最先端Galaxy S8+ 戸田覚が使って感じたがっかり
戸田覚のデジモノ深掘りレポート
そもそも辛口の批評を信条とする僕だが、「Galaxy S8+」は久しぶりにがっかりが少ない機種だった。高く評価してはいるのだが、残念ながら惜しいと思うポイントや拍子抜けしたポイントもある。
実物を手にして最初に感じたのが、「広告の写真よりも縁が目立つぞ?」ということだ。サムスンのウェブサイトでGalaxy S8+の写真を見ると、ディスプレー左右の額縁がほとんどないように見える。ところがだ。実物は正面から見て2~3mmほどの縁がある。もちろん、それでも十分にベゼルを切り詰めたデザインなのだが、広告写真とは違うと感じたのだ。
そこで、改めてウェブサイトを見ると、極端な狭額縁に見える写真はディスプレーの左右を光らせて、縁を感じにくくさせているじゃないか。特にページトップに宇宙に浮かんでいる写真があるのだが、それは最たる例だ。ほかの写真もほぼすべて画面の左右が光っている。ディスプレーの曲面を強調したいのだろうが、製品を手にすると写真と違うのでちょっとがっかりする。実物を普通に撮影すると黒い縁がくっきりと見えるのだ。
なお、「Galaxy S7 edge」に比べると液晶左右の額縁が太く感じられるのだが、これは色が黒で目立つからで、実際にはほぼ同じだ。
縦長の画面が生きないケースも
使ううちにディスプレーの評価が分かれるのはその細長さだ。一般的なスマートフォンは縦横比16対9が多いのだが、Galaxy S8+では18.5対9となっている。数字で見ると2.5の差とはいえ、実際に手にしてみると相当に差がある。
縦長の画面は、ウェブサイトを縦向きで閲覧するときなどは確かに情報量が多いし、2画面表示で操作する際にも便利だ。ところが横向き表示にすると、縦長の画面が生かされないことがある。ウェブサイトなどでは、横幅が長い分、縦幅が短く感じて読みにくい。縦横比18.5対9の写真を撮影することも可能だが、今度は別の端末で見るときに扱いにくい。
映画作品を見るときにはちょうどいい縦横比ではあるものの、明るい場所では「エッジスクリーン」(ディスプレーの局面部分)が光ってしまう。暗い部屋で見るなら良さそうだが……。
縦長のディスプレーについては、賛否が分かれると思う。個人的には好きだが、ゲームから実用アプリまで、無駄な表示エリアができてしまうものが多いのが現状だ。もっとアプリの対応が進んでいかないと、その本領を発揮するのは難しいだろう。
カメラの進化は望めない
カメラ機能については、もはや大幅な進化は望めないのだろう。iPhoneのカメラと比べてみても、満足度はほとんど変わらない。暗いシーンではGalaxy S8+が優ってはいるのだが、買い替えたくなるほどの違いは感じられない。
いろいろなスマートフォンをテストしている僕の感覚では、上位モデルは、ほとんど変わらないほどの満足度となっている。買い替えたときに「写真がきれいになってうれしい」という感覚がだんだん薄れているのだ。
価格が高すぎるのが最大のがっかり
最近は6GBのメモリーを搭載するモデルも増えているが、Galaxy S8+は4GBにとどまる。ベンチマークのスコアを見る限りでは、4GBでも何ら問題はないものの、将来を考えての"保険"の意味で6GBにしてほしかったところだ。
最後に、最もがっかりしたのが価格だ。NTTドコモの一括払いでは、なんと11万8584円。いくら何でも高すぎる。auなら9万9360円だが、それでも決して安くはない。
本体の完成度や有機ELディスプレー、性能などを考えれば、妥当な価格ではあるものの、格安スマホが人気を集める中、二の足を踏む価格であることは間違いない。
1963年生まれのビジネス書作家。著書は120冊以上に上る。パソコンなどのデジタル製品にも造詣が深く、多数の連載記事も持つ。ユーザー視点の辛口評価が好評。
[日経トレンディネット 2017年6月21日付の記事を再構成]
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