新感覚けん玉で世界と勝負! 注目玩具12選(後編)
2017年6月1~4日に開催された「東京おもちゃショー2017」で見つけた興味深い玩具を厳選。前編の「究極の卵かけご飯が作れる? 注目玩具12選」に引き続き、後編では、スマホと連動する玩具など6種類を紹介する。
けん玉にセンサーで世界と勝負
「電玉」は、ジャイロセンサーと加速度センサーなどを内蔵し、Bluetoothでスマホとつながることで遊びの幅を広げることが可能な「けん玉」だ。普通にけん玉で遊ぶだけで、各種のセンサーによって技が決まれば、それがスマホ画面に表示される。スマホの専用アプリを使うと、表示される技を決めていくゲームや、2人で技を競い合うゲームなどが行える。アプリはネット対応で、離れた相手とも対戦できる。
この製品のポイントは、けん玉自体はセンサーこそ入っているものの、普通のけん玉だということ。単体でも練習できるし、スマホにつながなくても遊べる。デザインもちょっとカッコいい。そのうえで、けん玉にゲーム性を付与するためにデジタルを使っている。この、アナログとデジタルのバランスが良いのだ。
実際にプレイを見ると画面の反応も良く、「日本一周」を決めれば即座に画面に効果音と共に「日本一周」と表示され、盛り上がる。玉を持って棒を入れる技や、くるりと玉の周りを1回転して棒に差す技などの、けん玉ならではの複雑な技にもかなり対応(皿ではない部分に乗せるタイプの技には未対応)している。ライトノベル「ソードアート・オンライン」とのコラボレーションも予定されているなど、これからの展開が楽しみだ。
味わい深い写真になる
「プリントス」は、スマホの画面をプリントアウトする玩具だ。驚くのは、その方法。操作は、スマホにプリントしたい写真を表示させて、画面を下向きにして、プリントス本体の上に置き、本体のシャッターを切るだけ。あとは、フィルムを取り出すダイヤルを回せば、あらかじめセットしていたチェキ用のフィルムに写真が写っているというわけだ。つまり、スマホの画面を撮影しているだけなのだ。
カメラ部分は、露出もピントも固定の2枚構成のレンズに、機械式のシャッター、手動のフィルム送りだけ。だから、電池も不要だ。スマホの画面が明るいから、照明も必要ない。
撮影された写真はデジタルで印刷したものに比べてやや解像度も落ちるし、レンズによる歪みや周辺の光量落ちもあって、味のあるフィルム写真のように仕上がるのが面白い。本体は折り畳み式で持ち運びも簡単。問題は、チェキのフィルムが高いことだが、そこは普通にプリンターで出すのと使い分ければよいだろう。
デジタルデータをもう一度アナログ写真に変換するというアイデアと、こんなにシンプルな形で実現した技術に、日本の玩具業界の素晴らしさを感じた。実際の作例も何とも味があって良い感じなのだ。鮮明で高解像度だけが写真ではないということを教えてくれる製品でもある。
「きのこ」と「たけのこ」がオセロに!
囲碁は面白いが、ルールが分かれば打てるというものでもないので、なんとなくハードルが高い。ルール自体はすごくシンプルだけれど、ゲームにおける自由度があまりに高くて、何をどうして良いのかを理解するのに時間がかかる。つまり、囲碁という世界の考え方を理解し、身に付ける必要があるのだ。この「囲碁パズル 4路盤」は、囲碁の世界の感覚を身に付けるのに最適なゲームだと思う。
囲碁を徹底的にシンプルにして、16個しか打つ場所がない小さな世界に限定し、そこで囲碁のルールを元にしたパズルを解いていく。パズルといっても、問題図に描かれた通りに石(この場合、木製だが)を置いて、白石を全部取れればクリアというものだから、限定されているとはいえ、ほぼ囲碁だ。デザインもしゃれているしコンパクトだし、いつも持ち歩いて、パズルを解いていけば、囲碁の考え方、面白さが理解できるはずだ。
対戦ゲームのなかでは、幻冬舎エデュケーション局「ペチャリブレ」(1500円)も興味深い。自分のキャラがいかに相手のキャラより強いかをしゃべりながら戦うゲームだ。
また、あの人気菓子の派閥争いが玩具になって登場した。メガハウス「きのこの山VSたけのこの里 オセロ ゲーム3」(1980円)は、オセロの駒がリアルなきのこの山とたけのこの里の形になっているのだ。はさみ将棋、4目並べもできる。
オリジナルの消しゴムを作るキット
バンダイ「はじめてのオリケシ チビケシスタンダードセット」(2500円、7月15日発売予定)は、オリジナルの消しゴムが作れてしまう玩具だ。「オリケシ」というのは「オリジナル消しゴム」の略らしい。バンダイはこれまでも缶バッジを作るおもちゃなど自作系のおもちゃを多く手がけていて、このオリケシも今回が初めてではないらしい。しかし、文具ブーム、自作ブーム、カスタマイズブームの中で、オリケシシリーズの新作を投入してくるというのは、さえているといってよいのではないだろうか。
設計図が描かれたシートの通りに、材料になる細く小さな消しゴムの素を並べて、出来上がったらふたをして電子レンジで加熱。実際に使える、オリジナルの消しゴムができてしまう。慣れてくれば、形も複雑で大きな消しゴムが作れるセットにステップアップできるように、ラインアップがそろっているのもうまい。何にせよ、自分でデザインされた消しゴムが作れるのはインパクトがある。
(文・写真 納富廉邦)
[日経トレンディネット 2017年6月9日付の記事を再構成]
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