ライフコラム

リーダーが語る 仕事の装い

ニュースがカジュアル化、だからタイは外さなかった フリーアナウンサー 古舘伊知郎氏(中)

2017/7/30

 フリーアナウンサーの古舘伊知郎氏は2004年から2016年まで、報道番組のキャスターを務めた。ニュースを「実直」に伝えるために、番組起用と同時に装いを一新、あえて「サラリーマン化」したという。前回掲載「ダークスーツ一辺倒なんて思考停止」に引き続き、古舘氏に報道現場だからこそ心がけた「メッセージとしてのファッション」について聞いた。




 ――アナウンサーとして25年以上のキャリアを積んだ後、テレビ朝日系「報道ステーション」のキャスターになりました。装いで心がけたことはありますか。

 「ファッションはもともと好きでしたから、仕事を通じてカジュアルから正装までいろいろ勉強してきました。そういう経験を踏まえた上で、報道ステーションの12年間は白いシャツにダークスーツ、ネクタイという『決め』を作りました」

 「これはスタッフみんなで考えたことです。前任者の久米宏さんはヒゲをはやして、ブルゾン着たり、ネクタイ締めないでわざとやったりしていらっしゃった。ニュースのカジュアル化をはかって大成功した久米さんの後に、そのまねをしても討ち死にするのが関の山だと思った」

 「時代は移ろった。『右』だ『左』だと言わなくなり、左右の座標軸もおぼろげになっていた。そこで、『誠実に』『実直に』『愚直に』というコンセプトを決めて、かちっとした服装にしたんです。ファッションを『サラリーマン化』した。わざとね」

 「夏になる度に地球温暖化特番をやるでしょう。『おまえ、なんでクールビズにしないんだ』と視聴者からのクレームがどんどん来る。『冷房の効いたスタジオで涼しげにやりやがってこの野郎』と。よっぽどネクタイを取ろうかと思ったけど、やめた。仮にネクタイを外して室温を下げずに汗だくでやったとしても、逆のクレームが来るんです」

■ファッションは哲学であり武装である 

 「いちどね、猛暑で気温が40度超えたってときに、ドラマ撮影用の大きなストーブを背後に置いて『こんばんは、報道ステーションです』ってやったんです。ナイアガラの滝のような汗かいて、ジャケットがボタボタの汗で変色するひどい状態でね」

 「室温を40度以上に上げて『これが今日の埼玉県熊谷市の気温です』とやった。ストーブが当たる背中はもう65度くらいですごかった。そしたらものすごいクレームでしたよ。『そうじゃなくても暑いのに』と」

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