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2017/7/18

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自治体の対応は様々だ。県単位では神奈川と兵庫が紙巻きと同様に規制。さらに約130の市区町村が路上喫煙規制に加熱式を加えている。ただ科料まではしない運用が多い。一方、政令市のうち福岡、北九州、大阪などは加熱式を規制していない。

専門家の中には禁煙に向けた手段として加熱式たばこに注目する見方がある。禁煙を推進する学者の中には「最善の策は完全な禁煙だが、加熱式たばこは次善の策として選択肢の一つになる」との考え方もある。紙巻きが加熱式に置き換われば、社会全体の副流煙が減る。

国際オリンピック委員会は「たばこのないオリンピック」を掲げる。20年の東京五輪・パラリンピックの前年の19年にはラグビーワールドカップが日本で開かれる。加熱式たばこの喫煙・禁煙のルール作りに猶予はない。

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社会との共存の試金石に?

日本は加熱式たばこの最先進国だ。英調査会社のユーロモニターによると、16年の加熱式の世界の売上高の約96%を日本が占める。

3月末で300万台のアイコスを国内で販売したPMIは紙巻きたばこを全てアイコスに替える戦略を掲げるが、全国販売しているのは日本だけだ。JTとBATも全国展開を計画。国内の紙巻きたばこ販売数がピーク時の半分に減る中、紙巻き減・加熱式増の傾向が続くもようだ。

BATジャパン(東京・港)広報・渉外本部長の辻了介さんは「日本は商品の新機能を厳しく評価する傾向が強く市場モデルに最適。欧米では電子たばこが普及しており加熱式が広がる余地は少ない」という。

たばこ規制の考え方は欧米と日本でかなり違う。欧米は受動喫煙防止に重点を置き、屋内は全面禁煙のことが多いが、屋外は規制なしが普通だ。一方、日本は火傷やポイ捨てを防ぐ観点から屋外での規制が進み、路上の歩きたばこを禁止する自治体が多い。

紙巻きも加熱式も吸わない人の合意が大前提。PMジャパン(東京・千代田)で自治体などを担当する福原ひとみさんは「これから社会全体で共存できる道を探る作業になる。屋外の規制が厳しい日本は世界のモデルになりうる」と話す。

▼加熱式たばこ
 タバコの葉に専用器具で熱を加えて発生した蒸気を吸う。紙巻きたばこの代替として乗り換える人が多い。臭いが少なく、有害物質の発生量は紙巻きの1割以下だとメーカー側は主張する。日本ではアイコス(PMI)、プルーム・テック(JT)、グロー(BAT)がある。ニコチンを含まない香料などを加熱する電子たばことは違い、法律上は紙巻きたばこと同じ扱い。

(大久保潤)

[日本経済新聞夕刊2017年7月5日付を再構成]