる。病原体の種類によって異なるため、詳しくは表1を参照してほしい。

なお、世の中には同じものを食べていても、食中毒を起こす人とそうでない人がいる。これはなぜなのだろうか。「体に入った菌量が多ければ、たいていの人は食中毒を起こしますが、菌量がそれほど多くない場合は、体力のない子どもや高齢者、病気や睡眠不足、栄養不足などによって免疫力(抵抗力)が落ちている人の方が発症しやすくなります。これに加えて、最近の研究では、腸内細菌が関係していることがわかってきています」と鳥居氏。具体的にどんな腸内細菌がどの病原菌に特異的に働くかまではわかっていないものの、腸内細菌が食中毒の発症に関係しているというのは興味深い。

自力で水分をとれなくなったらすぐに医療機関へ

実際に食中毒と思われる症状が出たときには、まず十分な水分補給が大切だ。「下痢がまた起きるのでは……」という不安から水分を控える人もいるが、脱水症状を引き起こすため、危険だ。一回の下痢でおよそ200mLもの水分が排出されている。

なお、下痢がひどいと一時的に血圧が下がり、排便時にショック状態になることもある。そのままトイレで倒れて意識を失ってしまうことも少なくないという。「ふらつきや発熱、血便・血尿が出る、水分をとることができなくなった、などの場合にはすぐに病院を受診してください。自力で移動できなければ、救急車を呼んでもいいでしょう」(鳥居氏)

病院では、点滴などによる水分補給と同時に、問診から食中毒の原因が何か見当を付け、細菌性が疑われる場合は抗菌薬などが投与される。なお、受診の際、嘔吐したものや下痢をしたものを写真にとって持参すると、医師の診断の助けになるという。「状態や量、どんなものがその中に入っているか、出血の有無といったおおまかな情報が得られます」(鳥居氏)

食中毒にかかってしまった場合、症状が悪化する前に病院を受診しよう。

【まとめ】

・刺し身は基本的に安全だが、サバやヒラメの刺し身には注意

・中まで火が通っていないひき肉料理にも注意

・食中毒かな?と思ったら、2~3日前に食べたものにも注目する

・下痢のときは必ず十分な水分を摂取する

・水分がとれなくなったり、血便・血尿が出たり、発熱したら危険なサイン。すぐ病院へ

鳥居明さん
 鳥居内科クリニック(東京都世田谷区)院長。1955年生まれ。東京慈恵会医科大学医学部卒業。同大学院博士課程終了。神奈川県立厚木病院医長、東京慈恵会医科大学附属病院診療医長、東京慈恵会医科大学助教授を経て、鳥居内科クリニックを開設。現在東京慈恵会医科大学第三病院非常勤診療医長を兼任。日本消化器病学会専門医、日本消化器内視鏡学会専門医、日本医師会認定産業医、日本医師会認定健康スポーツ医。

(ライター 加納さゆり)

[日経Gooday 2017年7月14日付記事を再構成]

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