マネー研究所

マネートレンド

増えるお墓の新形態 家族の負担軽く、生前予約も 終活見聞録(9)

2017/7/21

お墓や葬儀などの情報提供を手掛ける鎌倉新書(東京都中央区)によれば、購入したお墓の全国平均(墓石建立費と永代使用料の合計)は181.5万円だった(16年)。前年に比べると約20万円減っている。同社では「価格比較が以前より容易になり、不要なものを削る人が増えた」と減少の理由を説明する。従来型とは異なる「新形態」のお墓の普及も、値段の低下を促している。

■ビルの谷間に最新式納骨堂

真っ白なコンクリートの外観が印象的な「新宿瑠璃光院白蓮華堂」。都心の真ん中にある寺院だ

JR新宿駅南口から徒歩3分。ビルの谷間を行くと、やがて近未来的な建物が現れる。地上6階地下1階のその建物は「新宿瑠璃光院白蓮華堂」と名づけられた寺院で、納骨堂も備える。蓮の花をモチーフにした丸みを帯びた真っ白なフォルムは、寺のイメージを覆し、15年のグッドデザイン賞を受賞した。

納骨堂は「自動搬送式」と呼ばれる最新型。受付でカードをかざせば、指定した参拝スペースに遺骨を納めた容器が自動で出てくる。「天気を気にせず、手ぶらで墓参できる。全体の70%が新規にお墓を求める人。残りが主にお墓の引っ越しです」と話すのは副住職の永楽達信さん。建物の中には本堂のほか、ピアノを備えた「如来堂」と名づけられたホールや、座禅ができる空間もあり、法要だけでなくイベントも定期的に開かれている。都心の真ん中とあって使用料は1人用100万円(2人用は120万円、家族用は200万円)と、納骨堂としては高めだ。

参拝スペースに自動的に墓石が出てくる。花や線香を持参する必要がない(新宿瑠璃光院白蓮華堂)

納骨堂とは遺骨を埋蔵せずに安置する墓のスタイル。もともとは墓を建てるまでの間、一時的に遺骨を預ける施設だったが、「○○家の墓」として使用する人が増えた。ロッカーのような棚に骨壺を収蔵する「ロッカー式」や「棚式」、仏壇が並んだような「仏壇式」などいくつかのパターンがある。最近では、白蓮華堂のようなハイテクの機械式も増えている。大半が屋内にあり、掃除などの手間がかからない。費用は20万~100万円(1~2人用)が一般的。そして納骨堂と並んで、近年話題を呼んでいるのが、「永代供養墓」と「樹木葬」だ。

※バリエーションが豊富なので、このタイプに当てはまらないものもある

■永代供養墓や樹木葬も人気

シンボルツリーの周りに遺骨を埋める横浜市の樹木葬墓地

継承を前提としない墓の中には「永代供養」をうたっているものもある。この場合の永代の主語は墓地を経営する側だ。彼らが続く限り供養は行われる。ただし、やり方は墓地によって異なる。また納骨の仕方としては一定期間を過ぎれば合祀(ごうし)するケースもある。跡を継ぐ人がいなくても購入できるので、生前予約が多いのもひとつの特徴だ。平成に入って増えたという、こうした永代供養墓は、法律上の定義がないため、形式も納骨の方法も多様だ。血縁を超えて多くの人を合葬する墓はその一種。

一方の樹木葬は、木々や植物を墓標にして遺骨を埋める葬り方。1999年に岩手県一関市の寺院が開設したのが第1号といわれ、その後全国に広がった。今では、建仁寺や東福寺といった京都の有名寺院でも一部の塔頭(たっちゅう)で導入しているほか、東京都の小平霊園、横浜市のメモリアルグリーンといった公営墓地でも設けている。墓石が不要なので費用は安く、10万~60万円(1人用)が相場だ。

マネー研究所 新着記事

ALL CHANNEL