2017/7/7

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終活は死に対する考え方に変化をもたらしたとの指摘がある。「以前は自分の死について考えることがなかった。死といえば他人か、せいぜい近親者。死んだら、極楽か天国かあの世か、そんなところへ行くという漠然とした考えが多かった」と、死生学を専門にする第一生命経済研究所(東京都千代田区)の小谷みどり主席研究員は話す。

1990年代に入って、自分の死について考える人が増え、「自分は死んだら無になるが、大切な人は死んでも無にならないという2つの考えを持つようになった」と小谷さん。年配者の多くが「子どもに迷惑をかけたくない」と簡素な葬儀を求める背景には、自分の死に関するこの考え方があるという。一方で、残された家族がそれでよいのか悩むのは、世間体もあるが、大切な人の死に対する考え方も根底にありそうだ。

早めに家族と話し合いを

自分の死という観点が強い終活には、後に残る人に対する配慮が欠けているとの批判がある。大切な人の死は残された側に大きなインパクトを与える。家族らが悔いを残さず、納得した葬儀を挙げるには、先立つ側はどんな葬儀をしてほしいか、誰を呼んでほしいかなどを事前にきちんと伝えておく必要があるだろう。一般葬と違う形式を望むのであれば、あらかじめ家族や親族の了解を得ておきたい。

一口に家族葬と言っても、参列するのは同居家族だけか、親戚も含めるのか、親しかった友人を呼ぶのか、明確な定義はない。あいまいな言葉だけでは、残された側は戸惑ってしまう。家族など後を託す人を交えて、早いうちから話し合ったり、調べたりすることが重要だ。

ワンポイント:「葬儀一式」は一式にあらず?

葬儀の総額は、祭壇や棺など葬儀施行にかかる費用、飲食や返礼品といった別途費用、僧侶にわたすお布施の3つの合計とされる。葬儀会社のホームページやチラシには「葬儀一式」などとしたセット料金が載っているが、葬儀施行費の基本部分だけだったり、葬儀施行費と別途費用の一部だけだったりすることも多い。このため総額が当初想定した料金を上回ることも珍しくない。内容についてはあらかじめ確認しておきたい。また葬儀会社を選ぶには複数から見積もりを取り、比較検討するのが望ましい。

家族葬の相場は30万~80万円とされる。150万~200万円の一般葬に比べると金額的には安い。だが、中には飲食や火葬料金などが含まれていないケースもあり、結果として100万円を超えることも珍しくない。プランはピンきり。祭壇や料理を豪華にしたり、邸宅風の会場を使ったり、こだわれば金額はかさむ。

支払いの際は会葬者が持ってくる香典も見逃せない。一般葬より会葬者が少ない家族葬は香典の合計も少なく、葬儀の総額は安く済んでも、遺族の持ち出しが思ったより多かったということもよくある。また後日、故人の死を知った友人らが弔問に訪れることもある。度重なると対応が面倒で、「一般葬にしておけばよかった」と後悔する人もいるので注意したい。

(マネー報道部 土井誠司)

[日経回廊の記事を再構成]