家計

もうかる家計のつくり方

勘違いの「ケチケチ生活」 子どもの塾通いも許さず 家計再生コンサルタント 横山光昭

2017/7/12

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 「お金はたまっている。ただ、節約だ、貯蓄だといつも考えるのが苦痛になってきた」。専業主婦のAさん(36)が駆け込んできました。Aさんは会社員の夫(37)と小学1年生の息子との3人暮らし。自分が無駄と判断したものには一切、お金を使わないという相当な「ケチケチ主義」で生活しています。「全て老後のため。収入は多くないし、こうでもしないとお金がたまらない。子どもはもう一人ほしいけれど、お金が足りないのであきらめている」と出費を嫌がる理由を語ります。

■自家用車を手放す

 ただ、その判断基準は徹底したものではなく、単に勉強不足との印象を持ちました。

 例えば保険に加入する際、「相談料がもったいない」と保険の無料相談に赴き、よく理解しないまま勧められた保険に加入。万が一のときの遺族への保障が必要なのに貯蓄目的の保険に加入してしまい、リスクをカバーできていません。「掛け捨てはもったいないから」と高い保険料を支払っていますが、これでは保険の目的を達していません。

 また、「インターネットのニュースサイトで十分」と新聞を全く読まないので、情報が偏っています。そんな中、「自動車の維持費が負担ならば、カーシェアやレンタカーの利用が家計にやさしい」というネットの記事を読み、公共交通機関だけでは不便な土地に住んでいるにもかかわらず自家用車を手放し、「自動車税や駐車料金がかからなくなった」と喜んでいます。一方、カーシェアの駐車場やレンタカーショップまでは距離があり、天気の良い日は自転車で行きますが、雨の日はタクシーで駐車場やショップに行っています。車を借りる回数も多いので、安く入手できるマイカーを持っていたほうが車にかかるお金は少なくてすむかもしれませんし、時間も有効に使えます。

 さらに、格安スマートフォンや格安SIMについての情報がこれだけ飛び交っているのに、通信費は見直していません。節約を意識する者として、ここは見逃してはいけないはずです。

■夫の飲み会代も「不要」

 加えて「夫の飲み会代、自分のママ友とのお茶代も全て不要」と自らに言い聞かせ、交際費の支出も基本、認めません。息子は小学校の友人が通う塾で「一緒に勉強したい」と望んでいますが、簡単には容認しません。「ウチはお金がないから塾に行けない」と息子が友人にこぼしてしまう始末です。見かねた夫が「塾に通わせよう」と進言しても、聞く耳を持たないのです。

 家計表をみると、毎月28万円ほどの収入の中、3万円弱ほどの貯蓄ができています。しかし、自分は節約しているつもりでも、本当の意味では節約になっていない支出がいくつかあります。少し努力すれば比較的簡単に支出を減らせる流動費は「やり過ぎ」と思えるほど節約をするのに、一度見直して支出を減らせばその節約効果をずっと継続できる固定費については手をつけていないのです。それこそが「もったいない」。何より、家族の楽しみや生きがいを大切にすることを忘れています。貯蓄は徐々に増えていくかもしれませんが、こうした生活では疲れ果ててしまうでしょう。

■固定費減らし、流動費増やす

 家計改善のポイントは固定費と流動費をどの程度削減するか、そのバランスです。生命保険の内容を見直し、スマホは格安スマホに切り替え、車も中古車の購入を検討することにしました。子どもにやりがいや目標を与えるため、習い事か塾を一つだけ認めることにし、夫の仕事の幅を広げる目的で交際費を少しだけ増やしました。電球を発光ダイオード(LED)に替えたり、節水グッズを利用したりして、水道光熱費をわずかですが減らしました。新聞は朝刊のみ取り、じっくり読む生活スタイルを取り入れると、子どもも新聞に興味を持ち、紙面に掲載されるクイズなどに関心を持ち始めました。

 固定費を減らす一方、流動費を増やすことで、Aさんの家庭は以前と比べてとても明るくなりました。夫も人脈が広がり、「新しい仕事を取ってこられそうだ」と話すこともあるそうです。支出を増やした部分があっても、差し引き月2万2000円ほどを削減できたので、毎月4万9000円ほどを貯蓄できる家計になりました。

■今を犠牲にする節約は間違い

 節約、節約と頑張る家庭は多いかもしれません。節約は確かに大切です。しかし、今を犠牲にして将来に備える節約は、はっきり言って間違いです。今を大切にし、将来有益になるようなお金の使い方をしながら、必要のない支出をカットする。そんな家計管理をしてほしいと思います。

(「もうかる家計のつくり方」は隔週水曜更新です)

横山光昭
マイエフピー代表取締役、家計再生コンサルタント、ファイナンシャルプランナー。お金の使い方そのものを改善する独自のプログラムで、これまで1万人以上の赤字家計を再生。書籍・雑誌の執筆や講演も多く手掛け、「はじめての人のための3000円投資生活」(アスコム)は47万部を超え、著書累計は218万部。

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