『ウチのガヤがすみません!』 若手50人が芸を披露
50人を超える若手芸人がひな壇にズラリと並ぶのは日本テレビ系のお笑いトーク番組「ウチのガヤがすみません!」。ゲストの俳優らには、気になっていることや好きなものを挙げてもらい、芸人たちはそのキーワードを基に、喜んでもらえそうなことを披露する。実用的な提案から、一発ギャグ、モノマネなど、ゆるい芸も含めて、笑いの「おもてなし」が繰り広げられる。
2年前から4回の特番を経て、4月にレギュラー化された。番組誕生の経緯について、企画・演出の上田崇博氏は、「新しいトーク番組を作りたいと考えたときに、観覧のお客さんをガヤ芸人にしてみたらどうなるかなと思ったのが発端です。最近は料理や引っ越し業など、手に職があったり副業を持つ芸人が多いので、そんな技も出せる場にできればと考えました」と語る。
番組の盛り上げ役であるガヤ芸人たちは、週に1回程度のオーディションで決める。ある程度常連が残る形で、新人を中心に入れ替えをしている。「オーディションは救う側面も強いです。5分のネタで通用する子なんてほぼいないんですが(笑)、一瞬だけ面白いなら、それをどう生かそうかと考えます」
芸歴2カ月といった新人が交じっても成り立つのは、MCのヒロミと後藤輝基(フットボールアワー)によるところが大きい。思い切りすべっても、この2人がフォローすると笑いに変わる。「よく分からないギャグでも、後藤さんがツッコむことでドーンとウケるので、そこまでをワンパッケージと考えています。ヒロミさんは、『ボキャブラ天国』などでこういう場を熟知しているので、『お前行ってこい』といったアドリブをどんどん入れてくれます」
大切にしているのはライブ感。理想は生放送であり、ロケに行ってもVTRではなく写真にとどめ、ナレーションも芸人本人がスタジオで読む。当初はカンペを用意したが、素人同然の芸人も多く、書かれた指示を普通に読んでしまうため、今は使っていないという。
ほとんど放送されないが、10~15分のオープニングトークで、MC2人がスタジオを温めてから、ゲストを迎え入れている。「最初からすごいテンションなので、ゲストもびっくりされてますね(笑)。キラキラした俳優さんが、ここまでガッツリと芸人とからむことは少ないと思いますし、他の番組とも差別化できているのでは」
50人もいると活躍できない芸人も出てきそうだが、放送されるかどうかは別として、毎回ヒロミが全員を指名してくれるとか。編集されてしまったシーンや、ある程度許せるネタは動画配信サービスのHuluで配信しており、「スタジオでは『Hulu行き』というワードも飛び交っています(笑)」。
意識している視聴者層は女性。密度の濃いコアな笑いというよりは、あえてすべった場面も入れたりして、テンポが速くなり過ぎないようにしているという。
若手の知られざる面白さが引き出され、かつての『アメトーーク!』(テレビ朝日系)のように、思わぬ弾け方をする芸人が出てきそうなワクワク感がある。「この番組発で、全くの無名から1人、スターが出てくることを期待しています」
(「日経エンタテインメント!」7月号の記事を再構成。敬称略。文/内藤悦子)
[日経MJ2017年7月14日付]
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。