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リーダーのマネジメント論

2017/7/4

リーダーのマネジメント論

――尊敬するリーダー像を教えてください。

泉谷会長は「ボスとリーダーは違う」と話す

「山本五十六がのこした、有名な『やってみせ、言って聞かせて、させてみて、ほめてやらねば、人は動かじ』という言葉がある。ここまでなら多くの人が知っている。しかし、実は、育成という視点では、この続きが重要だと思う。『話し合い、耳を傾け、承認し、まかせてやらねば人は育たず』『やっている姿を、感謝で見守って、信頼せねば人は実らず』。つまり、ただ動かすだけでは『ボス』でしかない。本当のリーダーは導き、育て、将来のことを部下に任せていく人のことだ」

「勘違いされがちだが、ボスとリーダーは違う。権力で圧力をかけて部下に仕事を強いるのがボスで、リーダーとは部下を導く責任や仕事の役割のことだ。日本はボスは多いけど、リーダーは少ないね」

育成は10年かかる

――泉谷流のリーダー、後継者の育て方を教えてください。

「育成は簡単ではない。私は9つのマスでできた表で説明するのだが、横軸に『戦略構築力』『目標達成能力』『リーダーシップ』、縦軸に『学習して得られるもの』『経験して得られるもの』『突然変異を起こさないと得られないもの』この3つをおいて、一人ひとりの育成を考えている」

「研修で身につくのは、『学習して得られるもの』までだ。しかし、対人能力は違う。異動、出向、海外転勤など、様々な修羅場を経験し、失敗しなければ、次に起きるリスクを予想して動けるようにはなれない。とはいえ、そういった環境を用意することはできる。しかし、3つ目の『突然変異』は難しい。いわば『カリスマ性』で、いくら勉強しようが経験しようが得られない。周囲の人間が急に『あの人は絶対に負けない、あの人に任せたら間違いない』と評価するようになる。これは、タクシーメーターのように突然ポンっと上がる能力だ」

「私は、トップにふさわしい人材を育てるには10年かかると思っている。今は変化が激しいから、私もことあるごとにスピード、スピードというんだけど、人の育成は別。10年かけるべきだ」

カリスマ性は突然変異

――トップ人材には、突然変異が起きているのですか。

「組織は、トップとなりうる人材を『経験』までは育てられる。しかし、そこから先は本人次第。社長はつくれない。社長になるには、自ら社長になる力を身につけて浮かび上がってこなければ。一定レベル、つまり役員までは育てていくが、その先は、彼らが上がってくるかどうかを見ているだけだ」

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