強くこすると目が「脱臼」 目によくない習慣4つ
加齢とともに、目の各部位は機能が低下して見えづらくなる。ピント調節を担う「毛様体筋」の伸縮性が低下して起こるのが老眼、レンズである「水晶体」が濁って、視界がぼやけるのが白内障だ。
ただ、知らず知らずのうちに行っている習慣が目の機能低下を加速させたり、病気を引き起こすことも。よかれと思ってやっていても効果がないことがある。
専門家が指摘する「目によくない間違った習慣」は4つだ。
急性型緑内障になることも
1つ目は、目をこすること。花粉症やアトピー性皮膚炎などがあるとかゆくて目を強くこすってしまうが、「強い刺激を与え続けると、眼内で水晶体を支えているチン小帯がゆるんでしまう」と三井記念病院の赤星隆幸部長は話す。「チン小帯がゆるむと、水晶体が本来の位置からずれ(脱臼)、急に眼圧が上がって、視力低下、吐き気、頭痛などの急性型緑内障を起こすこともある。さらに、白内障手術をしても、術後に移植した眼内レンズがずれたり、数年後に眼内レンズが落ちてしまうことも」(赤星部長)
2つ目は、使い捨てコンタクトレンズの使用期限を守らないこと。「汚れたレンズを使い続けると、レンズ自体を異物と見なしてアレルギー反応が起き、まぶたの裏にブツブツができる巨大乳頭性結膜炎(きょだいにゅうとうせいけつまくえん)に。レンズが上方にずれて、目がかゆくなり、目やにが出る。それがまたアレルギーの原因になり悪循環に」と赤星部長はいう。
3つ目は、市販のドライアイ用の点眼薬に頼りすぎること。「ドライアイの原因はさまざま。合っていない点眼薬、特に市販のものを使っても改善しないこともある」と大宮七里眼科の山崎健一朗院長は言う。
最後に、目の運動。目が疲れたら、遠くと近くを交互に見る目の運動を行っていないだろうか。「ピント調節を行う毛様体筋は、近くを見るときに収縮し、遠くを見るときにゆるむ。眼精疲労の場合は、毛様体筋は収縮させず、遠くを見てゆるませることが大切」と山崎院長は言う。赤星部長は「ぬれタオルを温めるか冷やして、まぶたの上に乗せてリラックスを」と話す。
三井記念病院眼科(東京都・千代田区)部長。自治医科大学卒業。患者への負担が少ない白内障手術の新しい術式「フェイコ・プレチョップ法」の考案者。白内障治療の世界的権威で年間1万件以上の白内障手術を自ら執刀する。
大宮七里眼科(埼玉県・さいたま市)院長。日本医科大学卒業。フェムトセカンドレーザーと多焦点眼内レンズを使用した白内障手術の症例数は国内最多レベル。著書に『人生が変わる白内障手術』(幻冬舎)。
(ライター 渡邉由希、構成:日経ヘルス 羽田光)
[日経ヘルス2017年8月号の記事を再構成]
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