中国、景気指標はほぼ良好 住宅バブル崩壊は懸念も世界のどこに投資する?(3)中国・前編

2017/6/29
ニッセイ基礎研究所の三尾幸吉郎・上席研究員
ニッセイ基礎研究所の三尾幸吉郎・上席研究員

資産分散のため、個人投資家が世界のどこに投資すべきかを探る本連載。米国に続き今回は中国を取り上げる。

世界第2のGDP(国内総生産)規模を誇り、貿易面でも日本にとって重要な地位を占める中国。同国の経済は2015年6~9月には株式相場が大きく下落し、政府が取引規制に入るなど混乱が見られたが、近年は落ち着きを取り戻したかのように見える。17年1~3月期の実質GDP成長率は6.9%と、16年7~9月期(6.7%)、同10~12月期(6.8%)を上回り、数値面でも減速傾向に歯止めが掛かっている。世界最大の人口(約14億人)を擁する同国に、日本の個人投資家が再び熱い視線を向ける日が来るのか。前編では中国の経済指標の現状と今後の読み方をまとめる。

指標は良好、市場経済化がカギ

港に並ぶコンテナ(上海)

中国の景気指標は足元ではおおむね良好だ。まず雇用。3月末の都市登録失業率(法定労働年齢内の都市戸籍者で労働能力があり、現時点では仕事がないが求職活動を行っている人の割合)は4%をわずかに下回った。中国では道路輸送、水上輸送を中心にインフラ投資を増やしているほか、分譲建物販売を中心にした不動産開発の増加が顕著だ。

所得の伸び率は16年は実質6.3%増と実質成長率の6.7%を下回っており、消費に水を差す懸念も残るが、国有企業改革や民間企業の新規分野への参入拡大が実現すれば潜在成長率の押し上げにつながる。

不動産開発の堅調な伸びは実質GDPを押し上げる要因になるが、一方で不動産バブルを誘発する要因にもなる。全70の大規模・中規模都市の新築分譲住宅販売価格は5月、前月比で56都市が上昇した。低下したのは9都市だけだ(前月と同水準は5)。1~5月期の分譲建物販売面積は前年同期比14%増の5億平方メートル強となっており、「住宅市場の過熱をうまく抑え込めなければ、住宅バブルが深刻化し、中国経済にとって危ない」(日中産学官交流機構の田中修・特別研究員)。中国経済を担当するエコノミストの間では「住宅バブルの一層の過熱→突然の崩壊→金融リスクの顕在化→中国経済のハードランディング」を懸念する声が少なくない。