マネー研究所

カリスマの直言

インデックス投資 ワクワク感は得られるか(渋沢健) コモンズ投信会長

2017/7/10

PIXTA
「日本でもようやく長年の懸案だった個人投資家による『貯蓄から資産形成』への土台が準備されつつある」

 昨今の時代の変化や金融庁の指導によって、資産運用ビジネスを担う金融機関には「顧客本位の業務運営」が求められている。これによって、長年の懸案だった個人投資家による「貯蓄から資産形成」への土台が準備されつつある。

 資産形成とは長期的に行う投資だ。では個人投資家は具体的にどんな商品に投資すればいいのか。いつも議論になるのが、インデックス型ファンドかアクティブ型ファンドかだ。だが、運用成績が市場全体に連動するインデックス型ファンドには欠けているものがある。個々の企業の成長に投資するダイナミズムだ。

■コストならインデックス型が優位

 インデックス型ファンドを推薦することは確かに理にかなっている。特に長期投資の場合、毎年のコストの積み重なりを抑えることは投資家にとって好ましいことだ。したがって、コストの面だけを判断基準にするのであれば、インデックス型ファンドのほうが、ファンドマネジャーが運用するアクティブ型ファンドより魅力的である。

 米国など海外の傾向を見れば、コストが安いインデックス型ファンドのほうが一般的アクティブ型ファンドより長期的なパフォーマンスが良いといわれている。そして、教科書的な文献を引用するロングセラーには、こう書いてある。個別銘柄を選別する投資より、インデックス型ファンドを長く持つほうがいいと。ただ、そのような文献の根拠になっているのは米国での分析だ。果たして、日本でも同じことがいえるのであろうか。

 市場実勢をより反映したものとして、日米の時価総額ベースの株価指数を比較してみよう。東証株価指数(TOPIX)を構成する上位10銘柄は、トヨタ自動車(6月末時点での時価総額構成比は3.2%)、NTT(1.9%)、三菱UFJフィナンシャルグループ(1.8%)、NTTドコモ(1.7%)、ソフトバンク(1.7%)、日本たばこ産業(1.3%)、KDDI(1.3%)、ゆうちょ銀行(1.1%)、日本郵政(1.1%)、三井住友フィナンシャルグループ(1.0%)だ。

弊社のコモンズ30ファンドの投資先であるリンナイの瀬戸工場(愛知県瀬戸市)を個人投資家の方々と見学した。企業の持続的な成長を支える「見えない価値」を体感した

 一方、米S&P500種を構成する上位10銘柄は、アップル(同3.6%)、アルファベット(=グーグルの持ち株会社、2.7%)、マイクロソフト(2.6%)、アマゾン・ドット・コム(1.9%)、フェイスブック(1.7%)、ジョンソン&ジョンソン(1.7%)、エクソンモービル(1.7%)、バークシャー・ハザウェイ(1.6%)、ウェルズ・ファーゴ(1.2%)、バンク・オブ・アメリカ(1.2%)だ。

■新陳代謝が乏しい日本市場

 日本のTOPIXと米国のS&P500種の上位10銘柄の時価総額の構成率に大差はない。ポイントは顔ぶれの違いだ。

 日本の場合は、ソフトバンクを除く企業は基本的にオールドエコノミーである。そして、トヨタを除くと内需型の企業が多い。一方、米国のS&P500種の上位10銘柄のうち、上位5銘柄はIT(情報技術)系のニューエコノミーだ。米国内だけではなく、世界において新しいライフスタイルを提供することに成功した新興企業である。日米の市場における新陳代謝が全く異なるのだ。

マネー研究所新着記事

ALL CHANNEL