若者への感謝から始まる 未来への投資(藤野英人)レオス・キャピタルワークス社長兼最高投資責任者

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「学生とのつながりは私にとって『今起きていることを知る』ための大事な場になっている」

投資の世界で大事なのは、「今起きていることを知る」ことです。どうやって世の中の変化の兆しを捉え、そして具体的な行動に結びつけるのか。投資家としてもビジネスマンとしても工夫のしどころになってきます。

 私はかれこれ15年以上、明治大学でベンチャーファイナンス論という授業を受け持っています。この授業をこれまで続けていて思うのは、学生とのつながりは私にとって「今起きていることを知る」ための大事な場になっているということです。

怒られてばかりのアルバイト

 授業が終わったあと、有志の学生と飲みに行くことがあります。そこでは今の大学生はそもそもどういうことを考えているのか、何が好きで何が嫌いか、彼らが興味を持っているものは何なのか、いろいろ話してもらっています。

 一方、私は彼らに経済など今の世の中の動きを話したり、人生の先輩としてアドバイスしたりしますが、若い世代とのつながりは自然には得られませんからとても貴重です。私にとっては大学生たちから最新の情報が入ることが何事にも代えがたい機会になっています。

 先日、学生たちと飲みに行くと、ある外食チェーンでアルバイトとして働く女子学生がこのような話をしていました。

 学生 「先生、私は仕事が嫌いというわけではないのですが、時々、怖いお客さんに怒鳴られて本当に嫌な思いをするんです。どうしたらいいんでしょうか?」

  「具体的にどんなことがあったの?」

 学生 「私たちの会社ではライバルチェーンが値引きをしてきたので、全商品を値下げしました。それで収支を合わすために、現場の店員の数が減らされたんです。うちはコーヒーなどがお代わりし放題なのですが、レジの対応に追われて、お代わりの注文を受けられないんです。それで怒られて……」

  「それは大変なことになったね。店員もそうだが、お客さんもイライラが募るだろうし」

 学生 「コーヒーを注ぎに行くと、今度はレジでお客さんを待たせることになるので、レジでもお客さんに怒られるんです。怒られてばかりで嫌になります」

 私はこの話を聞いて、女子学生がかわいそうになりました。一番問題なのは店員にそうした働かせ方をしている外食チェーンであることは間違いありません。チェーン店は店員にしわ寄せがいかないように仕組みを変える責任があります。でも、お客さんの側には問題はないのでしょうか?

ブラック消費者が増えている

 ここ最近で増えていると感じるのは、いわゆる「ブラック消費者」の問題です。深刻な人手不足の産業でアルバイトをしている学生に聞くと、全員が口をそろえていうのがお客さんの立場が強すぎる、お客さんが厳しすぎるということです。学生の対応がまずい場合もあるにせよ、このままでは若い人の心がどんどん折れてしまいます。

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