不動産・住宅ローン

REIT投資の勘所

4%超え銘柄が急増 REIT、長期投資も有力選択肢に

日経マネー

2017/8/4

日経マネー

 市場の一部には、五輪前に不動産市況が崩れるのではないかという見方がある。これを懸念してか、REIT価格は不動産株とともに年初から下落基調が続く。東証REIT指数は2017年6月末に何の抵抗もなく、当然のように1700ポイントを割り込んだ。これは16年1月以来、ほぼ1年半ぶりの水準で、16年6月に英国が欧州連合(EU)離脱を決定した時の水準さえ下回る。REIT価格は短期的には日銀の金融緩和という材料でもない限り、15年同様の下落基調が続く可能性が高い。

 一方、価格下落に伴い、REIT分配金利回り(以下、利回り)の魅力が増している。6月末時点で、上場58銘柄の利回りは単純平均で4.5%、加重平均でも13年9月初旬以来となる4%超まで上昇している。銘柄の数で見ても、58銘柄中36銘柄の利回りは4%超えだ。

 これまでこの連載では「REIT投資は短期での売却を基本とすべし」と書いてきたが、ここまで利回りが高い銘柄が増えてくると、長期目線でのREIT投資も選択肢に入ってきたのではないかと考えている。銘柄を選別すれば、長期での分配金収益で価格下落分を十分に補える可能性が高い。

■狙い目はPBRで選別

注:投資口価格は2017年6月5日時点

 長期投資が選択肢となる理由として、まずREITの増配基調が続く可能性が高い点が挙げられる。前述の通りREITの利回りは13年9月以来となる4%超えの水準にある。しかし、13年の東証REIT指数は今より低い1300ポイント台前半だ。つまり13年時点より分配金が増えているので、1700ポイントでも4%台の利回りとなっている。

 無理な分配金を出しているわけではない。イオンやイトーヨーカドーなどがテナントとなっている郊外型商業施設はやや厳しいが、それを除けば、REITが投資する大半の用途で堅調な賃貸需要が続く可能性が高い。

 例えば東京都心部では、来年以降、大量のオフィスが供給される予定だ。賃貸オフィス市況の悪化を懸念する声もあるが、足元の株価上昇が企業業績の改善を見越しているなら、オフィスの供給過剰を懸念する必要はない。景気拡大期のオフィスビル完成ラッシュは、06年の例が示す通り、稼働率や賃料の低下には結びつかない。

 長期金利の上昇も3年超の投資だと懸念すべき材料となりそう。しかしREITの財務体質を考えるならその影響は軽微だ。当面は過去に調達した借入金の借り換えで金利負担が減少するフェーズが続くだけでなく、多くの銘柄は長期固定金利で資金を調達している。金利負担増を懸念する必要はない。

 従って長期投資前提で銘柄を選ぶなら、増資による分配金の希薄化懸念が少ない、PBR(価格÷1口当たり出資額)1.2倍超の銘柄が有力候補になる。その上で長期固定金利での借入金調達比率が高いなどの財務体質を検証材料に加えるといいだろう。

関大介
 不動産証券化コンサルティングおよび情報提供を手掛けるアイビー総研代表。REIT情報に特化した「JAPAN-REIT.COM」(http://www.japan-reit.com/)を運営する。

[日経マネー2017年9月号の記事を再構成]

日経マネー 2017年 9 月号

著者 : 日経マネー編集部
出版 : 日経BP出版センター
価格 : 730円 (税込み)


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