リーダーが語る 仕事の装い

装いは「人生の決算報告書」、心見透かす「内視鏡」 フリーアナウンサー 古舘伊知郎氏(下)

2017/8/6

本格的にファッションに目覚めたのは男子校に通っていた高校のころだ

 「少し話がそれました。僕は1954年生まれ。高校に入ったときは、男がファッションに血道を上げるのは情けないという時代だった。でも、少し上の団塊世代が着始めたアイビーやトラッドに強烈に憧れました」

 「学ランの下にVAN(ヴァンヂャケット)の赤いセーターを着ていったときには、柔道5段の生徒指導の先生に怒られてセーターを引きちぎられました。男子校だったから、遠い存在の女性に対するあこがれは強かった」

 「もてたいから必死にね、お洒落(しゃれ)な格好して。大学に入ってからは、いい車やいい服がいわばよろい甲冑(かっちゅう)です。スポーツカーに乗れば、自分のスタイルも格好いいのだと思える。女性にも、いい車に乗っている男はいい男だという幻想があった」

 「今の若い人は違いますね。草食系とかノンセックスとかが当たり前で、脂ぎっているのはムチャ格好悪い。それはファッションにも表れているのかなあ」

 ――古舘さんにとってファッションとは何でしょう。

 「うーん、内視鏡ですね。なぜかというと、その日の自分の気分が出る。落ち込んでいるときはファッションに出る。如実に出ますね」

 「いい年をしたら、ファッションは人生の決算報告書でしょう。出ますよ、それまでの生き方や経験の良いも悪いも。こんなふうに意識するようになったのは、40代の頃からですね。結果的に良いも悪いもすべて出る。繕って、二重帳簿を作っていても絶対ばれちゃいます。まあ、ファッションは要素がとても多いから、正確には連結決算書になりますね」

(聞き手は若杉敏也)

 前編「ダークスーツ一辺倒なんて思考停止 お洒落は工夫次第」、中編「ニュースがカジュアル化、だからタイは外さなかった」もあわせてお読みください。

「リーダーが語る 仕事の装い」は随時掲載です。

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