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人生を変えるマネーハック

趣味はあるがお金がない 悲しい老後を防ぐ賢い貯蓄術 趣味とバカンスをマネーハック(1)

2017/7/3

PIXTA

 今月は「趣味やバカンス」へのお金の使い方を考えてみます。なんとなく使って、その予算を正当化している人があまりにも多いのが趣味とバカンスだからです。

 私はファイナンシャルプランナーとして、金額を削ることだけが趣味やバカンスへのアドバイスだとは思っていません。むしろ、ここはマネーハックの発想で「賢くお金を使い」「たっぷり満足」する方法を考えてみましょう。

■趣味はないよりあったほうがいい

 私は趣味はないよりあったほうがいい、と固く信じています。人間は仕事だけで生きているわけではありませんし、いつかは仕事から解放されて老後生活を送ります。老後の平均的な期間は20年以上ありますから、「24時間365日が日曜日」で無趣味な人の人生は退屈きわまりないでしょう。

 現役時代においても趣味は働きがいを生み出します。生活のメリハリにもなります。子どもがいる場合、子育てを生きがいにしている人もいますが、いつかは子離れによる「ロス(喪失感)」に襲われます。やはり趣味を見つけたほうがいいのです。

 国立社会保障・人口問題研究所のウェブサイトに掲載されている「社会的サポート・ネットワークと健康」と題するリポートなどを読んでいると、孤独が招く精神的ストレスの問題もあるのでしょう、友人などとの接点や余暇活動が乏しい人は死亡率が高くなるといいます。

 長生きするためにもまずは「楽しいこと」はたくさんあったほうがいい、と考えてみてはどうでしょうか。

■趣味とバカンスは経済安定を脅かす

 かといって、マネープランの観点からは趣味やバカンスというのは厄介なものです。基本的に「金食い虫」になる傾向があるからです。

 本人の生きがいだからと家族はあまり口を挟まないことも多いのですが、実際は気にしていると思います。例えば、年100万円を超える予算をつぎ込み続けるのは趣味やバカンスの予算としては危険です。たいていの場合、家計および貯蓄余力にしわ寄せがいきます。それは長い目でみれば、経済的安定を脅かす危険因子です。

 また、趣味やバカンスにふんだんにお金を使って老後の備えを怠った場合、老後になって趣味やバカンス予算がない、という状況になることも懸念されます。定年後、せっかく自由時間が増えたとしても、予算がなければ趣味を追求することができなくなります。今の自分が未来の自分の首を絞めているようなもので、これでは老後の楽しみがなくなってしまいます。

 仮に今の趣味やバカンスの予算を削って月1万円、年2回のボーナスごとに6万円ためておけば、年24万円ですから、40歳から20年続けるだけで「老後の趣味・バカンス予算」は480万円確保されることになります。老後が20年だとすれば「月1万円の趣味、年2回の6万円の旅行」を実現できるというわけです。20歳代はともかく、30歳代以降は趣味やバカンスの予算は「一生涯の予算」と自覚してコントロールしていく必要があります。

■趣味は月1万円を超えたら注意

 具体的には「月1万円」を超えた趣味については意識的にコントロールすべきだと思います。例えば、お酒やグルメが趣味、という人も月1万円かからないなら日常生活コストに織り込むことができるでしょう。しかし、コンスタントに月5万円以上かかるなら、これは家計を圧迫する出費になってしまいます。おいしいお店に行く頻度を少しセーブしましょう。

 このほかにも、車(10年以上乗らずに買い換え、カスタマイズもしょっちゅう)、カメラ(デジタル一眼レフでレンズも買う)、音楽ライブの鑑賞(ツアーは全公演追っかける)といったように、お金がかかる趣味はたくさんあります。こうした趣味はのめり込むと「月1万円」の予算枠を軽く超えてしまいます。

 趣味を楽しむことは大事なのですが、趣味にどれくらいお金がかかっているのかを把握し、適度にブレーキを踏んでいくことが大事です。

■貯蓄できていれば金額は問わない

 趣味は「月1万円」という目安から先に提案しましたが、マネーハック的には逆もまた真なり。「貯蓄ができているなら金額は問わない」ということもいえます。

 もしあなたが「老後の資金として手取りの10%くらいは貯金している。趣味の予算以外はとことん切り詰めているから1万円をオーバーしたっていいだろう?」というならそれはOKです。私も毎月2万円はマンガを買うマニアのひとりですが、老後の年金として毎月2万円超はiDeCo(個人型確定拠出年金)の積み立てを行っています。

 私は長い老後のために今から経済的に備える方法をアドバイスする仕事をしていますが、それは「衣食住にかかるお金の確保」だけではありません。楽しく笑って過ごすための「趣味やバカンスにかかるお金の確保」も大切なのです。

 趣味のためにお金を使うことは人生を豊かにします。しかし、貯蓄なき趣味はかえって人生を不幸にしてしまうかもしれません。趣味と貯蓄は両立すべきものなのです。それが人生100年時代の正しい趣味の楽しみ方といえます。

マネーハックとは ハックは「術」の意味で、「マネー」と「ライフハック」を合わせた造語。ライフハックはIT(情報技術)スキルを使って仕事を効率よくこなすちょっとしたコツを指し、2004年に米国のテクニカルライターが考案した言葉とされる。マネーハックはライフハックの手法を、マネーの世界に応用して人生を豊かにしようというノウハウや知恵のこと。
山崎俊輔
 AFP、消費生活アドバイザー。1972年生まれ。中央大学法学部卒。企業年金研究所、FP総研を経て独立。退職金・企業年金制度と投資教育が専門。著書に『誰でもできる 確定拠出年金投資術』(ポプラ新書)など。http://financialwisdom.jp

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