2017/7/2

では、実際の銘柄選びは何を基準に行うか。みずほ証券の石沢卓志・市場情報戦略部上級研究員は「商品特性と配当利回り、さらに格付けとNAV倍率」を挙げる。

商品特性とは投資する不動産の種類の違い。一般的なのはオフィスビルを投資対象にするものだが、商業施設や住宅、物流施設など、それぞれのREITが対象にするものが違う。最近はホテルや温泉、介護施設などバラエティーも増えた。不動産の用途を限定しない「総合型」もある。

格付けなどに留意

配当利回りは3~5%台が中心だが、中にはスターアジア不動産のように8%超というものもある。だが、配当利回りが高い商品は格付けが低いものが多い。日銀が買い入れ基準とする「AA格」相当以上が無難だ。ただ、「それ以下のファンドでも掘り出し物はある」(石沢氏)。

掘り出し物探しの1つの尺度になるのが、NAV倍率だ。ネット・アセット・バリューの略で、株式のPBR(株価純資産倍率)にあたる。時価総額を純資産価値で割った値だ。1倍割れなら純資産価値より時価総額が安い「割安」と考えられる。

専門家は「2~3年の分配金の推移や、なぜ増減したのかを見るのもポイント」(アイビー総研の関大介社長)とアドバイスする。個人的にはホテル系REITに注目しているという。「訪日外国人の『爆買い』収束を受け、下落しているが観光客は増えており、ホテル不足は続く」

割安な水準でREITを買っても、リスクは当然ある。例えば賃料の下落。東京都心5区のオフィス空室率は5月に3.41%と需給均衡の目安、5%を下回る。18年には東京23区のオフィスビルの供給床面積が急増する「2018年問題」が待つ。

ただ、人手不足や働き方改革が注目される折、企業は便利で新しい都心オフィスへの移転を加速させるとの見方もある。インターネット通販の拡大は続き、物流拠点の拡充も喫緊の課題だ。日本経済を取り巻く課題と関連づけてREIT選びをするのも一興かもしれない。

(白壁達久)

[日本経済新聞朝刊2017年6月24日付]