痛風の原因、尿酸値 ビール断ちすれば問題なし?
この記事では、今知っておきたい健康や医療のネタをQ&A形式で紹介します。ぜひ、今日からのセルフケアにお役立てください。
(1)ホント
(2)ウソ
正解は、(2)ウソ です。
尿酸は、体内で「プリン体」が分解されてつくられます。プリン体とは、あらゆる生物の細胞で遺伝子の主体として働く核酸(DNA、RNA)や、細胞のエネルギー源(ATP、GTP)を構成する物質のことです。プリン体が、細胞の新陳代謝やエネルギー消費の過程で分解されると、尿酸となるのです。
尿酸値が高い人はビールを控えるほうがいい、とよく言われるのは、焼酎やウイスキーなどの蒸留酒よりもプリン体の含有量が多いためです。銘柄にもよりますが、ビール100mL当たり、およそ5~7mg程度のプリン体が含まれているとされています。
しかし、プリン体を含むのはビールだけではありません。プリン体は生物の細胞に含まれるので、細胞の数が多いレバーやたらこ、乾燥によって細胞が凝縮される干物といった食品は、プリン体の含有量も多くなります。ビールだけをやめても、プリン体の多い食品をとっているならあまり意味はないでしょう。
しかも、量の多い少ないはあるものの「プリン体はすべての食品に含まれていますし、食事の摂取量が多いと体内でつくられるプリン体が多くなり、尿酸も増えます」と、東京女子医科大学附属膠原病リウマチ痛風センター所長の山中寿さんは指摘します。「ですから、個々の食品に含まれるプリン体の含有量を細かく気にするよりも、食事の総摂取量を見直すほうが、尿酸値の改善には有効です」(山中さん)
ただし、食事の全体カロリー量を抑えるだけでは不十分で、アルコール飲料の摂取にはやはり注意が必要だそうです。これは、「アルコールには、プリン体の有無にかかわらず、代謝の過程で血液中の尿酸を増やす働きがある」(山中さん)ためです。
日本痛風・核酸代謝学会の「高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン 第2版」では、尿酸値への影響を最低限に保つ1日のアルコール摂取量の目安を、ビールなら500mL、日本酒なら1合、ウイスキーなら60mL程度としています。夏はビールがおいしい季節ですが、痛風や尿酸値が心配なら、ビールは中ジョッキ1杯までにしておくほうがよさそうです。
[日経Gooday 2017年6月19日付記事を再構成]
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