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東京五輪まで丸3年 ボランティア参加の機運高まるか 教育現場ではパラスポーツの体験授業広がる

2017/7/24 日本経済新聞 朝刊

リオデジャネイロを訪れ、ボランティアと交流する上智大の教員(左)=上智学院提供

 7月24日で2020年東京五輪の開会式までちょうど3年(パラリンピックは8月25日開幕)。一生に一度あるかないかの地元の五輪は、アスリートのためだけの祭典ではない。国民的な参加意識の高まりが大会を成功に導く。

 競技会場に選手村、空港――。大会期間中、世界中から訪れる選手や観客と接し、円滑な運営を支えるのがボランティアだ。来年夏の募集開始を前に、企業や大学で参加機運を高める取り組みが始まっている。

 5月末の夜、東京・丸の内にある日本生命のビルの一室に仕事を終えた社員約100人が続々と集まった。部署や年齢が異なる数人がグループになってコミュニケーションを深めるゲームをしたり、講師からスポーツボランティアの基礎を学んだり。約2時間の研修会に、参加者からは前向きな感想が聞かれた。

スポーツボランティアの講義を受ける日本生命の社員(5月、東京都千代田区)

 スポーツボランティアは未経験という高木ひとみさん(46)は「楽しみながら取り組めるのが魅力だと分かった。機会があればやってみたい」。語学ボランティアの講座も受けた庵前徹さん(56)は「20年の大会時には多くの外国人が訪れるので、『おもてなし』ができれば」と関心を深めた様子だった。

 以前より社員の社会貢献活動を推奨している同社は、15年に東京五輪のゴールドパートナーとなったのを契機に、スポーツボランティアへの積極参加も促している。社員向けサイトで、スポーツ大会の情報や社員のボランティア体験などを掲載。16年度は車いすテニス大会で選手に飲み物を渡す活動など、56のスポーツイベントに延べ857人の社員が参加したという。

 日本生命の研修を担当したNPO法人日本スポーツボランティアネットワーク(JSVN)は、研修会を通じて資格を認定している。資格研修会はこれまでに約4千人が受講し、最近は問い合わせも増えているという。

 20年大会で大会組織委員会と東京都が集めるボランティアは合計9万人以上と、かつてない規模だ。来年夏の募集開始を前に、一部は今年度中にも募集が始まる。組織委の募集案では、競技会場や選手村で運営に直接携わる「大会ボランティア」は10日以上、空港や駅、観光名所に配置される「都市ボランティア」は5日以上それぞれ活動できることが条件で、大会前には研修参加も求められる。

 12年ロンドン大会では約26万人の応募があったが、ボランティア文化が根付いていない日本では活動日数の長さがハードルになるとの見方もある。笹川スポーツ財団が16年に18歳以上の男女3千人を対象に行った調査では、年に1回以上スポーツボランティアをした人は6.7%にとどまる。希望率も13.9%と必ずしも高くない。

 東京都はこのほど、ボランティア参加を促す狙いで、休暇制度を設けた企業に20万円を助成する制度を始めた。従業員に年3日以上のボランティア休暇を与え、活動情報を伝えることなどが条件。今年度は計500社の申請を見込む。120社を想定していた6月は133社が申し込むなど関心は高そうだ。

 幅広い年代の中でも特に活躍が期待されるのが大学生。在学中に参画意識を高めようと、早稲田大はJSVNと協力してスポーツボランティア養成のための映像教材を作成し、今秋から映像を活用した授業を始める。組織委と協定を結ぶ全国約800の大学・短大などが希望すれば、教材は無償提供するという。

 武藤泰明・早大スポーツ科学学術院副学術院長は「ボランティアに関心のある学生は多いが、五輪のような大規模イベントではリーダーなど経験者も不可欠だ。3年後までに多彩な人材を輩出できれば」と意気込む。

 上智大は昨夏のリオデジャネイロ・パラリンピック期間中、教職員を現地に派遣し、会場周辺のバリアフリー状況などを調査した。今月5日には教職員や学生向けに「ユニバーサルマナー」の講座を開いた。

 今春の新入生約500人にアンケートを行ったところ、約7割が「20年大会でボランティアをしたい」と回答。語学を生かしたボランティアへの関心が高いが、20年大会は外国人だけでなく障害者ら様々な人々が集まる機会となる。「多様性が尊重される共生社会を目指し、学内から機運をつくっていきたい」(担当者)としている。

(鱸正人)

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