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キリンと提携 世界規模「クラフトビール」の神髄

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日経トレンディネット

クラフトビールという言葉がメディアに頻出するようになったのは2015年だ。2014年7月にキリンがクラフトビールへの本格参入を発表したのを皮切りに、翌年からアサヒ、サントリー、サッポロと、いわゆる国内4大ビールメーカーが次々とクラフトビール醸造に乗り出した。コンビニやスーパーなどの流通網に乗るビールは消費者が手に入れやすく、またメディアへの登場が飛躍的に高まったことから、2015年を「クラフトビール元年」とする声も多い。

なかでもキリンは同社が「クラフトビールラインアップ」と位置づけている「グランドキリン」シリーズを2012年に発売。14年9月にはクラフトビール国内最大手のヤッホーブルーイング(長野県軽井沢町)と業務提携し、15年1月にはキリンビール100%子会社「スプリングバレーブルワリー(以下、SVB)」を設立した。東京・代官山と神奈川・生麦の醸造所兼レストラン「SVB東京」「SVB横浜」で、さまざまな味わいのクラフトビールを提供している。

そのキリンが、米国ニューヨーク州の「ブルックリン・ブルワリー(以下、BB)」と資本提携し、日本におけるBB事業を展開する合弁会社「ブルックリンブルワリー・ジャパン」を17年2月に設立。3月よりBBのメイン商品「ブルックリン ラガー」(350ml缶、15L大樽)の販売を開始した。大手ビールメーカーのキリンとBBが手を組んだことが、著者としては興味深く感じられる。

BB成功を成功させた「カリスマ醸造家」

BBは88年、元ジャーナリストのスティーブ・ヒンディとトム・ポッターが創業。米国では1984年から10年間でマイクロブルワリーとブルーパブ(醸造設備のあるパブ)が爆発的に増えたといわれ、BB設立前の時点でブルックリンだけでもすでに48社ものブルワリーがひしめき合っていた。

BBが地元での競争から一歩抜け出し、のちに全米のみならず世界的な成功を収めるようになったポイントは2つある。(1)ブルーマスター(醸造責任者)を務めるギャレット・オリバー氏のカリスマ性、(2)ブランディングとファンづくり、だ。

なかでも大きいのが、クラフトビール業界でカリスマ的存在となっているギャレット・オリバー氏だろう。オリバー氏はビールの歴史や伝統的ビアスタイルの圧倒的知識を持ち、クオリティーの高いビールの造り手として名が高い。

1994年に入社後、「ブルックリン・ブラックチョコレート・スタウト」「ブルックリン・イースト・インディア・ペールエール」などの大ヒット作を生み出す一方、個性的な味わいのビールを「シークレットビール」として醸造し、限られた機会に発表して愛好家をうならせている。

さらに、オリバー氏はビールとフードの斬新なペアリングを提案する第一人者でもある。これまで16カ国で900回以上のセミナーやテイスティング会、ディナーパーティーを開催、ビールと食事の相性について考察・紹介する『ザ・ブルワーズ・テーブル』も出版しているほどだ。

ブルックリンのマイクロブルワリーの一つだったBBも、いまや世界中で商品を提供する規模にまで成長。そのなかで、BBはどのようにしてクラフトビールらしい独自の味わいを維持しているのか。オリバー氏に聞いた。

黒ビールとチーズケーキが合う?

──「ビールと食のペアリング」に力を入れている理由は。

ギャレット・オリバー氏(以下、オリバー): 私は常に「楽しいことをやりたい」という視点から食文化について考えています。食べることは生活の一部ですから、ビールと合わせるのも自然なこと。「ビールを食事と合わせるなんて!」と私の話を冗談半分に捉える人も、上質な食事にビールが合うことに気がつくと、ビールにも敬意を払ってくれる例をいくつも見てきました。たとえば弊社のインペリアルスタウト(黒ビール)とチョコレートケーキやチーズケーキの相性は抜群です。こういった、これまで多くの人が考えもしなかった組み合わせを「おいしい!」と実感してほしいと思いますし、実感した方はさらに新しいペアリング体験を求めるようになると思います。

──これまで多くの個性的なビールを作ってきたと思いますが、規模が大きくなると突出した個性を出しにくくなる印象があります。小さい醸造所ならではの個性的なビール造りと現在の規模で行うビール造りは全く異なるものだと思いますが、ギャレットさんの中でどう折り合いをつけていますか。

オリバー: ビジネスが成長するに伴い、ビールの香りを抑えて多くの人に受け入れられるようなビールを造る企業は多いと思います。しかし、それは私に言わせれば「暗黒の道」。グローバルな規模を持つビール企業の生産者は多くの飲み手に受け入れられる「最大公約数的な味わい」のビールを造らざるを得なくなり、悩む人が少なくありません。

私たちが造っているのは「自分が飲みたいビール」。それがおいしいと感じる飲み手もいればそうでない人もいます。人には必ず好みがあるはずで、「何でも好き」という人たちだけに対して成功を収めてしまうのは、「われわれの努力が足りないのではないか」と思うのです。

──ブルワリーの規模が大きくなったことで、ギャレットさんご自身のビール造りにはどのような変化がありましたか。

オリバー: 私がBBに加わった1994年当時の規模と今とでは、想像を絶するほどの違いがあります。当初は仕込みが1日1回で、ほとんど手づくりのような状態でした。現在は1日8回仕込みをしており、一部の作業を自動化しています。

自動化というとビールの個性がなくなるように感じるかもしれませんが、むしろ逆。手作業にかけられる時間が増え、より造りたいビールを造れるようになりました。例えばフランボワーズを使ったサワーエールなどは、最初は造り方すら分からない状態だったのです。しかし、一部の工程を自動化できたことで、サワーエールの造り方を学んだり味を改良したりする時間がとれるようになりました。

──BBのビールはほかのブルワリーが造るビールよりも総じて甘さが控えめになっていると感じます。それは、食事と合わせることを前提に意識したものですか、それとも多くの方に受け入れられるように考えたレシピですか。

オリバー: 甘みがあるビールは苦みや酸味とのバランスを慎重にとった造りにしないと、お代わりしてもらうのは難しいと感じています。同じビールを何杯も飲んでもらうためには「飲みやすさ」が重要。小規模醸造で個性を追求したクラフトビールでは、飲みやすさを意識した辛口(ドライさ)はあまり重要視されてこなかったかもしれません。私自身、ワインでいうなら甘いのもドライなのも好きですから、甘いのがダメだとは思っていません。

例えば、幅広い料理との相性が良いブドウ品種「ゲヴュルツトラミネール」で造ったワインは極めてフルーティーで、味わいとしては辛口なのに甘く感じることがあります。つまり、「フルーティーに仕上がっていれば、糖度が低くても甘く感じられる」ことが重要なのです。われわれの造るビールも、常に甘み、苦み、ドライさのバランスをとっています。辛口でも甘さを感じるフルーティーなビールは食事とのペアリングの幅を広げてくれるわけです。

テイスティング会でクラフトビールに初めて出合う人は、ある意味「野球の試合を初めて見に行った人」のようなもの。数ドルかつ数時間の体験で奥深くすばらしい世界の入口に立て、いったんそのすばらしさを知れば、一生楽しむことができるのです。

(ライター 野田幾子)

[日経トレンディネット 2017年6月14日付の記事を再構成]

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