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10年ぶりに新しい発声法に挑戦 声が変わった実感

第2回

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NIKKEI STYLE

僕が主演を務めているミュージカルの舞台『グレート・ギャツビー』も、東京、愛知、大阪を経て、福岡の千秋楽(公演の最終日)が近づいてきました。闇の世界に生きるアウトローを演じたのは初めてで、大きなチャレンジだったという話を前回しましたが、ミュージカルの歌い手としても新しいことに取り組んでいます。声が太くなったのでは、と言われるのですが、実は10年ぶりくらいに発声法を変えたのです。

僕は子どものころからミュージカル俳優をめざして、歌の先生に習い続け、東京藝術大学に入学。音楽学部声楽科を卒業した後も、ボイストレーナーの先生についていました。ところが、あるときから先生に教わることをやめました。というのも、俳優としてキャリアを積むと、自分の考えで判断しないといけない場面がたくさん出てきます。いちいち先生に聞けないですし、自分の成長のためにも人に習うのはやめようと思い、ここ10年くらいは、それまでに学んだやり方をベースに歌ってきました。調子が悪くなったら、声の出し方が悪いからだろうから、こう変えてみようとか、やっていたのです。

ところが、今回の『グレート・ギャツビー』で歌唱指導の山川高風さんと出会い、発声のメカニズムを詳しく説明してくれた言葉に、すごく納得しました。僕なりにやってきたことの利点や間違っている点を冷静に指摘してくれて、「こうしたらもっと声が出ますよ」と教えてくれました。実際にやってみたら、確かにすごく歌いやすくなって、声も変わったのです。180度とは言わないけど、90度くらいはやり方を変えた感じです。

体のどこを鳴らすか

何が違うかと言うと、要は体のどこを鳴らすかという問題です。これまで僕は、口の上の部分も下の部分も使って歌っていました。あるパートは上でワーッと歌い、あるパートは下あごを使ってアーと歌っていたのですが、それだと響きの位置が変わって統一できないのです。

僕はそういうものだと思っていたのですが、山川さんのアドバイスは「同じところをずっと響かせなさい」。僕は響かせるのに苦手な箇所があったり、うまくいかないときは歌い方で切り抜けてきたのですが、本当はきちんと鳴る同じところを鳴らし続けたほうがよくて、あとは筋肉で強弱を付けたりする、というやり方を教わりました。

それだと、響かせるポジションが変わらないからすごく安定しているし、強弱もつけやすいし、ロングトーンで伸ばすこともできます。とても理にかなった歌い方で、1カ月くらい稽古するうちに、確実に変わってきたという実感を得ました。

山川さんは、38歳の僕より少し上の40代の方です。オペラをやられていて、若いころは平気で高い声を出せていたのに、30代半ばで高音がぱたっと出なくなったそうです。それでボイストレーナーの先生を探して、力で声を出すのではなくて、ちゃんと響かせるように発声法を一から変えて、自分は生まれ変わったという話をしてくれました。

僕は、声が出なくなったとは全然思ってないし、むしろどんどん出るようになっていると感じています。でも、山川さんの話は実体験だけに説得力がありました。僕も自分なりにやってきたけど、壁にあたることもあったし、先を考えても、いつ同じような経験をするかもわからない。なので、一度ちゃんと話を聞いて、やってみようと思えたのです。

ミュージカルの音楽は感情を物語る

『グレート・ギャツビー』という作品のタイミングもよかったと思います。音楽は、ブロードウェイでも活躍されているリチャード・オベラッカーさんが書き下ろしたオリジナルです。歌う側からすると、簡単ではありません。いかにもミュージカルの音楽という感じで、安易なメロディーではない。音の飛び方やメロディーの流れも難しいのですが、歌えば歌うほど良さがわかる。スルメのような味わいがある音楽です(笑)。

ミュージカルの音楽は、歌謡曲やポップスとは実は違っていて、登場人物1人1人の感情を物語るものです。なかにはド派手なパーティーナンバーもありますが、基本的には人物が何かを決心して、その気持ちがどんどん強くなっていくといった感情の変化を音楽で表現します。リチャードさんの音楽は、その物語の流れに沿って、緻密に組み立てられているのが素晴らしいところです。実際に歌っていて、そう感じました。

ジャズやブルースもあって、僕1人で1曲を踊りながら歌ったりします。クラシックを学んだ僕の中には、あまりなかった音楽の要素や歌い方も多かったので、誰かにきちんと教えてもらわないと理解できない部分もありました。そこも山川さんに「もっと息を多くして歌ったらいいよ」とか具体的なアドバイスをいただき、納得できました。

若いころの僕だったら、人から「こうしたら」と言われたら、自分を否定されたような気もして、素直に受け入れきれなかったように思います。でも、俳優としてのキャリアを積み、今はカンパニーの中でも年長になり、他の人を引っぱっていく立場で主役を演じるようになって、考え方も変わってきました。僕も成長して、ようやく人のアドバイスを受け入れる度量ができたのかもしれませんね。

井上芳雄
 1979年7月6日生まれ。福岡県出身。東京藝術大学音楽学部声楽科卒業。大学在学中の2000年に、ミュージカル『エリザベート』の皇太子ルドルフ役でデビュー。以降、ミュージカル、ストレートプレイの舞台を中心に活躍。CD制作、コンサートなどの音楽活動にも取り組む一方、テレビ、映画など映像にも活動の幅を広げている。著書に『ミュージカル俳優という仕事』(日経BP社)。10月12日(木)に「井上芳雄 by MYSELF スペシャルライブ」を東京国際フォーラムにて開催。

「井上芳雄 エンタメ通信」の第3回は8月5日(土)掲載予定です。今後は毎月第1、第3土曜に掲載します。

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