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佐藤愛子、村上春樹抑えてトップ 上半期ベストセラー

日経エンタテインメント!

2017/6/29

 日本出版販売(日販)調べの2017年上半期ベストセラーが発表になった。1位は93歳になる佐藤愛子のエッセー『九十歳。何がめでたい』。歯に衣(きぬ)着せぬ物言いで世の中を斬る内容が、50~70代女性の読者を引きつけ、累計90万部を超える売れ行きに。一方、男性の50~60代が支持したのが8位の『応仁の乱』。英雄不在で不人気だった戦乱を読み解いた新書が異例のヒット。シニア層をつかんだ2つの作品が、上半期を代表するベストセラーとなった。

日販調べ。2016年11月26 日~2017年5月25日の総合ランキング。全集、文庫、コミックは除いている。価格は税込み。

 上位3作品を見ると、2位が村上春樹の7年ぶりの本格長編となった『騎士団長殺し(1・2)』、3位が直木賞と本屋大賞を初めてダブル受賞した恩田陸の『蜜蜂と遠雷』。いずれもテレビや新聞で大きく取り上げられて話題となっただけに、それを上回る売れ行きで佐藤愛子のエッセーが1位になったのは驚きだろう。

春の叙勲で「旭日小綬章」を受章した佐藤愛子さんの記者会見

 『九十歳。何がめでたい』は、佐藤愛子が週刊誌『女性セブン』に連載したエッセーに加筆修正を加えたもので、ユーモアを交えながらも、世の中をズバっと斬った痛快な内容だ。発売は16年8月で、小学館によると初版は1万4000部。10月くらいから火がついて月間ベストセラー総合のトップ10に入るようになり、現在は18刷90万部を超えた。日販のマーケティング本部 仕入部 書籍仕入課 一般書係長の田中浩平氏は「ずっと安定的に売れ続けているのが特徴で、このままロングセラーを続けて100万部を超しそうです」と言う。

 担当編集者である小学館女性セブン編集部の橘高真也氏によると、読者からは「気分がスッキリした」「何度もゲラゲラ笑った」「私もこんなふうになりたい」「励まされた」といった感想が寄せられている。橘高氏は、売れた理由をこうみている。「佐藤さんが90歳を超えて感じた時代とのズレや、折々の出来事や新聞の人生相談を題材に書かれた本ですが、艱難(かんなん)辛苦の末にだとり着いた人生哲学が行間からにじみ出ていることが売れた理由ではないかと思っています。それは『人は人、我は我』という、時代や他人に左右されない生き方であり考え方。それが難しい時代になっている裏返しではないでしょうか」

■シニア向けエッセー人気の理由

『九十歳。何がめでたい』(佐藤愛子)小学館

 日販によると、主な購買層は50~70代の女性。やはりベストセラーとなった渡辺和子の『置かれた場所で咲きなさい』や篠田桃紅の『一〇三歳になってわかったこと 人生は一人でも面白い』といった、生き方について語るエッセー本と同じ購買層だ。だが、真面目調だった2冊と比べると「『九十歳。何がめでたい』は毒舌を含めて、思ったことをズバリ言っている感じが、エッセーとして新鮮だったようです」と日販の田中氏はみている。

 『九十歳。何がめでたい』のようなシニア向けのエッセーは売れ筋の本が多く、人気のジャンルとなっている。単行本ノンフィクション部門のベスト10を見ると、1位の『九十歳。何がめでたい』のほかにも、5位に『100歳の精神科医が見つけた こころの匙加減』(高橋幸枝)、8位に『弘兼流 60歳からの手ぶら人生』(弘兼憲史)、10位に『さよならの力 大人の流儀(7)』(伊集院静)が入っている。

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