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育児と介護の「ダブルケア」 仕事とどう両立

地域で相談し合い悩み軽減

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NIKKEI STYLE

育児と介護を同時に担うダブルケア問題が顕在化してきた。内閣府の調査で、この問題に直面するのは25万人に上る。背景には晩婚化に伴う出産年齢の上昇がある。働く女性にとって課題の仕事と育児の両立、さらに迫る介護をどうしたらいいのか。

 ◇   ◇   ◇

二世帯住宅で母を介護 埼玉・所沢市のAさん

所沢市に住む女性、Aさん(38)は勤務する金融機関の仕事と育児・介護の両立に悩んでいる。半年前、母(66)が脳梗塞で倒れ、体にマヒが残った。父(69)が介護をするが、家事には不慣れ。料理や掃除で失敗するたびに声を荒らげる。両親は自宅を二世帯住宅に改装してAさん一家と暮らす。育児に父母の協力を得ながら働くキャリアプランだったが、突然の母の介護生活。手は足りない。

当時、Aさんは育児休業を終えて2カ月前に復職したばかり。時短勤務とはいえ、仕事のリズムを取り戻しつつあった。「最長3年の育休制度を延長して、育児・介護に使えばいい」。理解のある上司が会社に掛け合ってくれたが、復帰後すぐに職場に穴を開けることに罪悪感がある。

まだ小さい子供の世話に加えて、母親のケア、両親分の食事を用意するAさんの毎日は「一日中、人の面倒を見続ける無限ループ。覚悟していたとはいえ、逃げ出したくなる。私は本当に復職できるのか」と打ち明ける。

子育てと親の介護のダブルケアに悩む人は少なくない。内閣府が16年に調査したところ、未就学児の育児をしながら、家族の介護を同時にする人は25万人に及ぶ。

晩婚化と出産年齢の上昇、高齢化が同時進行

ダブルケアの命名者の一人で、横浜国立大学大学院准教授の相馬直子さんは「ダブルケアラーは自分ですべてを抱え込みがち。自治体や企業が率先して把握し、支援する必要がある」と警鐘を鳴らす。昨年、相馬さんがソニー生命保険などと実態調査(有効回答2100)したところ、ダブルケアラーや経験者の4割の女性が「介護や育児を理由に仕事を辞めたことがある」と回答した。一方、離職経験があると回答した男性は2割強。担い手が女性に偏る現状が浮き彫りになった。

親の介護は子育てが終わってからと考えがちだった。それが同時にくる。ダブルケアが増える要因の一つが、晩婚化と出産年齢の上昇だ。15年の厚生労働省の人口動態調査によると、初産時の母親の平均年齢は30.7歳で、20年で3.2歳上昇した。都心部はさらに高い傾向にある。

一方で高齢化は急ピッチで進み、介護を必要とする人は増え続けている。要支援、要介護認定者は14年度に初めて600万人を超え、15年度末には620万人に達した。

「症状は悪くなり、負担は増えるばかり。正直、『親に早く亡くなってほしい』と思ったことがある」。涙ながらの女性の言葉に「誰だってそう思うことはある」「あなただけではない」と参加者から慰めの声がかかる。横浜市港南区にある地域コミュニティースペースで毎月1度開く「お喋(しゃべ)りカフェ」は、育児と介護に悩むダブルケアラーの駆け込み寺だ。

「誰にも悩みを相談できず、一人で抱え込む人ばかり。経験者や当事者が集まって話を聞くだけで、悩みを軽減できる」。主催する「芹が谷コミュニティ てとてと」の植木美子代表はそう話す。自身も子供が2歳の時に、夫の母親と父親の介護を経験した。

「ダブルケアカフェ」とも呼ばれる同カフェは開始して4年。地域のダブルケアラーが20人近く参加して、悩みを共有してきた。「自治体では育児と介護で窓口が異なり、たらい回しになることもある。使える情報を共有する場は貴重だ」(植木さん)。横浜市はダブルケアラーであれば保育所の入所の優先順位が上がる仕組みを16年に始めた。だが、こうした情報は日々、育児と介護に追われる人には届きにくい。

市内7区に「ダブルケア相談窓口」 大阪・堺市

堺市は昨年10月、市内の7区がそれぞれ持つ基幹型包括支援センターに、ダブルケア相談窓口を設けた。主任ケアマネジャーや保健師、社会福祉士ら介護と育児のプロが常駐し、ワンストップで相談できる。16年度は市で120件程度の相談があった。「家族や仕事など悩みの全体像を把握しようと考えている」と同市の担当者、安斉智子さんは話す。

一般社団法人ダブルケアサポート横浜(横浜市)の東恵子代表理事は「女性がダブルケアをきっかけに退職しなければならないことは本当に残念。キャリアを積みたい女性でも、家族の状況を考えた場合、自分がケアをせざるを得ないという結論になる例は多い。企業にとってダブルケアは大きな問題になる」と話す。

ダブルケアラー予備軍は働き盛りの30代から責任ある立場の40代が中心で、企業にとって欠かせない層。優秀な人材をつなぎ留めるためにも、対策は重要な課題だ。

 ◇   ◇   ◇

家族や企業の後押し必要 ~取材を終えて~

2月に待望の第1子が生まれた。妻は41歳。互いの親がもし、体調を崩して介護が必要になったら……。想像して言葉を失った。高齢者が入所できる施設は足りない。政府は介護認定の見直しから施設への入所条件を厳しくするなど「極力在宅で対応」する策を進めている。育児と介護を同時にとなれば、誰が面倒を見るのだろう。「妻に任せる」という発想は過去のもの。男性にも備えと覚悟が必要だ。

ダブルケアカフェに参加する女性たちは「しっかり睡眠取ってる?」「歩き出すとまた大変よ」と我が事のように私を心配した。私は妻ほど苦労はしていないものの、子育ての大変さについて理解してもらえた瞬間は心が救われた。

女性活躍が叫ばれるとはいえ、働く女性が仕事も育児も介護もと抱え込むのでは未来はない。家族で支え、企業が後押しし、自治体や国も負担軽減に動く。多くの人にこの問題に注目してほしい。

(白壁達久)

[日本経済新聞朝刊2017年7月17日付]

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