商店街の日常、外国人は興味津々 日本海側にも魅力訪日旅行ベンチャー、ノットワールドの佐々木文人社長に聞く(1)

――3つ目の人の温かさが感じられるというのは、具体的にはどういうことでしょうか。

「地元の人との交流があるということですね。何かを買ったときに事務的な会話だけではなく、『どこから来たの?』『こういう食べ方をしたらおいしいよ』『日本を楽しんでいってね』というように心が触れ合う会話が生まれるかどうかが、お客さんである訪日外国人の満足度に大きく影響します」

バックパッカーの行き先にヒント

――外国人客を連れていきなり訪ねても、そんな交流は生まれにくいのでは。

「当社のガイドはツアー先のお店の方々と普段から人間関係をつくっています。だからガイドがそのお店に行くと、『あら、○○さん、いらっしゃい』『今日はどこの国の人?』と話し掛けてくれます。そういったところから、和気あいあいとした会話が生まれていきます」

外国人には食べ歩きの人気も高いという(ノットワールドのツアー風景)

――会話が弾めば、自然な形で交流もできますね。

「酒屋さんが子供に駄菓子をくれたり、着物屋さんが浴衣を着せてくれたり、売り物をおまけしてくれたりすることが、ちょこちょこありますよ。それにツアーでは毎回、お茶屋さんでお茶を入れる体験もできます」

――とっておきの人気スポットを1つ挙げてもらえますか。

「東京都江東区北砂にある砂町銀座商店街ですね。ここで食べ歩きをするツアーは特に人気が高いです。谷中銀座、神楽坂はすでに有名になって外国人もたくさんいますが、砂町銀座商店街は外国人がほとんどいないので、より珍しく感じてもらえます。これも満足度が高い理由ですね」

――そうした場所を探し当てるのには、苦労もあったのではないですか。

「そうですね。自分たちでいろいろなところを回り、実際に歩いて、食べて、地元の人たちと話をして、候補地を探してきました。そして『ここはいいかも!』というところを見つけたときは本当にうれしいですね」

――といっても、日本全国を自分の足で歩き回るわけにはいきません。ほかに情報源はあるのですか。

「実は知り合いにフランス人のバックパッカーがいて、彼は日本全国を歩いて旅しています。北海道から福岡まで歩いて、その後、沖縄をめぐり、四国を訪ね、また北海道に戻るといった具合です。彼のようなバックパッカーは、宿がないところにもどんどん出かけていきますから、外国人の目から見て本当に面白いところ、次に注目されるところがわかりますよ。しかも彼はブログをやっていて、影響力もあります。彼の投稿には、すぐに何百もの『いいね!』がつきます。その彼に言わせると、まだまだ日本には面白いところがあります」

出雲大社、永平寺、出羽三山が有望

――それは、ずばりどこですか。

「彼が挙げるのは島根県出雲市の出雲大社、福井県永平寺町の永平寺、山形県の出羽三山です。一般的には外国人に人気のスポットは東京、大阪といった太平洋側のゴールデンルートといわれるエリアですが、今後は日本海側のエリアも外国人に人気が出てくるのではないかと思います」

――日本海側は太平洋側に比べると経済規模も小さいですから、外国人旅行客が増えた場合の効果は大きいですね。次回(「通訳ガイドは自ら楽しめ 自己流ツアーでつかんだ極意」)はボストン・コンサルティング・グループを辞めて起業した理由などを聞きたいと思います。

佐々木文人
1983年生まれ。東大経卒、損害保険ジャパン(現損害保険ジャパン日本興亜)を経て、ボストン・コンサルティング・グループ入社。4年間の在職中に企業の新規事業開発・営業改革のプロジェクトなどを手掛ける。結婚後に退職し、1年間の世界一周新婚旅行を経て、2014年2月にノットワールドを設立、代表取締役に就任。
藤田耕司
1978年生まれ。公認会計士、税理士、心理カウンセラー。早大商卒。監査法人トーマツを経て日本経営心理士協会、FSG税理士事務所、FSGマネジメントを設立。経営コンサルティングと心理学を融合した経営心理学を体系化し、企業の経営顧問、経営者のメンターを務める。主な著書に「リーダーのための経営心理学」(日本経済新聞出版社)がある。

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