ヘルシー、肉、インスタ 料理にこだわるビアガーデン
平成ビアガーデン事情(第3回)
本連載の第1回「おしゃれ空間に ビアガーデン変身に4つのトレンド」で昭和と平成のビアガーデンを比較したが、ビアガーデンの「料理メニュー」は近年大きな進化を遂げている。
特に、食べ物にこだわる傾向が強いのが女性であり、料理にこだわるビアガーデンも、女性受けを狙っている。そこでキーワードになるのが「ヘルシー&美容」「肉」そして「フォトジェニック」だ。
おしゃれな女子会スポットとしても人気の、料理自慢のビアガーデンをご紹介したい。
安心野菜で「ヘルシー&美容」
従来の定番ビアガーデン料理と言えば揚げ物に焼き物。そこには屋外提供ゆえの安全配慮もあるのだが、どうしても高カロリーになりがちだった。近年は、野菜をふんだんに使った料理や、美容にも効果があるスペシャル素材などを導入し、ヘルシー・美容志向をアピールする店が増えてきた。
横浜駅に隣接し、50年以上の歴史をもつ横浜高島屋は2016年、開業以来初めてとなる大型ビアガーデンをオープンした。名前は「ファーマーズ・ビアガーデン」。生産者の顔が見える安心&安全な野菜が最大のアピールポイントだ。
広い会場には温かみがある木製のテーブルとチェアが並べられ、一角には舞台もしつらえている。セット野菜や肉と一緒に配布されるメニューには産地や生産者の名前が書かれており、さらに会場の一角に作られたベジタブルカウンターから好きな野菜もセレクトして追加できる。こちらにも生産者の名前と顔写真が出ており、まるでファーマーズマーケットにでも来たようだ。
トルティーヤも用意され、それに焼いたお肉や野菜をはさんで、好きなソースをかけていただく。ヘルシーで、かつおいしい。飲み放題ドリンクも充実しており、女性のみ2人以上で予約すると飲み放題時間を30分延長できる特典もある。
[住所] 神奈川県横浜市西区南幸1-6-31 横浜高島屋屋上
[電話] 050-3188-8355
[期間] 2017/05/10~09/24
http://farmers-beergarden.com/
夏野菜を豪快にグリル
1日3組限定・完全予約制というビアガーデンを展開しているのは、吉祥寺駅前の飲食店ビル・吉祥寺ピアット7階にあるクラフトビールとピザの店「CRAFT&Romance」。
ズッキーニがびっしり敷き詰められた「ズッキーニのピザ」や、ナス・アボカドなどをグリルした「10種類の夏ベジステーキ」など野菜たっぷりメニューが用意されており、約30種類のクラフトビールとあわせていただける。もちろん野菜だけでなく肉・魚介のパスタなどもある。ダイエット中の人も誘える貴重なビアガーデンだ。
[住所] 東京都武蔵野市吉祥寺南町1-5-3 吉祥寺ピアット7階
[電話] 0422-24-6170
[期間] 2017/06/16~09/10
http://craft-romance-craftbeer-kichijoji.com/
旬の「肉」は演出にもこだわり
2つ目のキーワードは「肉」。「肉フェス」など空前の肉ブームが続く中、ビアガーデンにもその波が押し寄せてきている。これまでのビアガーデンの主流は「ジンギスカン」だったが、牛・豚・羊とバーベキュー肉食べ放題という店も増え、さらに巨大な塊肉やスモーク(薫製)肉、黒毛和牛など高級肉を提供するところもある。
「美容&ヘルシー」と対極的に思うかもしれないが、実はダイエット中であっても、炭水化物は減らしているが、たんぱく質はたくさん摂取するという人は珍しくない。意外と女子受けも高い食材なのだ。
六本木ヒルズの一角にあるグランド ハイアット 東京では、毎年複数の会場でビアガーデンが開催されている。そのうち6階のステーキハウス「オークドア」のテラス席で開催される高級ビアガーデンの目玉は「本場アメリカのバーベキュー」。
米国の「本物のバーベキュー」とは肉を低温で長時間ゆっくりスモーク(薫製)する手法だそう。カシ(オーク)でスモークさせたお肉は白い煙を充満させたドームごとテーブルに運ばれてくる。それを目の前で開けてくれるので、見た目にも驚きがあるし、スモークの香りもしっかり堪能できる。
同ホテル2階「フレンチキッチン」テラス席でも、バーベキュー料理が楽しめる「ガーデニックテラス バーベキュー」が開催されており、2015年に好評だった「昭和 ビアガーデン ~六本木6丁目の夕焼け~」も7月から復活する。
[住所] 東京都港区六本木6-10-3
[電話] 03-4333-8784
[期間] 2017/06/01~09/30
https://www.tokyo.grand.hyatt.co.jp/restaurants/recommended/oak-door-beer-garden/
塊肉のローストがコースに含まれる
皇居のお堀に面したホテルグランドアーク半蔵門の庭園テラス席で開催されるビアガーデンは、周囲を緑に囲まれた落ち着いた雰囲気の中で楽しめる。
2時間飲み放題込みのコース料理8品で4900円からと、ホテル庭園ビアガーデンとしてはリーズナブルな料金設定だ。そして料理は本格的。指揮をとるのは帝国ホテルのレストランでシェフをつとめた料理長。塊肉をローストしたメインディッシュからスイーツまで、ホテルならではの味を堪能できる。
[住所] 東京都千代田区隼町1-1
[電話] 03-3288-1636
[期間] 2017/06/01~09/30
http://www.grandarc.com/recommendation/index.cgi?c=r_plan&pk=247
インスタ自慢したくなる料理と空間
3つ目のキーワードは「フォトジェニック」。「夏のビアガーデン訪問はリア充の証し!」とでも言わんばかりに、インスタグラムをはじめとするソーシャルメディアに写真を公開する人たちはたくさんいる。
ここまで紹介した野菜や肉料理も十分に、フォトジェニックだったが、それ以外にも自慢したくなる料理や空間を持つビアガーデンを紹介しよう。
ソーシャルメディアで写真をシェアすると速攻で「それどこ!?」と驚きのコメントが入るのが、「代々木VILLAGE by kurkku」内のビアガーデン。かつては予備校の本部があった土地だが、今は緑生い茂るスタイリッシュな最先端スポットへと生まれ変わっている。若い女性に人気だが、まだまだ認知度は高くないので穴場スポットの一つだ。
今年のテーマは「MEXICAN SUMMER」。メキシコの祭りで使われるという色鮮やかな切り絵「パペルピカド」を飾りつけ、メキシコをイメージした南国植物を配置し、明るく楽しげな非日常空間に。
料理ももちろんメキシカン。メインの「VILLAGE ZONE」では石窯オーブンで焼いたメキシコ風ピザ、トルティーヤ、短角牛サーロインの炭火焼きなどが用意され、ビールはコロナビール。毎週1回、メキシコの音楽「マリアッチ」のライブも開催されるので、それにあわせて訪れるのも楽しい。
[住所] 東京都渋谷区代々木1-28-9 代々木VILLAGE
[電話] 03-6276-8440
[期間] 2017/06/01~09/30
http://www.yoyogi-village.jp/
自分で好きな具材を組み合わせて食べる楽しさ
毎年新たなテーマを設定し、コース料理もすべて一新するのが東京サンケイビル4階で開催される天空のビアガーデン「Terrasse」。遊び心も感じるこだわり料理と盛り付けは、つい写真に撮ってインスタ自慢したくなり、女性にも人気。毎年必ず一度は訪れるというファンも多い。
2017年のテーマは「Botanical Tavern(ボタニカル タバーン)」で、大人女子のためのビアテラス。ユニークなのは、自分で作るトルティーヤ巻だ。豆をふんだんにのせたサラダ、ソーセージやシュリンプフライ、各種ディップなどを盛り合わせたプレートが運ばれてきて、食べる人が好きな具材とディップをトルティーヤで巻いて食べる。カラフルでフォトジェニックだ。
[住所] 東京都千代田区大手町1-7-2 東京サンケイビル4階
[電話] 070-5545-9045
[期間] 2017/05/01~09/30
https://www.facebook.com/tenkugarden
第1回 おしゃれ空間に ビアガーデン変身に4つのトレンド
第2回 ビールが苦手でもOK 飲み物充実ビアガーデン6選
第3回 ヘルシー、肉、インスタ 料理にこだわるビアガーデン
第4回 おひとり様も大歓迎 気軽に寄れるビアガーデン
(ライター 和田亜希子)
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