名医がチェック、快眠ギア 光るアイマスクの効果は?
光るアイマスク、香るベッドライト、自律神経を整えるベルト……。これまでにない技術を駆使した睡眠ギアが、スタートアップなどから相次いで発売されている。果たしてこれらは睡眠の質を高め、疲労回復に効くのか。6商品について実際に使って検証、加えて眠りの第一人者である医師、東京睡眠医学センター長の遠藤拓郎氏がチェックした。
・21時以降は明るい光を見ない。朝は光を浴びる
・刺激を避け、深呼吸をするなど自律神経を整える
・寝る前は入浴などで体温をやや上げておく
まず、快眠の決め手の一つである「光」を活用したグッズに注目したい。
光の照射で快適に起床を促す
実勢価格3万4999円(税込み)
「ニューローン」(インテリクリニック)は、目が当たる部分にLEDを内蔵したアイマスク。スマホと連動し、指定時刻になると「自然な日の出をシミュレートした」という光で徐々に明るくなる。
数日続けて試してみたところ、倦怠(けんたい)感や憂鬱さを感じず、いつもよりすっきりと起きられた印象だった。遠藤氏によると「朝の光を浴びることと同じで、体内時計をリセットして次の快眠につなげられる」という。実勢価格は3万4999円(税込み)と高めだが、睡眠分析のログをスマホに記録できたり、時差ぼけを解消するプログラムを用意するなど機能は多い。
ヒーリング音楽や光で睡眠をサポート
実勢価格2万4000円(税込み)
光、音楽、香りの3つで睡眠に導くとうたうのが「スリーピオン」(ティ・アール・エイ)だ。電源をオンにすると間接照明がろうそくの炎のように揺らぎ、一定のリズムのヒーリング音楽が流れる。アロマオイルを染み込ませる円形のストーンも付属する。
光や音楽などが気になって寝付けないのではと心配になるが「単調な刺激はその他の刺激をマスキングして、頭の中を真っ白にできる」(遠藤氏)。実際に間接照明の柔らかい光を感じながら音楽を聴いていると、就寝前にむやみな考え事をすることなく、自然に眠りに入ることができた。
センサー内蔵のITバンド、呼吸を可視化
実勢価格1万4800円(税別)
呼吸などで自律神経のバランスを整えることも快眠には欠かせない。「ツーブリーズ」(ねむログ)は、呼吸センサーを内蔵したベルト。腹部に巻き、スマホの画面やガイド音に合わせて深呼吸を行う。深呼吸は交感神経から副交感神経にスイッチさせる効果がある。
初めはガイド音に合わせることが難しかったが、慣れてくると呼吸に集中するうちに気分が落ち着いたのか、ふと眠っていることがあった。なお、ユーザーの睡眠をセンサーが感知すると約10分後に電源が切れる仕組みのため、睡眠中のログは記録されない。
通気性や放熱性に優れる「たわし枕」
睡眠の質を決めるのは「就寝最初の90分間」(遠藤氏)でいかに深く眠るか。そのカギとなるのが体温調節だ。「人間は体温が下がると眠くなるため、就寝前は入浴などで体温をいったん上げておくといい」(同氏)。ベッドに入った後、適切に体温を下げるには吸湿性と通気性に優れる寝具が理想だ。
実勢価格9800円(税別)
立体メッシュ生地を採用した枕で体温や湿気を適度に逃し、就寝時の快適さを保てるのが「睡眠用たわし」(アイメイズプラス)だ。ユニークな形状で話題になり、品薄で現在3~5カ月待ちの状態になっている。
ヘッドスパ専門店「悟空のきもち」とたわし製造メーカー「高田耕造商店」が開発し、たわしのような毛が全体に生えていることも大きな特徴。一本一本の毛で頭を支えることで体圧分散効果も期待できるという。ただ、毛が太くて硬いため、頭皮への刺激を強く感じた。慣れないうちはタオルをかぶせて使ったほうがいいだろう。
口呼吸を封じるテープ、いびきや喉の乾燥を防ぐ
実勢価格729円(15枚。税込み)
就寝時の鼻呼吸を促すテープ。口を閉じた状態でテープを貼り、いびきなどを防いで睡眠の質を向上する。鼻呼吸は細菌などが口から入ることを防げるため「感染症予防にもつながる」(遠藤氏)。シリコーン系粘着剤を採用し、使用後はラクにはがせた。
マットレスの温度を人工知能が自動調節
直販価格5万1800円(シングルサイズ。税込み)
睡眠の様子を監視し、睡眠周期に合わせて温度調節を行う。人工知能採用で、使えば使うほどユーザーに最適化する。「心拍や呼吸などを計測できるのもいい」(遠藤氏)。冷却機能はないため夏場の使用にはあまり向かない。
(日経トレンディ編集部)
[日経トレンディ2017年7月号の記事を再構成]
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
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