カズレーザー 「ビジョンは全くなし」が大躍進の秘密

日経エンタテインメント!

日経エンタテインメント!の2017年版「ブレイクしたと思う芸人」の調査で1位になったのが、メイプル超合金のカズレーザーだ(記事は「ブレイクした芸人、1位カズレーザー 2位古坂大魔王」)。

2015年の「M‐1」以降、テレビ出演が激増。コミック『コブラ』の扮装、バイセクシャルを公言、同志社大学出身のインテリ、相方の安藤なつは130キロと、キャラクターの宝庫で瞬く間に人気者になった。16年は、クイズ番組やバラエティー番組での悩み相談で頭の回転の速さや洞察力を発揮して一目置かれるように。そして17年4月には、新たなレギュラー番組が3つ決まった。なかでも、『絶対!カズレーザー』(テレビ朝日)は初の冠番組となる。

1984年7月4日生まれ、埼玉県出身。ピン芸人を経て、12年にメイプル超合金を結成。レギュラーは『絶対!カズレーザー』(テレビ朝日)、『沸騰ワード10』(日本テレビ系)、『良かれと思って!』(フジテレビ系)など(写真:中村嘉昭)

バラエティー出演はご褒美

「『絶対!カズレーザー』は収録ごとに企画もディレクターさんも変わるので、毎回全然違う空気ですね。印象的だったのは、『私って美人ですよね?』の企画です。女性タレントさんを呼びつけておいて、資料を見ながら僕の独断で『あなたはブスです』って判定する謎の構図(笑)。権力を笠に着た感じがめちゃくちゃ楽しかったなぁ。こんなこと、テレビの力がないとできないですもんね。

冠番組だからといって、意識の変化はないです。僕はいただいた企画をやるだけなんで。だって、勝手に始まっちゃったんですよ。困ったなーって。

でも、自分から前へ出られる人は、そうしたほうがいいんじゃないですか。あばれる君とか、三四郎の小宮(浩信)さんとかすごい面白いですし、尊敬します。僕はああいう感じはできないんで。

テレビには、ちょっと画面に映る観覧のお客さんぐらいのつもりで出ています(笑)。話を振られたら、本当に思ったことを言うだけです。僕、褒め言葉も批判も耳に届かないタイプで、外からの評価はどっちでもいいというか。

僕らが出てこられたのって、見た目の突飛さだけ。メイプル超合金って、ライブでも全然ファンがいなかったんですよ。今では贈り物が届いたり、声をかけていただいたり、信じられないですね。

テレビと芸人さんが好きなので、バラエティーはご褒美で出させてもらっている感じです。求められれば、どんな仕事でもやりたいです。

今みたいな生活が続いたらうれしいけど、続かなくても仕方ないかなとは思います。芸人になってから、ずーっと楽しいんですよ。芸人って、社会に余裕がなかったら真っ先に削られる業種じゃないですか。何も生み出していないんだけど、それが職業として成立しているのがいいなって。今後のビジョンは全くないですが、表に出られなくなっても、芸人と関わりのある仕事はしていきたいです」

テレビに出始めたばかりの若手芸人であれば、「結果を出したい」と必死になるのが普通だが、カズレーザーには野心や気負いが全く感じられない。「今後のビジョンは全くない」と言い切る規格外の魅力が、大躍進の秘密なのだろう。

『絶対!カズレーザー』 古瀬麻衣子プロデューサーに聞く

『絶対!カズレーザー』(火曜25時56分/テレビ朝日) 芸人として絶対的な存在になれるように、ロケ、クイズ、時には書評など、カズレーザーが様々なことに挑戦する。企画は、局内のバラエティ班から募集して決めている

「私が初めてカズさんと仕事をしたのは、『聞きにくい事を聞く』だったんです。芸能界の先輩に、気になるけど聞きにくいことを聞いてもらったのですが、相手を見つけた途端『すいませ~ん』って走り出して、自己紹介もしないままズバッと聞いちゃったんですよ。何かやってくれそうという期待感を持ちましたね。

つかみどころがなくて、何も考えていなさそうなんだけど、一瞬でいろんなことを理解して、言うことは的を射ている。そのミスマッチが魅力になっているし、後にも先にも、こんな芸人さんはいないのでは。インタビューではああ言っていましたが、『絶対!カズレーザー』を良いものにしようと、単刀直入に意見を言ってくれます。その分こちらも、緊張感を持って制作しています」

(ライター 内藤悦子)

[日経エンタテインメント! 2017年7月号の記事を再構成]

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