それじゃ塩対応! 相手が不快な3つの「断り英語」
デイビッド・セイン「影の英語」(35)誘いを断る
ひとつの言葉は様々な顔を持っています。日本人の言葉が意図していない意味合いで伝わることもあります。日本人向けの英語教育で豊富な経験を持つデイビッド・セインさんが、日本人が使いがちな言葉から「影にある意味」を紹介します。今回は、同僚から飲みに誘われる場面です。
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社会に出れば、気が合うとばかりは言い切れない、ただ同じ職場にいるだけの人たちとのつき合いも多くなります。好む人、好まない人、様々ですが、現在、新入社員の約3割が仕事関係者との夜の付き合い、いわゆる飲み会を好まないそうです。行きたければぜひ楽しんでください。でも行きたくないときは? 相手の気持ちを傷つけず、不快に思わせない対応が必要です。
We're going drinking after work tonight. Do you want to join us? 「仕事の後、一杯やりに行くんだけど、君もつき合わない?」
正しい訳:興味がありません。
影の意味:あなたたちと一緒に行くのは興味がありません。
not を含んだ否定表現は往々にして相手には強く感じられます。特に自分たちに向けられた言葉であれば、その感は強くなります。避けたい表現のひとつです。
正しい訳:今夜は約束があります。
影の意味:ちょっと今夜は約束が……。
嘘を言う時の常套句のひとつ。もし、嘘であった場合は信頼を失います。本当に先約がある場合もあります。許される限り具体的に言えば嘘であるという疑念は払拭されることでしょう。
正しい訳:ちょっと疲れてしまってね。また次にお願いします。
影の意味:ちょっと疲れてしまって。次回は必ず、約束します。
あり得る理由です。ただし、本当であればという条件付きです。次回もまた同じ理由で断るとすれば嘘つきと思われることになってしまいます。
これなら「影の意味」はない!
すみません。今日はまっすぐ家に帰らなければなりません。
「家に帰らなければならない」という理由には疑念をさしはさむ余地はありません。家族の病気かもしれないし、お祝い事かもしれません。そう言われれば受け入れなければならないでしょう。ただし、Sorry. のひと言は忘れずに。
すみません。バーは少し苦手です。
正直な理由であり、好みの問題。異論をはさむ余地はありません。Sorry.を忘れずに。
* really into:夢中である、ぞっこんである
残念ですが、私お酒は飲まないんです。ですからパスします。
断るには色々な理由があります。宗教上の理由もありますし、健康上の理由もあります。お酒を飲む習慣がないことも立派な理由になりえます。率直に述べることが大切です。
あなたが知らない本当の使い方―― interest
interested in 「~に興味がある」は誰もが知っているフレーズです。interestは「動詞」であれば「興味を引く、興味を起こさせる」の意味で、「名詞」であれば「関心、興味」になりますが、他にも「利子、利息、利益、利害」などの意味があります。
・Interest rates are going down, so that will reduce our interest expense. 金利が下がっているので、我々の支払い利息を減じるでしょう。
*interest rates:金利、利率
・Our company has an active interest in protecting the environment. わが社は環境保護には積極的な関心を持っています。
*active interest: 積極的関心 環境を保護する: protect the environment
・What can we do about the diminishing interest in our service? わが社のサービスに対する興味の減退について我々は何ができるでしょうか?
*diminish interest in:~に対する興味を減退させる
*the diminishing:減退
・ABC has expressed interest in a joint venture. ABC社はジョイントベンチャーに対する興味を表明しました。
*joint venture:合弁事業/企業
*express interest:興味を表明する
・I think we need to advertise in general interest publications. わが社は一般誌に広告宣伝を出す必要があると思います。
*general interest publications:一般誌
・The human-interest stories are the most popular in the magazine. 雑誌の中では三面記事が最も人気があります。
* human interest stories:新聞、ニュース、雑誌などで人々の興味や共感を引く話、三面記事
・I think that ABC lacks interest in investing in a new factory. ABC社は新しい工場への投資に対する関心が低いと思います。
*lack interest in:~に対する関心、興味がない/関心、興味が低い)
・I have a lifelong interest in protecting the rainforests. 私は熱帯雨林に対しては生涯にわたる関心を持っています。
*lifelong interest in:~に対する生涯にわたる関心
・I don't think this information will be of interest to our clients. この情報がわが社のクライアントにとって興味深いだろうとは思いません。
* be of interest to…:~にとって興味深い
・This article might spur interest in traveling overseas. この記事は海外旅行への関心を刺激するかもしれません。
* spur interest in:~に対する関心、興味を刺激する
・I don't think that this project will attract the interest of investors. このプロジェクトが投資家の関心を引くとは思えません。
*attract interest of:~の関心、興味を引き付ける
他にもdraw the interest of…, capture the interest of…, arouse the interest of…のような言い方があります。
「面白い」と言えばinteresting が思い浮かびますが、その意味を考えると同時に別の表現も探ってみましょう。
interestingは、「面白い」を表す最も一般的な形容詞です。興味をそそられる、関心を集める、興味深く感じる場合の表現です。an interesting book 「面白い本」 an interesting question 「興味をそそられる質問」など。何かに誘われて面白そうだったら、That sounds interesting. 「面白そうだね」
funnyは名詞fun「楽しいこと、面白いこと」から来た形容詞で、「ちょっと滑稽な、笑える」を意味します。That's a funny joke. であれば「笑える(面白い)冗談だね」ということです。
もうひとつfunnyには「奇妙な」の意味があります。This milk smells funny. であれば「このミルク、変な匂いがする」の意味。This milk tastes funny. なら「このミルク、変な味がする」になります。このfunnyはあまりよいニュアンスを含んではいません。
「面白い」でも「ハラハラ、ドキドキさせる」のはexcitingです。 Wow, that's an exciting game. なら「何て白熱した試合なんだ」。It's always exciting to travel overseas. なら「海外旅行するのはいつだって刺激的です」。
表現をちょっと変えてみるだけで、あなたの言葉はいきいきします。ひとつの単語を覚えたら、またひとつ……のように語彙を増やす作業も面白いものです。
Never give up!
: D セイン
※デイビッド・セインの「ビジネス英語・今日の一場面」は木曜更新です。次回は7月13日の予定です。
米国出身、20数年前に来日。 翻訳、通訳、執筆、英語学校経営など活動は多岐にわたる。企業や学校の人気セミナー講師。英語関連の出版物の企画・編集を手掛けるAtoZ(http://www.atozenglish.jp)・AtoZ 英語学校代表。