大衆居酒屋でプライスレス体験 日本人と肩くみ乾杯!訪日旅行ベンチャー、ノットワールドの佐々木文人社長に聞く(3)

――今後、競争が激化すれば、優秀な通訳ガイドの奪い合いも予想されます。どうやって自社に囲い込みますか。

「通訳ガイドはいくつかの会社に登録しているのが一般的です。当社のツアー以外で様々な経験をしてもらうのはよいことだと思うので、特に囲い込みを意識しているわけではありません。ただ、当社の仕事も受けてもらえるように、魅力的な仕事の環境をつくっていきたいと考えています。ガイドの人たちには『子育てもあるので、半日程度ガイドをしたい』『より高い報酬を得たい』『たくさん働きたい』といった多様なニーズがあります。それらに応えられるように精進せねばと思っています。最終的には人と人の関係ですから、集合場所に足を運んだり、定期的に懇親の場を設けたりして、互いに顔が見える関係性を築くことは意識しています」

受け入れる地域も意識改革が必要

――通訳ガイドが仕事にやりがいを感じているのは、どんなときだと思いますか。

「やはり、ゲストから『これまで参加したツアーの中で一番のガイドだった』といった言葉を頂いたときでしょう。また、ツアーでよく行く地域のお店からお土産を頂いたり、買い物をした際にちょっとおまけをしてもらったりするときも、そうですね。あるガイドは『ゲストに喜んでもらって、大好きな日本を紹介できて、お金ももらえる、こんな幸せな仕事はない』と言ってくれています」

店員(中央奥)が外国人客の受け入れに積極的かどうかで、そのツアーの満足度は大きく変わる

――通訳ガイドがいくら素晴らしくても、観光客を受け入れる地域が閉鎖的では効果は限られるのではないですか。

「その通りです。お店の人の外国人に対する接客態度や配慮の仕方はツアーの満足度に大きく影響します。訪問先を開拓するときには、事前にそういった点も調べます。実は地域によっては外国人を受け入れようとしない人もいるのです。多くの外国人を呼べる魅力がある場所でも、地元の人がそれを望んでいないというケースは少なくありません」

――そうした地域の場合、助言することもあるのですか。

「まだ外国人が来ていない段階で『積極的になりましょう』とか『受け入れる体制を整えましょう』と言うのは無理があります。まずは外国人を連れて行って、地域にメリットがあると感じてもらえれば、自然に外国人ゲストの受け入れに積極的になっていきます。隣の店が外国人のゲストを迎え入れて、もうかっていたら『自分たちも、やらなきゃいけない』と感じますよ。ちょっとした会話を交わすことで『これは楽しいかもしれない』と思ったら、英会話を勉強するようになるものです。以前は通訳を介していたけれど今は簡単な会話ならば直接話せる、というお店も実際に増えてきました」

「世代交代したお店の2代目、3代目の若い経営者は外国人を迎え入れることに理解を示してくれるケースが多いですね。意欲のある経営者が現れれば、直接足を運んで『外国人のゲストを連れて行くから、こんなことはできないですか』と呼びかけることはあります。例えば、ある地域にすしを握る体験ができる施設があったのですが、外国人への説明や楽しんでもらう流れがいまひとつでした。そこで、ほかの施設の取り組みなどを伝えながら、やり方を変えてもらうように打診しました」

――次回(「五輪よりラグビーW杯! 『また来たい』外国人増やせ」)は東京五輪・パラリンピックがもたらす商機などについて、聞きたいと思います。

佐々木文人
1983年生まれ。東大経卒、損害保険ジャパン(現損害保険ジャパン日本興亜)を経て、ボストン・コンサルティング・グループ入社。4年間の在職中に企業の新規事業開発・営業改革のプロジェクトなどを手掛ける。結婚後に退職し、1年間の世界一周新婚旅行を経て、2014年2月にノットワールドを設立、代表取締役に就任。
藤田耕司
1978年生まれ。公認会計士、税理士、心理カウンセラー。早大商卒。監査法人トーマツを経て日本経営心理士協会、FSG税理士事務所、FSGマネジメントを設立。経営コンサルティングと心理学を融合した経営心理学を体系化し、企業の経営顧問、経営者のメンターを務める。主な著書に「リーダーのための経営心理学」(日本経済新聞出版社)がある。

「post2020~次世代の挑戦者たち」は随時掲載します。

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