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リーダーのマネジメント論

2017/7/4

リーダーのマネジメント論

「社長はつくれない。育てられるのは役員まで」

「私は『常務になったから次は専務やなんてあかん。常務になった段階でトップになる覚悟をしろ』と役員にいっているんです。私は社長になるまで部長から数えると15年、執行役員から10年、常務から5年~6年、専務から1年だった。ぐんぐんスピードがあがっているでしょう。このスピードがぐっとあがるときに耐えられるかどうか。その分かれ目は、覚悟があるかどうかなんです」

「社長に指名されたとき、『青天のへきれきです』なんていってはいけない。リーダーには、急にはなれないんですよ。だから社長を選ぶときも、最後は自分でぐっと上がってくる人間を選ぶ」

バトンを渡すタイミングとは

――社長のバトンを渡すタイミングをどう考えますか。

「ピークのうちに交代することだ。業績が下がり始めてから、交代するのはあかん。それは責任放棄だ。1年目の社長は、あいさつ回りやなんやと時間も取られるから、前任者の余力でやれるようにしてあげなければ。業績が下がってからバトンを渡して、『お前なにやってんだ』と会長の椅子からいうなんて、無責任も甚だしい。私も、前任者の荻田(伍元社長、現相談役)さんから業績があがっていたときにバトンをもらった。今もその流れで、(持ち株会社移行前から数えて)16期連続で利益を更新しているわけです」

「『次はあの人なら妥当だ』という空気をそこはかとなく組織につくってあげることも前任者の務めだ。批判はあったかもしれないが、私も荻田さんから引き継いだとき、『お前だと思っていたよ』と先輩方が応援してくれた。そうすれば、能力以上の成果を生むことができる。これこそ組織力だろう」

泉谷直木
 1972年京都産業大法卒、アサヒビール入社。95年広報部長、2003年取締役、10年社長。11年発足のアサヒグループホールディングスの初代社長に就任。16年、会長に就任。68歳

(松本千恵)

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