インデックス投資 ワクワク感は得られるか(渋沢健)コモンズ投信会長

日本のバブル期のピークである1989年末の株式時価総額(東証1部上場企業)は611兆円であった。アベノミクスの追い風で2015年5月には620兆円とバブル期を超えたが、現在は616兆円ぐらいで推移している。ほぼ横ばいだ。

これに対し、米国の89年末の株式時価総額は約3.4兆ドルで、現在は27兆ドルぐらいに急拡大しており、およそ8倍の成長だ。特筆すべきなのが75年には7500社ほどあった上場企業が、現在では3700社程度と半減していること。新しいチャレンジャーにも裾野を広げながら古い体質を脱ぎ捨てるという、成長フロンティアを開拓してきた米国の経済社会のダイナミズムが見えてくる。

日本の場合、89年末の東証1部上場企業は1165社であった。現在は2024社とほぼ倍増している。企業数が増えているのに時価総額がほぼ横ばいであるということは、いかに日本の経済社会の新陳代謝が乏しいかという状態を示している。これが日本株の投資リターンの低さにつながっているとみられる。

改善の兆しが見えながらも、米国のようなダイナミズムが日本で働いているとは残念ながら思われない。ただ、前回のコラム「株価指数ではわからぬ 投資のダイナミズム」でも述べたように、国内のみならず、世界においても競争力を発揮している日本企業は存在する。彼らは「平均」的でもなく、「全体」的でもない。

アクティブ型が健闘との調査も

そして、そのような企業に厳選投資することによって長期的パフォーマンスを上げているアクティブ型ファンドもある。アクティブ型でありながら、販売手数料ゼロ、1%程度の信託報酬、個人の長期投資家としっかり向き合っているファンドだ。そのようなアクティブ型ファンドは長期投資の選択肢に入ってもいいだろう。

実際、日本株の投信はアクティブ型の健闘が目立つとの調査もある。「長期的にアクティブ型はインデックス型に負ける」という定説は単純には当てはまらない。理由として考えられるのが前述した市場全体としての新陳代謝の乏しさだ。

グロービス経営大学院の「あすか会議」に講師として招かれ、若手論客の安部敏樹さん(一般社団法人リディラバ 代表理事)と資本主義について対談した。これからの時代は「働き方」がカギだと感じた

冒頭の話に戻れば、形式的ではなく、本質的な内容についてきちんと説明することが「顧客本位」のはずだ。コストが安いからだけでは、不十分といえる。

投資は状況によって価格が変動する。不確実性というリスクもある。しかしながら、リスクではあるが何かを得られる可能性というワクワク感も投資では重要な要素だ。それはつまり、投資先の企業の持続的な価値創造にかかわり、社会をより良くしたいという投資家としての未来志向の行動だ。果たして、インデックス型ファンドに投資してワクワク感は得られるであろうか。

渋沢健
コモンズ投信会長。1961年生まれ。83年米テキサス大工学部卒。87年カリフォルニア大学ロサンゼルス校MBA経営大学院卒。JPモルガンなどを経て、2001年に独立し、07年コモンズ株式会社(現コモンズ投信)を創業、08年会長就任。著書に『渋沢栄一 100の金言』(日経ビジネス人文庫、2016年)など。
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