音楽聴いてスイミング プールで使える最新プレーヤー
音楽を聴きながらランニングを楽しむ人は多いが、水泳をしながら音楽を聴けるプレーヤーもある。最近では使用を認めるフィットネスジムも増えているという。実際に最新製品を使用しながら泳いでみた。
水泳人口の多い欧米で人気に
ソニーは2017年6月10日、イヤホン一体型ウォークマン「WS620シリーズ」2機種を発売した。16GBメモリー内蔵の「NW-WS625」(1万8880円税抜き、価格は2017年7月13日にソニーストアで確認、以下同)と、4GBの「NW-WS623」(1万3880円)の2種類で、どちらもBluetoothイヤホンとしても利用できる。
Wシリーズの初代機が発売されたのは2009年6月。当時は水泳中の利用には非対応で「ジョギングなどのスポーツ中でもケーブルにわずらわされることなく、自由に音楽を楽しめるようにというコンセプトで生まれた」(ソニー広報・CSR部 沼田嶺一さん)。
水泳時にも使えるようになったのは2013年の第4世代「NWD-W270シリーズ」から。「このシリーズをきっかけに、水泳人口の多い欧米をはじめ、世界中での売り上げが、大きく伸びました」(沼田さん)
最新の「WS620シリーズ」では、周囲の音や人の声を聞ける外音取り込み機能を搭載。イヤホンに搭載されたマイクが外部の音を拾い、音楽と一緒に流すことができる。周囲の状況に気を配りながらスポーツに集中することができるほか、海水にも対応し、ビーチでも利用できる。
WシリーズはBluetoothには対応しているが水泳時にBluetoothで接続することはできず、音楽はメモリーに取り込んだものを聴く形になる。これはBluetoothの通信範囲などの問題によるもの。
他にも水泳対応音楽プレーヤーはBragiの「The Dash」、AGPtekの「S11」などが発売されている。
泳ぎながら音楽を聴くとどんな気分になるのか。実際にNW-WS623を使い、音楽を聴きながら泳いでみた。
音楽を聴くことで疲労感が軽減
選んだ音楽はビートが強く高揚感のあるカルヴィン・ハリスの「ファンク・ウェーヴ・バウンシズ VOL.1」と、音数が少なくゆったりとした曲が多いコーネリアスの「Mellow Waves」。泳ぎ始めはカルヴィン・ハリスを聴き、数十分たって疲れてきたらコーネリアスに切り替えた。
ビートの強い音楽を聴きながら泳ぐのも楽しかったが、より面白さを感じたのは疲れてから聴いたほう。ランニングでは「テンポの遅い音楽を聴くとペースが乱れたり、テンションが下がってしまう」という人もいるが、水泳の場合は力を抜いてゆっくり泳ぐことができるためか、スローテンポな曲を聴いても気分が落ちることはなかった。また、意識が聴覚に集中することでプールのじゃぶじゃぶという水の音もはっきりと聞こえ、癒やされるような気分になった。ゆっくりリラックスしながら運動できるのは、音楽を聴きながらの水泳ならではだと感じた。
運動中に音楽を聴くことの効果は様々な研究がなされており、2012年にロンドン・ブルネル大学で行われた研究では「音楽は合法的にパフォーマンスを向上させる方法の一種」という結果が出た。音楽を聴いていない時に比べて自転車をより長くこぐことができ、水泳ではより速く泳ぐことができるようになるという。その理由としては主に、音楽を聴くことで気分が上がり挑戦的な気分になること、聴覚に意識がいくことで疲労感がまぎれることの2つがあるとしている。
調査会社のGfKジャパンによると「スポーツ+音楽のニーズの高まりは、イヤホンの動向からもみてとれる」という。防水・防滴などをうたうスポーツ向けBluetoothイヤホンの販売が拡大しており、2016年は数量では前年比29パーセント増、金額では46パーセント増となった。
大手ジムも使用を認可
利用できるフィットネスジムも増えている。
「発売当初は今までにない商品だったため使用に制限があるところもありましたが、昨今はジムで使用される方も増えているようです。ただ使用に関する方針はジムによってもそれぞれ。施設のルールに従って使っていただきたいです」(沼田さん)
大手フィットネスジムのティップネスとコナミスポーツクラブでは、どちらも水泳時の音楽プレーヤーの利用を認可している。特にコナミスポーツクラブは対応が早く、利用を許可したのは2011年の2月からだ。
「音楽プレーヤーの利用については定期的にお客様からも問い合わせをいただきます。当社施設での利用許可は遊泳専用の音楽プレーヤーに限り、スマートフォンなどの利用は禁止しています。水中では皮膚が柔らかくなっており、思わぬけがをされる可能性があるためです」(コナミスポーツクラブ)
一方、民営プールでは現在も対応が分かれており、使用禁止のところも多い。使用を制限している理由には、係員の声が聞こえなくなるため、利用者同士の衝突などトラブルを避けるため、といった理由が挙がった。利用を考えている人は、事前に施設へ問い合わせをしておきたい。
(ライター 小沼理=かみゆ)
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。