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インドやインドネシアに注目 新興国投資、基本は分散 過去に債務不履行の国も

2017/7/8

新興国の株式などで運用する投資信託に日本の個人マネーが流入しています。先進国に比べて経済成長率が高く、値上がり期待があるためです。一方、新興国投資には特有のリスクがあります。対外債務問題などをきっかけに投資熱が一気に冷え込む例は珍しくありません。新興国投資の基本を見ていきましょう。

QUICK資産運用研究所によると、新興国株式型ファンドへの資金純流入額は5月に508億円。前月より320億円増え、2年4カ月ぶりの高い水準となりました。

最近人気を集めるのが、高成長が際立つインドです。国際通貨基金(IMF)の見通しによると、2017年の実質GDP(国内総生産)成長率は7.2%です。22年には8.2%まで高まります。

投資家の間ではモディ政権による財政・経済改革への期待もあります。汚職の撲滅や均衡ある発展が進み、「長期の経済成長が期待できる」とHSBC投信の久世ベルト素子ファンドマネジャーは見ています。

経済改革が進むとみられているインドネシアも注目されています。米格付け会社S&Pグローバル・レーティングは5月、国債の格付けをそれまでの投機的水準から1段階引き上げ、トリプルBマイナス(BBB-)としました。

半面、悲観的な見通しが目立つのがブラジルです。財政赤字に加え、「テメル大統領にまつわる不正疑惑の問題が長引けば、投資マネーの流出につながる」とバークレイズ証券の飯田美奈子シニア外債ストラテジストは指摘します。S&Pはブラジル国債の格下げを検討しています。

このように新興国といっても政治・経済情勢はまちまちです。金融市場の成熟度合いや投資家層の厚みの点では日米欧に大きく劣ります。一般に対外債務国であり外貨準備高が少ないため、ヘッジファンドなど短期の投機資金に翻弄されやすいとされます。

新興国の歴史は、経済危機と債務不履行(デフォルト)の繰り返しでもありました。1994年のメキシコ通貨危機や97年のアジア通貨危機、98年のロシアのデフォルトと経済危機などです。アルゼンチンは01年以降、デフォルトを複数回引き起こしました。

投資ブームが繰り返されるのも特徴です。BRICs、VISTA、NEXT11、MENA――。ここ十数年で、有望視する国や地域を示すフレーズが次々と生まれました。そのたびに国内では新興国を対象とする投信が相次ぎ発売されてきました。

個人はどのように新興国投資を考えればいいのでしょうか。ファイナンシャルプランナーの深野康彦さんは「株価指数に連動するインデックス型の投信を毎月積み立ててみては」と助言します。複数の国に分散すれば高成長の果実を得ながらリスク分散の効果が見込めます。

運用中は経済状況の変化に目をこらしましょう。IMFは定期的に各国の成長率見通しを改定しています。国債格付けも点検しましょう。S&Pや、ムーディーズ・インベスターズ・サービスなどの格付け会社が、格上げ・格下げいずれの方向で検討しているかも重要なポイントです。

[日本経済新聞朝刊2017年7月1日付]

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