大衆居酒屋でプライスレス体験 日本人と肩くみ乾杯!訪日旅行ベンチャー、ノットワールドの佐々木文人社長に聞く(3)

――優れた通訳ガイドにはどんな共通点がありますか。

「通訳ガイドに3つの愛があると、ツアーの満足度は高くなります。1つ目はゲストに喜んでもらいたいという『ゲスト愛』、2つ目は、情熱を持って、この場所の魅力を伝えたいという『地元愛』、3つ目は誇りを持ってガイドという仕事をする『仕事愛』です」

「ある通訳ガイドは地元愛がとても強く、地元の良さを何とか外国の人たちにも伝えたいと、毎回熱のこもったツアーを催行してくれます。そういった熱意を持って一生懸命にゲストをもてなす姿はゲストの心を打つものです。そうなるとツアーの雰囲気もおのずと熱気を帯びてきますし、ツアー参加者の人間関係も打ち解けて親密になっていきます。それが高い満足度につながっていきます」

情報だけならネットで取れる

――通訳ガイドというと、観光地についての情報をきちっと翻訳して伝えてくれる人というイメージが強かったのですが、ノットワールドの話からはまったく異なるイメージが浮かびます。

「確かに、一昔前は通訳ガイドの仕事は、その場所にまつわる知識や最短ルートを教えることで十分だったかもしれません。しかしインターネットが普及した今はグーグルなどの検索サイトを使えば、たとえ言葉が違ったとしても、だれでも無料で簡単に調べられます。そうした情報の提供者としてのガイドの価値は、ほぼゼロになりつつあります。今求められる通訳ガイドの役割とは、ツアーに参加するゲストとの人間関係、ゲスト同士の人間関係、そしてゲストと地元の人との人間関係をつくることです。そうした役割を考えると、『人間味』という点にフォーカスしてくると思います」

「それは通訳ガイドだけでなく観光業全体に当てはまります。ホテルや航空券などの手配業務はネットの普及によって個人が直接できるようになりました。まもなく旅程の作成なども人工知能(AI)によって自動的にできるようになるでしょう。当社はそうした業務よりも、集客力のあるコンテンツづくりに注力していきたいと思っています。そのカギを握るのが人なのです」

――ノットワールドが求めるような優秀な通訳ガイドはそうそういないと思います。人材の発掘のためにどんな工夫をしていますか。

「工夫というわけではありませんが、すでに当社の通訳ガイドをしている人から紹介してもらうことがあります。これがガイドを採用するうえで、とても助かっています。すてきな人だなと思えるガイドから紹介してもらう人材は、やはり、すてきな人が多く、当社が手掛けるツアーの考え方も理解してもらっていることが多いですね。私たちとしても、働いている通訳ガイドから『この人を紹介したい』と思ってもらえる会社でありたいと考えています」

「大事なのは通訳ガイドに自らの素質に気づいてもらい、それをどう伸ばしていくかです。よい素質を持った人はたくさんいると思いますから、一緒にツアーに同行して助言するなど教育にも力を入れています」

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