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秦基博 不思議な縁で10年の仲「ギブソンJ-45」

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『ひまわりの約束』などのヒット曲で知られ、包み込むような柔らかな歌声と心に優しく寄り添う言葉で歌いかけるシンガーソングライター、秦基博さん。「コレクション癖もないし、買い物は『できるだけ手短に済ませよう』と思っている」という秦さんが持ってきてくれたモノは、デビュー直前に出合った大切な「相棒」だった。

デビュー直前、事務所にお金を借りて購入

「このギブソンJ-45は、デビューする直前の2006年に『プロユースのギターが欲しい』と事務所にお金を借りて、購入しました。うちは買ってくれるんじゃなくて、お金を貸してくれるんですよ(笑)。年式は1966年のものです。

東京・御茶ノ水の楽器店街で何軒もお店を回って、ようやく見つけたのですが、手にした時に『これかな』という不思議な感覚というか縁を感じました。

そもそもJ-45に絞って探していたわけではなく、いろいろなギターを見ていた中でこのJ-45に出合ったんです。はじめはルックスの良さに引かれました。ボディーの色味(チェリーサンバースト)と赤いべっ甲のピックガードの組み合わせを僕はあまり見たことがなかったですから。最初にパッと見たとき、それがJ-45ということも知りませんでした。

J-45を買う前は、同じギブソン社製のJ-160Eという、ジョン・レノンが弾いていて有名なギターを使っていました。そういえば、これも20歳の頃に親からお金を借りて買ったっけ(笑)」

音楽以外の趣味なし。買うのも音楽関連ばかり

アーティストの中にはコレククターのように多くのギターを集める人もいるが、秦さんとギターとの付き合い方は異なるという。

「僕がギターを手にいれる理由は、『実用性』です。

デビューしてしばらくは、サザンジャンボ(ギブソン社)やマーティン社のギターなどを集めた時期もあります。でも、それもコレクションのためじゃなく、音の探求やライブ演奏に必要だったから。表現するステージが自宅からライブハウス、そしてアマチュアからプロへと変わっていく段階で必要なギターを手に入れてきたんです。

J-160Eもライブハウスで演奏するようになって、お店の人から『今のギターは音が弱いから、新調した方がいいよ』と勧められたのがきっかけでした。それまでは、兄が友達から3000円で譲り受けたモーリスにピックアップをつけて演奏していましたから(笑)。

兄は長渕剛さんが好きで、僕も一緒に聴いていたし自分で初めて弾けるようになったのも長渕さんの『しゃぼん玉』でした。そうやって4つくらいコードを覚えて、すぐにオリジナル曲も作るようになりました。小学6年生か中学1年生だったと思います。

僕の兄弟はちょっと面白くて、誰のものでも当人が使っていなければ自由に使える雰囲気なんです。だから、モーリスも兄のモノだけれど、むしろ僕がよく弾いていました。今思うと多感な時期だし、自分のギターを弟が触るのを嫌がるのが普通だと思うんですが」

当人が使っていなければ自由に使える──そんな兄弟関係で育ったせいか、音楽関係以外のモノに対する関心は薄いという。

「いくら考えてみても、小さい頃に『ドラゴンボール』のカードを集めたくらいでコレクション癖もないし、服にしても『季節が変わって必要だから買う』という感覚なんです。サイズが合うかどうかを確認したいので実際に店に出向きますが、買い物は『できるだけ手短に済ませよう』と思っています(笑)。

最近買ったモノといえば、手動のマッサージ器具。歌っていると首や肩がこるのでネットで購入したんですが、想像以上にグリップ力が強くてちょっとマッサージしただけでも痛いくらいでした(笑)。こういうものを買うのは珍しくて、ネットショッピングでいつも買うのはCDやライブDVDなど、音楽に関連したものばかり。何よりも好きだった音楽が仕事になってからは、本当に他に趣味がないんです(笑)。

機材も、品番などがあらかじめ分かっているシールドやチューナーなどはネットで買いますね。そういえば、チューナーは余計に買う傾向があるかもしれない。新しいものを見かけて、『こっちはカラーで光るんだ!』とか新機能が付いていたりするとついテンションが上がって買ってしまう(笑)。どんどん増えていくので、20本ほどあるギター1つに1つのチューナーをあてがうみたいな状態になっていますね」

「もしこのギターがなくなったら」

デビュー直前から使い続けてきたJ-45は、弾けば弾くほど音が良くなってきた。だからこその心配もある。

「J-45は曲作りとライブの両方でメインに使用しています。『ひまわりの約束』や『鱗(うろこ)』『Girl』など、ベストアルバム『All Time Best ハタモトヒロ』に収められている楽曲の大半もこのギターで作りました。ツアー中などで手元にないときはダブルオー(L-00の愛称)やJ-50(ともにギブソン社)などのギターで曲を作ることもあります。『70億のピース』はギターが2本入っていて、ダブルオーも使っていますが、レコーディングでもJ-45がメインです。

付き合いは10年以上ですが、買った当時より弾けば弾くほど音が良くなる感覚があります。今、相当『いい鳴り』ですよ。ギターは基本、ちょっとずつ良くなっていくものだと思いますが、素材が天然の木だから『良い時期』があると思いますね。買って5年目くらいまでは、自分の音を模索していく中でピックアップのセットアップをいろいろ試したりもしましたが、それが定まって以降はずっといい調子です。

ギターが消耗するんじゃないかという心配は確かにあります。実際、ライブ用と制作用でギターを分ける方もいます。でも、ギターを変えると当然、響きが違ってしまうので、自分のパフォーマンスを自然な形でやる、ベストのパフォーマンスを出すにはこのJ-45が必要なんです。これが一番仲良しというか、しっくりくる。

だから、ツアーの移動などでは細心の注意を払って運ぶよう心がけています。それと、野外の過酷な環境ではやむを得ず使わない判断をすることも。今年5月4日の横浜スタジアムでのライブ(『HATA MOTOHIRO 10th Anniversary LIVE AT YOKOHAMA STADIUM』)は、野外でもまだいい気候だったので使いましたが、炎天下だったり雨が降っている、海辺で潮風が当たるといった、ギターにダメージが大きいと考えたときは使用を避けますね。

僕にとってJ-45はもはや一心同体。音色の良さだけではなく相性なのかなと思います。最初に出合えたのは本当に大きいですし、自分の弾き方と音色のいいバランスを10年かけて作ってきた。同じ年式の同型ギターでも、別のものだったら、きっと違ってくるでしょうね。

だから、『もしこのJ-45がなくなったら』と時々想像してしまいます。事故や盗難に遭ったら本当につらいなと思うし、怖くなって、スペアでもう1本育てたほうがいいのかなと考えたり。でも、同じものがもう1本あっても……と思い返す。結局は、『これがどうにかなってから考えればいいや』というところに落ち着きますね」

いい曲を作るため仕事部屋の机にもこだわる

「この10年、『音楽が楽しい』という気持ちにブレはありません。曲を書き、演奏し、歌う。全てで言えることです。もちろん責任や産みの苦しみもありますが、それも含めて楽しいです。

18歳の頃、プロになると決意してから、音楽以外の道を考えたことはありません。『寝ても覚めても音楽』というのは僕にとって自然なことなんです。とはいえ、始終ギターを触っていればいい曲が生まれるわけではないので、音楽と距離を置く時期をあえてつくることもあります。自然に曲を作りたいと思えるまでのインターバルも必要ですからね。音楽から距離を置くのも音楽のためなんです。

曲作りに関しては、つくりたい『気分』になれる環境づくりがとても大事。モノに執着しない僕でも、そこはこだわります。作業部屋のデスクは、歌詞を書いたりするとても大切な場所なので、『気分』を上げてくれるということにこだわって作ってもらいました。自然の風合いを生かしたムクノキのシンプルなデザインの机で、とても気に入っています」

今年でデビュー10周年。頭の中は四六時中音楽のことでいっぱいなのが自然という秦さんは、これからどんな音楽をリスナーに届けていくのか。

「中から自然に湧いてきたものを、届ける。それに尽きます。仮に先まで計画を立てても、いざ作ってみると、出てきた曲がそれに添わないものだったこともしばしばありますから。

この1年はアニバーサリーでライブもたくさんやって、言葉にならないものがたまっていると思うので、いざ曲にしようとしたらいろいろなものが出てくる気がしてワクワクします。その時どきの音楽の欲求に従いながら、楽しく作り続けたい。苦しい場面もあるけど、音楽は楽しいものである。仕事として10年やってきたからこそ、よりそう思うんですよ」

秦基博
 1980年10月11日生まれ。宮崎県出身の横浜育ち。2006年にシングル『シンクロ』でデビュー。「鋼とガラスでできた声」と称される歌声と叙情性豊かなソングライティングで注目を集める一方、多彩なライブ活動を展開。2014年の大ヒット映画『STAND BY ME ドラえもん』主題歌として書き下ろした『ひまわりの約束』が各チャートを席巻。130万ダウンロードを超す大ヒットとなった。デビュー10周年を迎え、2017年5月には地元、横浜スタジアムでワンマンライブを開催。6月14日にはヒット曲が満載のベストアルバム『All Time Best ハタモトヒロ』をリリース。この夏はオフィスオーガスタ所属アーティストによるユニット・福耳が再始動、5年ぶりのリリースとなる新曲の作詞・作曲も手がけた。

(ライター 橘川有子、写真 藤本和史)

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