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マネー研究所
美味しいお金の話

食べる前にまず「保存」 先取り貯蓄、手段広がるファイナンシャルプランナー 風呂内亜矢

2017/7/7

美味しいお金の話

PIXTA
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夫婦2人暮らしの我が家では、たまに出前を取るのですが、店によっては2人前とは思えないほどのボリュームがあります。このとき、すぐに食べない分は食べ始める前に冷凍などして保存しておけば、別の機会の食事に充てられるため、「出前は意外と経済的なのでは」と思うこともあります。こうした工夫は、お金の守り方にも似ています。

見えるところにあると使う

お金は目の前にあると、たとえ貯金上手の人でも使いたくなります。給与が振り込まれた後、できるだけお金を使わないように過ごし、余った分を貯金しようとしても、お金を余らせることはなかなか難しいのです。このため、「ためるのがうまい人は我慢強いのだろう」と考える人も多いのですが、意外とそうではありません。ためるのが上手な人は「仕組みづくり」をしているのです。

給与が振り込まれると、まず貯金すべき金額を別の場所によけ、残ったお金で生活をする仕組みをつくります。これを「先取り貯蓄」と呼び、貯蓄習慣を築くうえで王道の方法です。

ボリュームがある出前も、そのまま食べ始めると、食欲のまますべて食べ切ってしまうでしょう。またいったん手をつけた料理を保存し、後から食べるのには衛生面で気が引けます。後から食べる料理は食べ始める前に取り分け、冷凍庫などで保存するからこそ、次回の食事の食材になります。給料日に振り込まれたお金もすべて一緒に管理をしていると、「使うお金」か「ためるお金」かがあやふやになり、多くの場合、欲望のまま全部使ってしまいます。使うお金とは別に、ためるお金、後から使うお金ははっきりと別の場所に移動することが重要です。

定額自動入金などのサービスも

先取り貯蓄をする方法は色々あります。勤務先の会社に財形貯蓄の制度がある人が新入社員のころから貯蓄を続け、気付いたら500万円たまっていたということもあります。保険で積み立てをする人もいます。ただ保険の場合、毎月支払う保険料すべてが積み立てに回るわけではありません。保障のためのお金や経費が差し引かれますが、満期で受け取る金額が支払保険料の総額を確実に超える商品であれば、利用してもいいでしょう。その場合、生命保険料控除の対象となる年間8万円までを保険料の目安にします。

最近はネット銀行のサービスで「定額自動入金」いうのがあります。「毎月5万円」など決まった金額を他行の口座から自行の口座に自動入金するサービスで、手数料無料で提供しているところが多いです。通常、給与振込口座から別の銀行に対して毎月定額の送金をすると、600円以上の手数料がかかる場合もあるなど、そもそも違う銀行にお金を動かすことには手数料がかかります。これに対し、定額自動入金は預金者からは手数料を取りません。ソニー銀行、じぶん銀行、住信SBIネット銀行、イオン銀行などが実施しています。

確定拠出年金(DC)での投資も先取り貯金(投資)の手段になります。原則60歳まで引き出せないため、それまで手をつけたくないお金を守るために有効です。ただし、教育費や住居費など60歳以前に使う可能性がある金額は充当しないよう気をつけましょう。

理想の貯蓄割合、手取りの25%

理想の貯蓄割合は手取りの25%という目安があります。手取りの月収が30万円の家庭であれば、月7.5万円貯蓄できれば理想的です。でも貯蓄をまったく意識したことがない人には、少しハードルが高いかもしれません。まずは5%など確実に手をつけずに済む金額を先取り貯蓄に回すのがおすすめです。苦しくなって先取り貯蓄を引き出すことを繰り返すと、貯蓄用の口座を取り崩すことへの罪悪感がまひしてしまうからです。取り崩さずにすむ現実的な金額を別の口座に管理して、その習慣が定着したら手取りの10%、15%と先取り貯蓄の比率を上げていけば、お金がたまる仕組みができます。

風呂内亜矢
 1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP認定者、宅地建物取引士。26歳でマンションを購入したことをきっかけにお金の勉強を始める。2013年ファイナンシャルプランナーとして独立。著書に『その節約はキケンです―お金が貯まる人はなぜ家計簿をつけないのか―』(祥伝社)、『デキる女は「抜け目」ない』(あさ出版)などがある。管理栄養士の資格も持つ。http://www.furouchi.com/
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