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宙に浮く加熱式たばこの規制 有害性の判別は五輪後? 日本は世界の売上高の9割超、普及の試金石に

2017/7/18 日本経済新聞 夕刊

メキシコ料理店「TIOTIA」は禁煙の店内に「加熱式たばこ可」と表示、松田和典オーナー(右)がお客さんに薦めることもある(群馬県高崎市)

 2020年の東京五輪・パラリンピックを前に受動喫煙防止の議論が過熱するなか、火を使わない加熱式たばこが普及している。もっとも有害性の知見は定まっておらず、規制は未整備。原則禁煙だが加熱式はOKという飲食店も出始めている。日本は世界の加熱式の売上高の9割を占める「先進地域」で、社会に受け入れられるかどうかの試金石にもなりそうだ。

PMIの「アイコス」

 群馬県高崎市にあるメキシコ料理「TIOTIA(ティオティア)」。昨年から禁煙の店内で加熱式を吸えるルールにした。「加熱式たばこ可」のステッカーを作り、禁煙マークと並べて表示する。加熱式たばこ専用の紙製の「吸い殻入れ」も用意してある。

 オーナーの松田和典さんは群馬県飲食業生活衛生同業組合の副理事長を務める。松田さんが中心となり高崎駅周辺の飲食店を紹介するガイドブックを3月に作成。111店舗中「加熱式たばこ可」の13店にはマークをつけた。「携帯電話が一気に広がったように、加熱式たばこは急速に広がりつつある。自分もたばこを吸っていたので、吸う人と吸わない人が気持ちよく共生できる環境をつくりたい」と松田さんは話す。

 同店内で加熱式たばこを楽しむ会社員の男性(34)は2カ月前に紙巻きから替えたという。「酒を飲みながら店内で吸えるのはありがたい。ただ、臭いが気になる人もいるので吸っていいかどうかを必ず確認する」という。この日同席した友人からは「加熱式なら許そう」とお墨付きをもらっていた。

JTの「プルーム・テック」

 受動喫煙防止の対策は今国会での法整備が自民党の慎重姿勢もあり、先送りになった。規制を強化したい厚生労働省は加熱式たばこについて「科学的な知見が十分ではないので法の規制対象にするかは現段階で判断できない」(健康課)。有害性の証明には10年以上かかるとの見方もある。

■自治体・民間は独自ルール作り

 法整備が遅れる中、現場は独自のルール作りを進めている。加熱式たばこを販売する日本たばこ産業(JT)、米フィリップ・モリス・インターナショナル(PMI)と英ブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BAT)の日本法人の大手3社は、紙巻きたばこの禁止を示すマークと各社の製品ロゴを並べ、加熱式は「OK」とするステッカーを6月に共同で作り、自治体や飲食店に配る。利用者が判断しやすい環境づくりをする狙いだ。

BATの「グロー」

 レンタカーとカーシェアリング大手のオリックス自動車(東京・港)は加熱式たばこが吸える車両を都内で60台導入。タクシー事業を展開する岐阜交通(岐阜市)は5月から加熱式を吸えるモニター車両を48台導入した。岡本朋大社長は「利用者の要望を受けて、車内の臭いなど吸わない人の評価を含めモニター車両で調査している。反応を見て正式導入の可能性を見極めたい」と話す。

 一方、紙巻き同様に規制する例もある。周囲への有害性のリスクや不快感がゼロではないためだ。JR北海道は09年から加熱式や電子たばこの車内での利用を禁じている。JR東日本なども「受動喫煙防止の観点から規制する方向で検討している」という。「ラ・ボエム」「権八」など約50の飲食店を運営するグローバルダイニングは10年から全店舗を禁煙にしており、加熱式についても「お客様や従業員の健康を第一に考え規制している」。

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