本当に埼玉?入間ジョンソンタウンで米国スタイル満喫水津陽子のちょっとディープ旅

約7500坪の敷地に米軍ハウスなど79棟の建物があり、131世帯210人が居住
約7500坪の敷地に米軍ハウスなど79棟の建物があり、131世帯210人が居住

「理想の家」「住みたい町」は人それぞれ。例えば自然豊かな郊外で、町並みは統一感があって美しく、住人にはアーティストなどクリエーティブな人が多く、楽しいイベントや住民同士の交流も活発。アメリカンスタイルのおしゃれな一軒家で子育てしながら、夢だった雑貨店やカフェを開く。そんなライフスタイルをしばし思い描いてしまう場所が都心からほんの1時間のところにあります。

埼玉県入間市のジョンソンタウンは近年、スナップレイスの「SNS映えスポットランキング!2016」で第6位にランクインするなど、観光スポットとして人気が高まっています。ここは約2万6000平方メートルの敷地内に131世帯、210人が暮らす住宅地でもあります。

入間市には戦後、米軍のジョンソン基地があり、1950年代は基地周辺に多くの米軍ハウスが建設されました。78年の基地返還に伴ってその多くはなくなりましたが、ジョンソンタウンには当時の姿を残す米軍ハウス23棟が今も現役で活躍中です。

町は、一時はスラムと呼ばれるほど荒廃しましたが、再生事業に取り組んだ磯野商会の現社長が2002年に復興方針「ずっと住みたい未来のまち」を打ち出し、約10年をかけて改修、現代版ハウス35棟を新たに整備しました。町のコンセプトは「子育てしたくなる」「何かやりたくなる」「のんびり静かに住む」「大きな犬と住める」など。現在、79棟の建物に約50店のカフェやレストラン、ショップが営業しており、美しい街並みとともに個性的な店が観光客の人気を呼んでいます。

年代物のスクールバスが目印の建物はフォトスタジオ「J'sハウス」、隣には米軍ハウスの住人が営む雑貨店「agatha(アガサ)」がある
米軍ハウスの室内。改修可能な賃貸住宅で、レトロな雰囲気の店舗にしている例が多い JOHNSON TOWN http://johnson-town.com

ゆったり子育てしながら、念願のカフェをオープン

楽しい暮らしを提案する雑貨店「agatha」のオーナー、椎葉京子さんは、築60年を超える米軍ハウスを自分好みに改造。店には自らがセレクトしたキッチン雑貨やインテリア用品、ご主人によるオリジナルの家具が並びます。家選びで重視したのは「DIYや音楽を楽しみながら犬と暮らし、そのそばで雑貨店を開くこと」。ジョンソンタウンを選んだのは改装が自由ということに加え、街並みが魅力的だったからといいます。

ジョンソンタウンの特徴の一つは、統一感のある街並み。建物と建物の間には塀をつくらず、緑あふれる歩行者用の街路がセミパブリックな路地空間を形成。建物の外にはウッドデッキやテラスなど、人が自然に出会い、会話がはずむ仕掛けがなされています。

12年にジョンソンタウンにMellowFood CAFEをオープンした高橋みきえさんは、10代の頃からアジアやハワイへの旅行にはまり、さまざまな国のカフェやエスニックレストランで働いた経験を持つフードコーディネーター。現在は2児の母として子育てをしながら、ゆったりと暮らしています。

アジア飯&スイーツ「Mellow Food CAFE」。インテリアは海辺のビーチハウスをイメージ。キッズルームもある
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改修や店舗利用が可能な賃貸モデル