マネー研究所

人生を変えるマネーハック

一生の趣味 見つけて続けるためのマネー術を伝授 趣味とバカンスをマネーハック(2)

2017/7/10

PIXTA

 趣味は人生の生きがいのひとつです。特定の趣味にのめり込む人はしばしばマニアやオタクと評されますが、「これは」と追求できる趣味を持つことは長い人生をともに走る伴走者を得るのに似たところがあります。

 団塊ジュニア以降の若い世代は特に、アニメやマンガ、特撮やゲーム好きの「オトナオタク」が少なくないと思います。歴女(歴史好き女子)のように最初はマンガやゲームの主人公が好きなところから入り、次第に合戦の背景や布陣、築城技術に興味を拡げ、気がつけば長く楽しめる趣味を見つける人もいます。

 今週は「趣味がある人の趣味の育て方」と「趣味がない人の趣味の見つけ方」をファイナンシャルプランナー目線で(あるいはひとりの趣味人として)アドバイスしてみたいと思います。

■趣味探しの第一歩はいろいろ飛び込む

 まず、「趣味がない」という人のための趣味の見つけ方です。筆者が定年直前者向けセミナーなどでお話をすると、趣味がなくて老後をどうするかと当惑する50歳代の会社員によく会います。そういう人は趣味をどうやって見つけようか、と悩まれるわけですが、家でごろ寝して野球やゴルフを見ているだけでは趣味は見つかりません。受け身ではなく、自ら接点をつくらないといけないのです。

 第一歩を踏み出すには、とにかくいろいろな所に飛び込んでみることです。ちょっと探してみると、自治体には初心者向けの市民講座のようなものがたくさんあります。博物館などが主催する講演会や勉強会にも面白いものがあります。大学などの講座、市区町村の講座、テレビ局やラジオ局、新聞社が開設している「○○文化センター」を少し調べてみてください。

 どれにしようか悩むなら、一度も聞いたことのない楽器の講習会でもいいでしょう(例えば、ヘルマンハープという楽器をご存じですか?)。あるいは、街歩きの講座に顔を出してみるのもいいでしょう(NHKの人気番組『ブラタモリ』を実際にやってみたいと思いませんか?)。ハードルが高そうな囲碁将棋も、初心者向けの講座を受けるだけなら気が楽です。こうした市民学習講座は多くても数十人、少ない場合は10人以下で開催されています。参加者はほとんど初心者なので、他人の目を気にする必要もありません。

■自分に合わなければすぐやめる

 こうした講座は気軽なのが最大のメリットで、「自分に合わなければすぐやめる」という選択が可能です。誰かの紹介で碁会所に顔を出してはみたものの、競技としての碁はまったく性に合わないし、人間関係もなじめなかったとすると、趣味を続けることが苦痛になってしまいます。趣味はマイペースで楽しくできることが大事です。

 市民講座の場合、途中でやめても誰も気にしません。逆に興味が持てるようなら、ステップアップとして講師の先生の学習教室に移ることもできます。「そんないい加減な気持ちで始めていいのか」と思う人もいるでしょうが、趣味なんてそれくらいでいいのです。

 私が「東京スリバチ学会」で街歩きを始めたきっかけも「週末の暇つぶし」でした。気がつけば地理歴史(といっても「高低差」と「戦前の街並み」について多少の知識があるという程度ですが)にハマって今に至ります。私は戦前・戦後のわずかな期間だけ建てられた和洋折衷の建築様式である「看板建築」マニアでもあり、首都圏を中心に3000枚以上の写真を撮っていますが、それだって「古くていい感じの家だな」と気まぐれに撮影したのが最初の1枚だったのです。

 軽い気持ちで試してください。冷やかしで飛び込んでみた趣味を気に入ったらどんどんのめり込んでいきましょう。

■旅行イベント絡みは長続きしない

 もし、狙って趣味を見つけようとするなら、考えておきたいのはその趣味は「続けられる趣味」かどうかという視点です。

 50歳代の人が何となく思う老後の楽しみは「どうしても一度行ってみたかった海外の○○へ旅行する」といったバカンス絡みのテーマかもしれません。しかし、これは長続きしないものの典型です。「四国八十八カ所霊場巡り(寺院の○○カ所巡りは全国にあります)」も同様です。旅行イベントに関連したテーマは、一度達成してしまうと何度も繰り返すタイプのものではないからです。むしろ喪失感が残ってしまいます。

 これに対して、「郷土史の掘り起こし」のようなものは、エンドレスに続けられる趣味です。私の友人には暗渠(あんきょ)マニア(前回の東京オリンピックの前後に地下水路として埋め立てられたかつての川筋を追いかける)がいますが、街歩きをしてみたり、図書館に通ってみたり、地元の老人に話しかけてみたりと楽しみが尽きないようです。ブログを書けば楽しみがまた広がりますし、本を上梓するチャンスがあれば趣味人としてこれ以上の喜びはありません。

 鑑賞の対象として常に新しい商品や作品が発売され続けるものも、ずっと続けられる趣味といえます。ゲームや映画、アニメや演劇がこれにあたります。

■大人の趣味はのんびり楽しむ

 次に、すでに「趣味がある人」について考えます。何か好きなことがあって、続けられている人はその趣味について「育て方」や「付き合い方」を意識してほしいと思います。

 予算のコントロールについては、前回のコラム「趣味はあるがお金がない 悲しい老後を防ぐ賢い貯蓄術」でも指摘しました。今、月2万円を趣味につぎ込める経済力があったとしても、一生涯その趣味と付き合いたいなら「月1万円を趣味、残りの1万円を老後の楽しみに貯蓄」とするような視点が必要です。

 後先考えずにのめり込むのも趣味の醍醐味ですが、大人の趣味はのんびりやっていくほうがいいと思います。「人生30年くらいはこの趣味と付き合っていこう」くらいの気持ちが距離感としてはちょうどいいのです。

 例えば、着物にハマった人がいたとします。しかし、いきなり何百万円もかけて一式買いそろえたとしても、その道を20年楽しんでおり、コツコツ小物を買いそろえてきた人には絶対にかないません。初心者は初心者らしくスタートすればいいのです。趣味は「かけたお金」でそのレベルが決まるものではありません。むしろ「長くつきあった時間」で深みを増すことができるのです。

 だからこそ、趣味は最初から無理をせず予算を意識してください。前述した予算を半分に抑えるのは、趣味はムダ遣いだからNGなのではなく「死ぬまで趣味にお金を費やすための戦略」なのです。

 「趣味とお金」は実はマネープラン的には永遠のテーマです。来週ももう少し、「賢い趣味出費」のあり方について考えてみましょう。

マネーハックとは ハックは「術」の意味で、「マネー」と「ライフハック」を合わせた造語。ライフハックはIT(情報技術)スキルを使って仕事を効率よくこなすちょっとしたコツを指し、2004年に米国のテクニカルライターが考案した言葉とされる。マネーハックはライフハックの手法を、マネーの世界に応用して人生を豊かにしようというノウハウや知恵のこと。
山崎俊輔
 AFP、消費生活アドバイザー。1972年生まれ。中央大学法学部卒。企業年金研究所、FP総研を経て独立。退職金・企業年金制度と投資教育が専門。著書に『誰でもできる 確定拠出年金投資術』(ポプラ新書)など。http://financialwisdom.jp

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