ナショジオ

睡眠

朝食で体内時計リセットのウソ 早寝早起き効果に疑問

日経ナショナル ジオグラフィック社

2017/7/11

「難しい話はともかく、朝ごはんをしっかり食べれば、日中元気に過ごせて、夜もグッスリ眠れるのは当たり前なのでは?」 そう感じる方も少なくないと思う。

気持ちは分かるが、「朝ごはんに睡眠リズムの調節効果がある」という場合には、朝ごはんを食べることによって元気になり巡り巡って睡眠リズムが変わるのではなく、あくまで睡眠リズムを決めている体内時計に直接働きかけて、楽に早寝早起きができるようになるということを意味している。

睡眠研究の『異時間空間』 隔離実験室に潜入する」でも触れたが、1日当たり10分程度ずれていく体内時計を日々24時間リズムに合わせる(同調させる)のすら結構大変で、そのために絶対的パワーを発揮しているのは「光」である。体内時計時刻の調節作用を持つものは同調因子と呼ばれ、光以外では運動やある種のホルモンも時刻調節作用を持つとされるがその作用は光に比べて弱い。

■睡眠薬やお酒はどう?

同調因子に共通した特徴は、睡眠リズムだけではなく、自律神経やホルモン分泌リズムなど質の良い睡眠を保つために必要なさまざまな生体リズムの時刻を全部まとめて動かすことができる点にある。

その意味で、睡眠だけを誘発する睡眠薬やお酒とは根本的に作用が異なる。睡眠薬やお酒の作用はその晩限りで、翌朝には消えてしまう。体内時計の時刻は遅れたままなので睡眠薬やお酒をやめれば再び寝起きは悪くなる。真の意味で「早寝早起き」が楽になるわけではない。

本当に朝ごはんも同調因子として働くのであれば、毎日朝ごはんを食べることで夜中に普段よりも早い時間帯から脳の温度(深部体温)が低下したり、催眠作用を持つメラトニンの分泌が始まるなどして、結果的に早寝早起きが楽になるはずである。

ところが残念ながら、先にも紹介したように、ごく最近になり欧州の研究グループがこの課題に取り組んだ結果、食事時刻を変えても体内時計の時刻を全く動かすことができなかった。つまり、早寝早起きをすれば朝ごはんを食べられるが、朝ごはんを食べたからといって体内時計が朝型になって早寝早起きが楽になるわけではないということである。

え? でも実際に朝ごはんを食べるようになってから子どもが早寝早起きできるようになったって。

それは朝ごはんが体内時計に働きかけたのではなく、早寝早起きによって光の浴び方が変わったためだと思われる。毎日朝食を摂るように心がければそれまでよりも早起きをしなくてはならず、体内時計を朝型にする朝日をより多く浴びるようになる。

また早起きした分だけ早寝をするようになり体内時計を夜型にする夜間照明を浴びる時間も短くなる。結果的に、生体リズムの時刻が全体的に早まった結果、以前よりも早寝早起きが楽になったのだろう。

ナショジオ 新着記事

ALL CHANNEL