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踊るアメリカ音楽 作曲家バーンスタインに脚光

「ウエスト・サイド・ストーリー」初演60年

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NIKKEI STYLE

ブロードウェー・ミュージカルの「ウエスト・サイド・ストーリー」のワールドツアー来演にはじまり、シアターピース(舞台作品)といわれる「ミサ」23年ぶりの日本上演、単独の管弦楽曲として演奏される音楽劇「キャンディード」の序曲まで……。今年7月はアメリカ合衆国が生んだ作曲家で最初の大指揮者、レナード・バーンスタイン(1918~90年)の音楽が日本の各地にあふれる。来年の生誕100年に向けた再評価が進むなか、ガーシュインやコープランド、バーバーら、バーンスタイン周辺を彩る米国人作曲家の作品全体の演奏機会が増えつつある。

バーンスタインはユダヤ系ウクライナ移民の息子としてマサチューセッツ州に生まれ、ハーバード大学やカーティス音楽院で学んだ後、1943年にニューヨーク・フィルハーモニックの副指揮者に就いた。翌年、急病で降板した巨匠ブルーノ・ワルターの代役指揮を成功させ、スターへの道が開けた。57年に同フィルの首席指揮者へ昇格したとき、メディアは「全米メジャーオーケストラのシェフポストを射止めた最初のアメリカ人指揮者」と書き立てた。44年に「交響曲第1番『エレミア』」を発表して以来、作曲家としての活動は指揮者と車の両輪。青少年向けのテレビ音楽番組の草分け、「ヤングピープルズ・コンサート」での活躍が象徴する通り、独自のアイデアと啓蒙(けいもう)精神にあふれた音楽家の一生を全うした。

生前は「指揮だけでなく作曲も評価してほしい」「『ウエスト・サイド・ストーリー』の一発屋と見なさないで!」と世評に抵抗し続けた。だが「ウエスト・サイド・ストーリー」が最も広く知れ渡ったバーンスタイン作品である事実は、今後も揺るがないだろう。

イタリアのヴェローナを舞台としたシェイクスピア作の悲恋物語「ロミオとジュリエット」を1950年代のニューヨークに移し、東欧系とヒスパニック系の移民、それぞれの不良少年グループの対立と悲劇を描いた。アーサー・ローレンツの台本、バーンスタインの作曲、ジェローム・ロビンズの振付によるオリジナルのミュージカルは57年9月、ニューヨークのブロードウェーで世界初演され、大成功を収めた。さらに61年にロビンズとロバート・ワイズが共同で監督した映画版(ユナイテッド)と併せ、短期間に世界を制覇した最大の理由は「マリア」「トゥナイト」「アメリカ」「サムウエア」などの名旋律を次から次に繰り出し、躍動感あふれるリズムで青春群像を描ききったバーンスタインの音楽にあった。

ミュージカルの世界初演60周年を記念する今年、ブロードウェーで新たにオーディションを実施してキャスティングした「レナード・バーンスタイン生誕100年記念ワールドツアー」のカンパニーが来日し、東京・渋谷の東急シアターオーブで7月12日から30日まで23回の公演を行う。オリジナルの英語で上演、日本語字幕がつき、生のオーケストラが入る。同劇場は12年のこけら落としもブロードウェーのツアーカンパニーによる「ウエスト・サイド・ストーリー」で飾っており、今回の上演を「5周年記念公演」と位置づけた。

東京でミュージカルが幕を開けるのと同じ週の終わり、大阪でシアターピースの「ミサ」に、日本で23年ぶりの演奏機会が訪れる。井上道義が総監督と指揮、演出を一手に担い、大阪フィルハーモニー交響楽団と大阪フィルハーモニー合唱団(福島章恭指揮)、大山大輔(バリトン)をはじめとする18人の独唱者、ダンサー、俳優、ジャズバンド、ブルースバンド、児童合唱団ら総勢200人の出演者を自在に動かす。第55回大阪国際フェスティバル2017の一環で大阪フィル創立70周年記念を兼ね、7月14日夜と15日昼の2回、中之島の大阪フェスティバルホールで上演する。

井上は1994年、文化庁の芸術祭主催公演で歌手団体の二期会、当時音楽監督を務めていた京都市交響楽団と組み、東京・渋谷のオーチャードホールで「ミサ」を演出、指揮した経験がある。核となるバリトンの大島幾雄に「デーモン小暮」風の衣装やメークを施し、隅から隅まで道義カラーに染めた舞台は物議を醸し、本国のレナード・バーンスタイン財団がクレームをつける一幕もあった。井上にも「欲張りすぎてて、逆にわかりにくくしちゃった」との反省があるようで、「今回は情報をなるべく減らし、単純化した舞台にしたい」「欲張りな自分をそぎ落としてやる」と、再演の抱負を語る。

「ミサ」、正式には「ミサ―歌手、演奏者とダンサーのためのシアターピース」は71年、米国の首都ワシントンに完成した総合文化施設「ケネディ・センター」の開場記念演目としてケネディ元大統領の元夫人、ジャクリーン・オナシスからの委嘱で作曲した。

通常のラテン語のミサ典礼文の一部はスピーカーから流れる代わり、バーンスタイン自身が英語のテキストを書き下ろし、フォークデュオ「サイモンとガーファンクル」のポール・サイモンから贈られた詩まで挿入した。ベトナム戦争の泥沼化や公民権運動の精神的支柱だったキング牧師の暗殺(1968年)が象徴した暗い世相に向け、バーンスタインが人種や文化、思想などの多様性を受け入れる寛容の精神を訴えたとされる問題作だ。上演には約2時間を要する。

井上が「ミサ」2日間の公演を終えた翌日の16日、同じ大阪市内にあるザ・シンフォニーホールでは、レナード・スラットキン指揮デトロイト交響楽団の演奏会がバーンスタインの「キャンディード」序曲とともに始まる。次いでスラットキン夫人でもある女性作曲家、シンディ・マクティーが野球に想を得て書いた「ダブルプレー」、さらにジャズからクラシックまでボーダーを超えて活躍するピアニストの小曽根真が加わり、ガーシュインの「ラプソディー・イン・ブルー」。アメリカ音楽をたっぷり、味わえる。

後半はチャイコフスキーの「交響曲第4番」だが、17日と19日の東京公演では大阪の1日分が2つのプログラムに分かれる。

17日、後楽園の文京シビックセンター大ホールは「キャンディード」序曲と「ラプソディー・イン・ブルー」の間がバーバーの「弦楽のためのアダージョ」に変わり、後半もコープランドの「交響曲第3番」と、完全なアメリカ音楽特集。ニューヨークから世界へと羽ばたいた早世の天才ジョージ・ガーシュイン(1898~1937年)からブルックリン生まれで欧州の様式、アメリカの民族音楽を融合させたアーロン・コープランド(1900~90年)、「弦楽のためのアダージョ」がケネディ元大統領の国葬に使われ、「弔い音楽の作曲家とみなされるようになってしまった」と嘆いたサミュエル・バーバー(1910~81年)、バーンスタインまで。わずか2時間で20世紀のアメリカ作曲史を横断できる、非常に面白いプログラムに仕上がった。

こうした作品を振らせて、スラットキンの右に出る指揮者はなかなかいない。時折、ホロッとさせる場面まで用意してくれる。15日の豊田市コンサートホール(愛知県)、20日の福井市のハーモニーホールふくい(福井県)の公演にも17日と全く同じ、アメリカ音楽のプログラムで臨む。過去に1度しか来日していない、デトロイト響の実力を確かめる好機でもある。

一方、チャイコフスキーを後半に置いた19日、初台の東京オペラシティコンサートホール「タケミツメモリアル」の公演はヴァイオリニスト諏訪内晶子が立ち上げ、芸術監督を務める「国際音楽祭NIPPON」の一角に組み入れられた。前半は2曲とも諏訪内独奏による協奏曲で、武満徹の「遠い呼び声の彼方へ!」とコルンゴルトの「ヴァイオリン協奏曲」を組み合わせた。ウィーンの神童作曲家として20世紀初頭に注目を集めながら、ユダヤ系だったために米国へ逃れ、ハリウッドの映画音楽で成功を収めたコルンゴルト。一方、開館20周年を迎えた東京オペラシティで、初代芸術監督の仕事を始める直前に亡くなり、ホールに名をとどめる武満も米国で高い評価を受け、映画音楽に足跡を残した作曲家だ。

日本人は約150年前の文明開化で西洋音楽と向き合う際、主にドイツ語圏の教師を招いた影響もあり、クラシック音楽に関しては、米国を過小評価するきらいがある。だが「ウエスト・サイド・ストーリー」から「ミサ」に至るバーンスタインの多才、ガーシュインの天才、コープランド練達の書法に触れるだけでも、かなりの魅力を発見できるはずだ。コルンゴルトや武満ら未知の才能をいち早く受け入れる懐の深さも、評価に値する。「踊るアメリカ音楽」のシャワーを浴び、食わず嫌いを脱する絶好の機会がこの夏、訪れる。

(コンテンツ編集部 池田卓夫)

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