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World Food Watch

カンガルー肉、赤身のアスリート系 高たんぱく低脂肪

2017/7/6

「クラッシックなナポリタンって、ソーセージが入っているでしょ。そのイメージでゴロゴロと肉を入れてみたんです」。

 オーストラリア・ニュージーランドワイン専門ダイニングの草分けとして知られる東京・渋谷の「ZOOGUNZOO(ズーガンズー) 渋谷店」。この店のメニューにちょっと変わったナポリタンを発見した。「作り方は普通のナポリタンと一緒ですよ」と先の説明を始めた総料理長の米澤茂樹さんは笑顔を見せるが、皿に盛られたナポリタンに使われていたのはカンガルーの肉だ。

「ZOOGUNGOO 渋谷店」のナポリタン。カンガルー肉がごろっと入っている

 フォークでくるくるっと軟らかめにゆでられたスパゲティを巻きながら食べてみると、なつかしいケチャップ味のソースとも相性がいい、牛肉のような味わいが口に広がった。ほどよく食感がしっかりした肉は食べでがある。大人のナポリタンだ。

 今、カンガルー肉の人気が高まっている。ジビエや肉バルなど「肉食」人気の中で新しい肉が求められる中、低脂質、高たんぱく質の赤身肉であるカンガルー肉に注目が集まっているのだ。オーストラリアの有名シェフが使い始めたことから現地で注目を浴びるようになったこの肉は、元々は先住民アボリジニの伝統的な食材。食生活が西洋化した結果増加したアボリジニの生活習慣病が問題となる中、アボリジニの伝統食が見直されたことも、カンガルー肉が食用として広まるきっかけとなった。

オーストラリアでもカンガルー肉が広まったのは最近のこと

 食用となるカンガルーは野生のカンガルー。約60種のうち5種が食用となり、4種が商業的に輸出されている。カンガルーというのはオーストラリア大陸やタスマニア島、ニューギニア島に分布する動物で、最初に食用の話を聞いた時は「保護動物ではないの?」と思った。

 しかし、カンガルー肉輸入大手バセルの常務取締役・長友隼人エリックさんによれば、天敵となる動物が絶滅寸前の状態に追い込まれたことやこれを食料としていたアボリジニの人口減、干ばつ時には繁殖しなくなる習性を持つカンガルーが農業用灌漑の整備で常に繁殖するようになったことから、オーストラリアでは頭数が増加。今は政府が捕獲頭数をコントロールしながら食用に利用しているという。肉は約70カ国に輸出され、ドイツ、ベルギーなどが主な輸出先だ。

「カンガルー肉は1980年代にも日本に輸入されましたが、事業者が肉質管理を徹底するようになり飛躍的においしくなったのは最近のこと」と長友さんは説明する。「地元オーストラリアで、広く食べられるようになったのは2000年以降。今ではスーパーマーケットにも並ぶ食材です」。日本ではこの2、3年で急激にニーズが伸び、バセルが取引する飲食店は14年の約15店から今年は現時点で100店を超えるまでになった。

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