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くらし&ハウス
天気のなぞ

2017/7/3

天気のなぞ

これとは別に、熱帯の海の状態も無視できない。赤道沿いの太平洋東部の海面水温が平年よりも低くなる「ラニーニャ」が昨年夏に終わり、その後、逆の現象である「エルニーニョ」になるかと思いきやならなかった。どちらでもない「中立」の状態が続いている。

エルニーニョは日本に比較的気温の低い夏を、ラニーニャは暑い夏をもたらすことが知られる。中立なら何の影響もなさそうなものだが、そうもいかない。インド洋の状態などとも関係しあうからだ。

今年はインド洋東部の海面水温が平年より低く西部は高い「正のインド洋ダイポールモード」という状態が比較的はっきりしている。このパターンは日本に暑い夏をもたらしやすい。もし、当初予想されたようにエルニーニョになれば、インド洋の影響が薄められて日本の夏は暑くなりにくかったかもしれない。中立だと、正のダイポールモードによる高温化の効果がよりはっきり出やすいともいえる。

これからの見通しと注意点
東日本~北日本の広い範囲で厳しい暑さに
日本海側は一部でやや不順な天候か
西日本~東日本の降水量は少なめで水不足の地域も
その一方で被害が出るような局地的な豪雨も
夏の後半は台風が増えて予報の難易度高まる?

さらに、海洋研究開発機構の研究者の間では、インド洋の正のダイポールモードが夏の高気圧の張り出しを強めているとの見方も出ている。インド洋の状態がロスビー波と呼ばれる大気の波を引き起こし、これが欧州から日本に至る偏西風の蛇行のパターンと高気圧の勢力に影響している可能性があるという。インド洋のエネルギーが欧州を経由して巡り巡って日本付近に達するので、「シルクロードパターン」とも呼ばれる。

中・高緯度の偏西風と熱帯太平洋、インド洋の状態がちょうど一定のタイミングで重なって、変則的な梅雨を日本にもたらしているといえる。気象庁内では、このまま西日本、東日本が梅雨明けする可能性もゼロではないとの見方もある。そうなれば水不足の恐れも出てくる。

もっとも、熱帯の海を注意深くみると、話はそう単純ではないかもしれない。フィリピン沖の海面水温がかなり高いために上昇気流が活発で、台風も発生しやすい状況だ。台風やその卵の熱帯低気圧と、夏の高気圧の周辺づたいに南から北へ向かって吹く風によってもたらされる暖かく湿った空気が日本付近に流れ込み、一部地域で豪雨をもたらした。同じようなことが、これから繰り返す可能性もある。

暖かく湿った空気の通り道がちょっとずれれば、関東地方などでも真夏の空から一転、局地的な豪雨に見舞われるかもしれない。

しばらくはフィリピン沖をはじめ熱帯太平洋全域の海面水温が高めに推移する見通しで、この付近で今後、台風が次々に生まれて日本に影響を及ぼすことも考えられる。今年はまだ台風が3個しか発生していないが、過去には夏以降に一気に発生が増えた例もある。今年の梅雨の後半は猛暑、水不足、豪雨のすべてに備えが必要な、気の抜けない時期が続きそうだ。

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