売れ筋扇風機 羽根多いDCモーター機が人気
今回はジョーシン浦和美園イオンモール店に扇風機の売れ筋を取材した。同店では例年、30度を超す日をきっかけにクール家電が本格的に売れるようになるという。
クール家電のなかでも気温に対する反応が早いといわれる扇風機だが、同店スタッフの西上順三氏は「長年使うことを想定して省エネなDCモータータイプを選ぶ動きが年々高まっています。加えて、近ごろは自然な風に注目が集まっていて、羽根の枚数が多いモデルがよく出ていますね」という。
扇風機のDCモータータイプとは、直流モーターを使ったもののこと。従来のAC(交流)モーターと比べて、モーターの回転速度を幅広く変えられる。そのため、調整できる風量の段階が多いのが特徴だ。
それを踏まえて、最新の売れ筋ランキングをみていこう。
1位●F-CP338、パナソニック、1万7800円
7枚羽根のDCモーターモデルで、風量調節は7段階に対応する。温度センサーを備え、室温に応じた自動運転も可能だ。消費電力は2~19Wで、サイズはW370×D370×H793~963mm。
2位●HEF-DC300、日立アプライアンス、1万8480円
8枚羽根のDCモータータイプで、6段階の風量調整ができる。タッチタイプのボタンを採用しており、消費電力は2~21Wとなる。サイズはW371×D370×H735~950mm。
3位●F-CP324、パナソニック、8980円
7枚羽根を採用したACモーターモデル。風量調整は弱中強の3段階で、消費電力は60Hz帯で最大43W、50Hz帯で最大38Wとなる。サイズはW367×D350×H715~960mm。
4位●HEF-120M、日立アプライアンス、9380円
8枚羽根を採用したACモーターモデルで、4段階の風量調整ができる。消費電力は60Hz帯で最大41W、50Hz帯で最大38Wとなる。サイズはW371×D370×H735~950mm。
5位●YLR-BGT30、山善、6180円
ガードに触れると回転を止めるACモーターモデルで、5枚羽根を採用する。風量調整は3段階。消費電力は60Hz帯で最大50W、50Hz帯で最大48W。W355×D355×H660~850mm。
6位●YT-S3356VFR、YUASA、6980円
こちらもタッチストップを備えた5枚羽根のACモーターモデル。風量調整は4段階で、消費電力は60Hz帯で最大45W、50Hz帯で最大42W。W360×D360×H650~820mmとなる。
羽根の枚数が多いDCモータータイプが2トップになるなど、トレンドを反映したランキングとなっていた。一方で、ACタイプも3位以下に多数並んでおり、従来タイプの人気も衰えていないことをうかがわせる。「暑くなってきたから、ポケットマネーですぐ買える1万円以下のモデルをお買い求めになる方も多いですからね。すると、低価格なACタイプが選択肢になります」という。同店のDCタイプとACタイプの売れ行きはだいたい半々とのことだ。
・柔らかい風や微風を重視するなら、羽根が7枚以上のモデルを選ぼう
・つけっぱなしで使う想定なら、省エネなDCモーターモデルが人気
・ACタイプなら1万円で選択肢が豊富。3000円台でもリモコンつきが狙える
[注]掲載している価格は、2017年5月23日15:30時点のもの。日々変動しているので、参考程度に見ていただきたい。
売れ筋トップ2はDCモータータイプ
売れ筋トップとなっているのは、パナソニックの「F-CP338」だ。7枚羽根のDCモータータイプで、自然風に近い優しい風が送れるうえ、消費電力が2~19Wと抑えられている。加えて、室温を検知して自動運転する機能も備えている。
「DCモーターモデルのなかでもとくに指名買いの多いモデルですね。さまざまなトレンド機能を備えつつ、温度センサーという特徴も搭載しているところが強みです」
扇風機として見ると、1万7800円の値段は決して安くはないが、この価格帯のモデルを探しにくる人も確実に増えているとか。「扇風機は10年近く使うという人がけっこう多いので、それぐらいのスパンで電気代を計算したうえでDCモーターモデルを選ぶ方は多いですね。とくに、エアコンとセットで扇風機をつけっぱなしにする使い方を想定している場合、電気代を考慮するのはよい視点だと思います」
続く2位は、日立アプライアンスの「HEF-DC300」。こちらは、さらに1枚多い8枚羽根を採用しており、操作ボタンにタッチセンサーを採用している。
「柔らかな風を重視する人は、より羽根の枚数が多いモデルに注目しますね。HEF-DC300はリモコンも便利ですし、本体でもタッチ操作できるということで、そういった点も好評ですよ」
タッチストップ機能が人気急上昇
3位のパナソニック「F-CP324」と4位の日立アプライアンス「HEF-120M」は、いわば1位と2位のACモータータイプといえるモデルだ。消費電力は2倍近くになるが、それぞれ7枚羽根と8枚羽根を備えており、1万円以下で買えるのがポイントだ。
「ACモータータイプでも羽根の枚数を重視する方が多いです。1万円以下で最新トレンドを押さえたメジャーメーカーの扇風機が買えるというお得感が、人気を後押ししていると思います」
ACモーターモデルでは、もうひとつのトレンドも目立っている。ファンガードに手が触れると自動で回転が止まるタッチストップ機能を備えたモデルも、5000~6000円台で注目を集めている。5位の山善「YLR-BGT30」と6位のユアサ「YT-S3356VFR」が典型例だ。
「子育て世代のファミリーに注目されます。最近の扇風機は、チャイルドロック機能などを備えるなどして安全性を高めている機種が多いですが、より直感的に安心が得られるということで、この機能を気に入って買われていく方は多いですね」
2モデルの人気は僅差で、より価格を重視する人はYLR-BGT30、風量調節の幅を気にする人は4段階のYT-S3356VFRという具合のようだ。
高級路線はダイソン「Pure Cool Link」が別格
高級モデルで別格の人気を誇っているのは、ダイソンの「Pure Cool Link」だという。同社おなじみの羽根のない扇風機で、空気清浄機能も備えている。取材時の価格は6万4800円だった。
「こちらも子育て世代にとくに人気があります。そもそも羽根がないので子どもが近くにいても安心ですし、空気もきれいになるというところもポイントですね。デザイン性から、若い世代の人に指名買いされることも多いです」
1977年生まれ。建設業界と葬祭業界を経て2002年にライターへ転職し、テクニカル系の記事執筆と死の周辺の実情調査を進める。
[日経トレンディネット 2017年6月5日付の記事を再構成]
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